元兵士の日記のすべてを疑え
投稿者: nannkainosima 投稿日時: 2012/01/19 08:46 投稿番号: [38260 / 41162]
歴史学の史料批判(=考証)の手順の中に、
「偽作の可能性を検討する」という項目があります。
参:「史料批判・要諦」
http://1st.geocities.jp/rekisironnsyuu/rekisigakukennkyuuhou.html(1)偽作でないかどうか(真偽の検討)
1. その史料の形式が、他の正しい史料の形式と一致するか。
古文書の場合、紙・墨色・書風・筆意・文章形式・言葉・印章などを吟味する。
2. その史料の内容が、他の正しい史料と矛盾しないか。
3. その史料の形式や内容が、それに関係する事に、発展的に関係し、その性質に適合し、蓋然性を持つか。
4. その史料自体に、作為の痕跡が何もないか。その作為の痕跡の吟味として、以下のようなことが挙げられる。
(1) 満足できる説明がないまま遅れて世に出た、というように、
その史料の発見等に、奇妙で不審な点はないか (来歴の検討)
(2) その作者が見るはずのない、またはその当時存在しなかった、
他の史料の模倣や利用が証明されるようなことがないか。
(3) 古めかしく見せる細工からきた、その時代の様式に合わない、時代錯誤はないか。
(4) その史料そのものの性質や目的にはない種類の、偽作の動機から来たと見られる傾向はないか。
その他、偽作がその内容の種本にした史料との比較によって、明らかに偽作とわかったりすることもある。
以下の偽作実例で見ると、「偽作」というのは、擬似戦争であったり、社会構造そのものであったりして、
深刻な問題であることがわかる。
「偽作・誤認の話」
http://1st.geocities.jp/rekisironnsyuu/berunnhaimu.gisaku.goninn.html「偽イシドールス法令集」
http://1st.geocities.jp/rekisironnsyuu/niseisidorusu.html元兵士日記に関しては、偕行社『南京戦史資料集』所収の18篇の日記すべてに対して、
「偽作の可能性を検討する」という手続きが必要になるでしょう。
解読者には一目でわかったはずの「井家又一日記」の奇妙さが指摘されないのであれば、
偕行社『南京戦史資料集』に掲載された他の17篇の日記も、
奇妙さがあっても指摘されないでしょう。
つまり、発見された元兵士の日記は、「全部疑う必要がある」ということです。
これは メッセージ 38240 (nannkainosima さん)への返信です.
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