日本と韓国の議論の広場

Yahoo! Japan 掲示板トピックビューアー

[ << 最初のページ | < 前のページ | メッセージリスト | 掲示板表示 | [ メッセージ # ] | 次のページ > | 最後のページ >> ]

khani_kms2000さん(国民国家2)

投稿者: uumin3 投稿日時: 2002/08/19 12:35 投稿番号: [823 / 230347]
(前のメッセージのタイトルが不十分でした。ごめんなさい)
その二

  ちょっと先取りですが、三・一独立運動についての次の引用をご覧ください。

  「…三・一独立運動は、かつて反日義兵運動と結合していた衛正斥邪思想を止揚し、
  甲午農民戦争と結合していた東学=天道教には開化思想が浸透して、基本的には開化
  思想の系譜の延長上に、それをさらに発展させた近代的民族主義を定立させた。その
  思想の内実は、対外的には民族自決主義であり、対内的には民主共和主義である」
  (飯沼二郎・姜在彦編『植民地朝鮮の社会と抵抗』未来社、所収、
   姜在彦「思想史からみた三・一運動」より)

  さて、まさにこの部分を引用して、呉善花さんは次のように言います。

  「ようするに、韓国の知識人中枢は、併合後10年の体験を通してようやく、近代
  民族国家の成立のほかに民族自立を確保することが不可能なことを自覚したのである。」
  (呉善花『韓国併合への道』文春新書)

  ここで呉さんが述べられている「近代民族国家」というのが、私の申すところの「国民
国家」に他なりません。三・一独立運動は、韓国の国民国家への第一歩というか端緒であ
ったことは言えますが、まだまだそれが大多数の民衆まで浸透して国民国家を形成するこ
とは先の話なのです。
  実は私のこのたびの立論のきっかけは、この呉さんの述べられている文でもありました。

  私が重視する国民国家の条件の中で、最も大きいのが「国民としての自覚」とそれによる
「国民皆兵」的組織の成立です。確かに朝鮮民族(韓民族)という存在には長い歴史がある
でしょう。しかし国民国家以前の段階の国家組織においては、民族というのは統一の中心点
にはなり得ません。
  日本にしても、明治維新以前の封建体制においては、薩摩藩の人間、会津藩の人間…と
いうように、各藩に所属する人間であるという意識は浸透していましたが、全体を合わせた
日本人という考え方は、やっと幕末から少しずつ少数の人間にみられるだけであり、明治
以降も、四民平等、徴兵令、西南戦争、日清戦争あたりでようやく定着したといえる考え方
でした。

  つまり国民国家というのは、きわめて近代的な考え方なのです。

  それでは近代以前になぜ国民国家が成立しないのかといいますと、そこにはいくつかの
ネックがあります。そして、その中で最も大きいと思われるのが「身分制度」です。

  「〜人」という枠組み以上に、階級・身分が個々人を縛る社会においては、「〜人」とか
「〜民族」とかいう言葉が、全国民的な求心力を持ちません。また、これらの社会では往々
にして戦闘集団は固定され、それ自身が階級・身分になっておりますので、それ以外の人々
は戦争に負けても基本的に戦わず、わりに簡単に被征服民となります。ゲリラ戦はほとんど
望めないのです。

  前回私は李氏朝鮮における階級比率の例を挙げました。大邱の1690年における統計では、
両班7.4%、良人(常民)49.5%、奴婢43%であると。これは四方博、京城帝国大学教授
の「李朝人口に関する身分階級別的観察」(『京城帝国大学法学部論集・朝鮮経済の研究3』
所収)によるものなのですが、実は四方教授の推計では「両班人口は1690年には総人口の7.4%
だったが、1858年には48.6%にまで増加した」とされています。

  実に全国民の半数近い「不労階級」がいたわけで(これは全世界的にも類を見ないでし
ょう)、残りの人々がこれら「両班」を養ってあげていた(「両班」が搾取していた)わ
けです。
  さて、ここで李朝末期の1860〜70年の社会を体験した一人の西洋人の話を挙げます。彼の
名はシャルル・ダレ。彼は宣教師たちから聞いた李朝の社会を次のように描きます。

「一般に、政治的活気とか進歩、革命といわれるものは、朝鮮には存在しない。人民は無視され、
彼らのいかなる意見も許されない。権力を一手に掌握している貴族階級が人びとに関心を向ける
のは、ただ彼らを抑圧してできるだけ多くの富をしぼり取ろうとするときだけである。貴族たち
は、いくつかの派閥に分かれ、互いに執拗な憎悪をぶつけ合っている。しかし、彼らの党派は、
なんら政治的、行政的原理を異にするものではなく、ただ尊厳だとか、職務上の影響力のみを言
い争っている大義名分だけのものである。朝鮮における最近三世紀の期間は、ただ貴族層の血な
まぐさい不毛の争いの単調な歴史にしかすぎなかった」
(シャルル・ダレ/金容権訳『朝鮮事情』東洋文庫)

  つづきます
[ << 最初のページ | < 前のページ | メッセージリスト | 掲示板表示 | [ メッセージ # ] | 次のページ > | 最後のページ >> ]

Yahoo! Japan 掲示板 アーカイヴ

[検索ページ] (中東) (東亜) (捕鯨 / 捕鯨詳細)