九段の空を赤く染めた業火 2
投稿者: georgia_bros 投稿日時: 2004/08/15 23:59 投稿番号: [147822 / 232612]
「部長、インデペンデンスから、興和化学への、ジェットバック燃料の入庫が遅れるそうです。」
「あぁ、それは聞いてる。ファインケミカルの方で、廻せるだろう。」
「いや、しかし、これは、ココムですから、、ファインケミカルの方でなんとかなるでしょうか。」
「俺から話しておくよ。そうだ、その書類は回しておいてくれ。これは、興和さんははずせないだろうから、なんとかしておく。」
「わかりました、まわしておきます。」
興和化学というのは、防衛庁むけの特殊燃料を主に合成して納入している企業であり、ジョーの商社の大得意のひとつであった。ジョーは、昔、活動家を一時真剣にやってたくせに、防衛庁関連の業務についていることにじくじたる想いがなくもなかったが、ジョーは、日本国の為に行動していたのであるから、必ずしも自衛隊を否定するものではないと、己に言い聞かせるものであった。
言い聞かせることばかりであった。そもそも、学生の頃、組織に入ったのは、本当は、同学のK美に誘われたのが、そもそもの発端である。こういう組織は、大体同じ手口だが、女に勧誘をさせるのが常套手段である。こういう勧誘に乗る男に下心がなかろうはずもなく、当然、じょーじあは、K美に妄想に近い淡恋を抱いていた。そして、当然の帰結だが、K美には、組織の幹部をやっている情熱あふれる革命家の男に魅かれていたのである。しかし、ジョージアは、己が組織を抜けたのは、K美が、幹部の男について、朝鮮に渡ってしまうことを知ったからではなく、あくまでも、思想的変質を感じたからだと、常に言い聞かせるのであった。
(そう、俺も本当は革命をしたかった。しかし、手段が違うと考えたのだ。いま、道義的に見ると日本はかなり惨残たる状況ではあるが、また、新たな時節をむかえつつあり、そして、中国と朝鮮の後塵を経済戦争の中で拝しつつあるではないか。つまり、日本の虚飾の栄華も長くは続かなかったのだ。ほんの、ちょいの繁栄でしかなかった。2010年には、もはや、日本など誰も顧みないだろう。)
様々の自己矛盾を抱えながらも、昨今の北朝鮮の拉致家族問題、残留日本人の問題は、ジョーにとっても、他人事でもなかった。朝鮮の心情的シンパであったが、K美は、朝鮮に渡った後、幹部の男もだが、その名前が表に出てくる事も無く、ただ、人づてに戦死と聞いていたのである。
(戦死とは、どのようなことだ。本当は、獄死とか、そういうことか、あるいは生きているのではないのか。)そんなことを思う事もあった。
ジョージアは、山手線の車上で、そのような一連の思いを巡らせながら、上野に向かっていた。上野から、常磐線で、日立市にいこうというのであった。日立には、ジョージアの商社が管理している油脂保管庫があったのだ。
これは メッセージ 147820 (georgia_bros さん)への返信です.
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