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私見 司馬遼太郎 最終章

投稿者: hendazo04 投稿日時: 2009/03/18 11:23 投稿番号: [283 / 402]
私ら凡人が、ひときわ優れた人物の思考をあれこれ推測するのは不遜なのかもしれない。ただ、凡人であるがゆえに、秀才の思考様式がなんとも納まりが悪く、落ち着かなくてしようがない場合もあるようだ。

先生が一定のラフスケッチを胸に苗代川の集落を訪れたのは間違いないだろう。
そして沈氏から話を聞いたとき「故郷忘れじがたく候」のテーマが決まった。
力なき庶民の悲哀を、日本の文化的資産である陶業を軸に数百年の歴史的スパンを以って語られるのだ。先生が顔を真っ赤にして‘もらった!‘と、叫んだのも無理がない、真によい題材である。ただし、小説家が生み出す創作としてであって、それを先生があえて事実を語る随筆としたところから、後世に我らごときに批評される羽目になったのだ。

ただ、先生は圧倒的に支持されている国民的作家であり、そのインテリジェンスと人柄はそのような疑問を霧中に隠してしまう強みを持っている。
だから先生の意図はともかくも結果として「故郷・・・」は、戦後を通じてやはり大衆作家の松本清張や森村誠一らが、彼らの属する日本共産党の主張に沿った作品を数多く送り出し大いに大衆を『啓蒙』したのと、同じ軌道に位置してしまったのである。
清張らの作品は、城山三郎や大江健一郎などの書く文学と違い、生来善良で疑うことの苦手な日本人大衆の心をがっちりつかんだ。よって日本人の心の深奥に、『小説帝銀事件』や『日本の黒い霧』で731部隊とアメリカの陰謀を植えつけ、中国共産党の資料と証言を基に書き上げた『悪魔の飽食』では罪悪感を、これでどうだ!と、ばかりにかき立てたのだった。かれら左翼文士(じつに多い)の著作群が、中国に対する日本の経済、技術協力に影響を与えないはずがない。
そしてボロ服のシナ人がふんぞり返って日本人の血税を受け取り、金満日本人はひれ伏しながらシナ人に血税を捧げるという、まことにコミカルな儀式が出来上がってしまった。

司馬先生の主義主張ははっきりと分からないが、満州赴任時は物書きとして世に出る前の経験だ。陸軍は、新兵にとっては地獄に近いものがあったという、いやな思いをしたことだろう。
結果として、日露戦争までの日本はすばらしかった、しかし昭和の日中戦争からの日本はバカ者だ、というのが先生の歴史観になったのか。
その歴史解釈を近代左翼人が掲げるところとなり、『司馬史観』なる怪しげな『史観』を生み出してしまった。「故郷・・・」のエッセンスは人を奪い文化を奪った相手、韓国に対する「原罪」であろう。

語るに多すぎるが、わたしを含む(それなりに)多くの日本人には到底受け入れられない、いびつな歴史観である。

先生とて、取材を通じて『漂着者』が、そして主人公の沈寿官氏が何者であるか分からないはずがない。そこを先生はどう咀嚼したのだろうか。
思うに、すべてを自分の作品に沿わすため犯した天才ゆえの異常な思い込みなのか、それとも自作のためには歴史の捏造を厭わないという確信犯なのか、どちらかなのだろうが、それにしても、14代沈寿官氏の個展に最大限の賛辞を贈り、その中のどうということもない一作品に勿体つけて銘名するなど、韓国人が『従軍慰安婦』の資料館を作るような物的な確証をも与えたのは飛び過ぎといえるだろう。

長々と大先生にものを言ってきたが、作家としての司馬遼太郎は日本の大衆文壇の一方の金字塔であることは間違いないし、明治までの日本を、愛情を込めて語る名文章家である。尊敬に値しないはずがない。
ただ、縷々述べてきたように、司馬遼太郎という作家の真髄はあくまでも大衆小説家であって、歴史を語る人としては著しく公平性に欠けるキャラであることは納得していただけただろう。したがって、その人が醸しだした『司馬史観』なるものは参考資料程度の意味しか持ち得ないということになる。

最後に、日露戦争のことを知りたくて「坂の上の雲」を昨年末通読したことを白状しておく。おもしろい。薄氷の勝利だったことがよく分かる。(用兵は資料が残っているのでそう恣意的には書けないだろう)
どなたか、他の作家で日清・日露戦争のデティールを書いた作品があれば教えてほしい。・・なるべく面白く読めるものが好ましいですが。

ここで「故郷・・」に関する私の愚見は終らせ、また朝鮮通信使に随行して江戸に下ることにします。
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