南京大虐殺・従軍慰安婦強制連行は事実

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「人倫の共同体」―――アンソニーさんへ

投稿者: steffi_10121976 投稿日時: 2010/09/23 19:03 投稿番号: [22832 / 29399]
アンソニーさん、こんにちは。
レスがあとさきになってしまってごめんなさい。



●>国家が個人(市民)に優位するという思想もあるようです。
それはヘーゲルの「人倫の共同体」という思想であり、市民社会を市民が水平的に交際し個人の欲望が自由にぶつかりあう社会としてとらえ、その矛盾と個人の対立を解消する役割として国家が捉えられる考え方、ということです。

「市民社会」における“人倫の喪失” という矛盾を、「国家」が統治機構を通じて解消させることによって個人は初めて人格的独立を達成できるという考え方は私にとって非常に説得力があります。
ただ、これをもって「国家が個人に優位する」と表現するのはどうでしょうか?
「市民社会」において個人が“自由”であるのはそこに統治機構が存在しないからであって、それは一見理想的ではあっても、実は他者との力関係次第では理不尽な損失を強いられるというリスクと表裏一体の関係にあります。
「国家」が強大な権限を持つのは、そうした弱肉強食型共同体の矛盾や不条理を解消するためであって、「個人」を下位のものとして従属させるためでは必ずしもないのではありませんか?



●>>われわれが「ヨーロッパ」という言葉から連想するいくつかの観光資源の中で、他の(ほとんど)すべてのヨーロッパ諸国には存在して、スイスにだけ存在しないものがひとつだけあります。

>古代遺跡とか中世の城でしょうか?

「お城」で半分正解と致しましょう。(笑)
より正確には「宮廷」です。
ヨーロッパで「宮廷」というものを一度も持ったことがないのがスイスで、その歴史的特性は現在でもこの国のさまざまなプロフィールに、他の中欧諸国とは明らかに異質のイメージを形づくっています。

一般にスイスの建国は、13世紀末に通商・交易等による経済力を背景として自治権を獲得した中部の3つのカントン(州)が盟約を結び、当時の支配者であったハプスブルク家に対して独立を宣言したとき(1291年)とされています。
以後そのハプスブルク家をはじめ、ブルゴーニュ公国や神聖ローマ帝国などと血みどろの戦争を重ねながら盟約に参加するカントンを拡大していき、最終的に17世紀半ばになって、いまこのトピで某氏が的外れな引用を行なって盛り上がっているヴェストファーレン条約によって名実ともに独立を果たしました。
ハプスブルク家等によるスイス支配は代官を置くことによる間接支配でしたから宮廷が設置されることはなく、優雅で華麗な宮廷文化が花開くこともなければ、ベルサイユやシェーンブルンのようなきらびやかな宮殿建築が残されることもなかったというわけです。

けれどもより重要なことは、そうした建国以来の歴史的経緯によって醸成されたこの国の国民性でしょう。
たとえば徹底した“一国平和主義”や、頑固な国民投票制度などは、それを端的に表していると言えます。
そこには当然「国家は個人の社会契約による機関」という意識よりは、「支配者から実力で奪い取り、守り抜いてきた同盟」という意識のほうがはるかに強く働きます。
それが外国人に対してしばしば非常に強固な排外意識を与えるのは事実のようです。
長年お世話になった国ながら、私も深川唐平さん同様、スイスという国(社会)は決して好きではありません。



●>>アンソニーさんはこの国の女性の参政権が完全な形で認められるようになったのはたかだか20年ほど前のことであるという事実をご存知でしたか?また、それについてどのようなご意見をお持ちになりますか?

>知りませんでした。

最後まで女性参政権の付与に反対していた東北部のアッペンツェル・アウサーローデン準州において完全な形でそれが認められたのは、連邦憲法による規定が制定されてから20年近くも経過した1990年のことでした。
それまでの間、もちろん国際的な批判はありました。
しかし同州政府はもとより、ベルンの連邦政府も、「内政干渉だ」としていっさい取り合っていません。



●>「習慣」というものは変えていくのになかなか時間がかかるということですね。

そういうことなのでしょうね。
第三者から見ればいかに不条理・不合理と思えることであっても、習慣や伝統を守ってきた立場からすれば、決して譲歩できない一線というものは確かに存在すると思います。
当事者の思いと、社会全体の最大公約数的な幸福―――。
その折り合いをどのようにつけていくかが、現代人の智慧が試されているところではないでしょうか?



ご意見交換をさせていただき、ありがとうございました。



your Steffi
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