小泉首相の訪朝と課題について☆☆☆☆☆

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谷内正太郎という外務次官

投稿者: komash0427 投稿日時: 2005/02/10 22:58 投稿番号: [177194 / 232612]
  それは火を噴くような応酬だった。

  ながい苦しみの果てに祖国の土を踏んだ5人の拉致被害者を再び北朝鮮に送り返すべきかどうか――。拉致問題の解決を優先する強硬派と日朝の正常化交渉を急ぐ融和派が真っ向からぶつかったまま論議は暗礁に乗りあげていた。

  「拉致犯罪であり、日本政府の意思として5人を再び北朝鮮の手には渡さないと言い切るべきです」と主張する中山恭子内閣官房参与。

  「いま残留を決めれば、北朝鮮側と築きあげてきた信頼関係が崩れ、交渉の糸が切れてしまう」と反論する田中均アジア大洋州局長。

  論争にとどめを刺したのは、それまで静かに聞きいっていた谷内正太郎内閣官房副官房長官補だった。

  「5人は北朝鮮当局によって拉致された被害者です。ならば、人道上はいうまでもなく、国際法の上からも責任解除のための原状回復がすみやかに行われなければなりません」

  法規課長や条約局長をもつとめた谷内の立論は堅牢だった。他国に主権を踏みにじられながらその責任を明らかにしようとしないなら、日本という国は国際法にいう主権国家としての衿持すら持っていないと断じられてしまう――。

  2002年10月24日。この官邸協議こそ、小泉訪朝以来迷走しつづけた対北朝鮮外交の転換点となった。

  だが、小泉内閣は5人の残留は決めたが、谷内が披露したこの論拠を今日まで公にしようとしていない。国際法を盾に日本が強い姿勢を示せば、北朝鮮の反発を招き国交正常化交渉を滞らせてしまうと「原状回復」の文字を当時の川口順子外相と竹内行夫次官がそっくり削ってしまったからだ。

  この論争の行方をアメリカ側からじっと見入っていた人々がいた。ともにアナポリスの米海軍兵学校に学び政権の要職にいたアーミテージ国防副長官やパターソン特別補佐官らの知日派だった。「明治のナショナリスト秋山真之(さねゆき)を髣髴させる」というのが彼らの谷内評だ。ニューポートの海軍大学でバルチック艦隊を迎え撃つ秘策に脳髄を振り絞った若き海軍士官秋山真之に米国の知日派はあるべき盟友の姿をダブらせているのだろう。

  外務次官として日本外交を率いることとなった谷内正太郎は「日米同盟派にしてナショナリスト」とでもよぶべき存在だ。従来の親米派は、軽武装・経済重視の吉田ドクトリンの系譜をひき、強大な米軍事力の庇のもとで繁栄を願う人だった。これに対して「国家の究極的な存在理由は安全保障にある」と言いきる谷内次官の誕生は、親米派のひ弱さを知り抜く米国の知日派にとって久しく待ち望んでいたものだ。

  日米の盟約を安全保障の要に据え同時に独立国家の気概こそ外交の礎であるとする「同盟派ナショナリスト」。

  この思想的系譜には若泉敬という特異な国際政治学者がいた。

  若泉は、沖縄返還交渉で首相特使をつとめながら突如福井の郷里に隠棲する。そして、「有事の核持ちこみ」という密約なしには沖縄の早期返還はありえなかった外交秘話を記した大著『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』一巻を遺して逝った。

――――――――――以下略―――――――――――――

今月号の中央公論より。
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