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「爺の剣」 - (6)by直子

投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2008/06/21 03:06 投稿番号: [165745 / 196466]
不思議な構えです。爺の剣先は私の中心ではなく、私の左腿あたりにあって、面ががらあきです。やや下段の変則的な構えでした。私が指導で子供たちに面を打たせるときの構えに似ています。「あっ、面を誘ってる!」と思いました。

こういう場合は、まず気と剣先で相手の中心を攻めながら一足一刀の間に入り、さらに前へ出て攻めて相手が思わず浮かせる竹刀を瞬間に手首のスナップで鋭く払い落とし、即突きまたは面に行くのが定石です。でも、爺にはそんなことぐらいわかっているでしょうから、裏の裏をつくことにしました。

気と剣先で中心を攻めながら間をジリッと詰めてみましたが、爺の竹刀はダラリとしたままです。どこ吹く風という感じです。打ってくる気配すら感じません。上から鋭く払い落として見ましたが、またすう〜っと元の構えに戻ります。もう一度鋭く払いました。そして爺が元の構えに戻ろうと剣先を浮かせる瞬間に爺の竹刀の中程を再び鋭く払い落とし、一気に突き、すかさず面に行きました。でも、私の突きはいなされ、面は空を切り、爺は私の右をひょいとすれちがって行きました。すぐに爺が私の背後に迫り、それも近間で構えている気配がしましたから、そのまま一気に走り抜けて間合いをきりました。不用意に振り向けば一本取られる危険な場面です。爺は追いかけてきませんでした。

また、一足一刀の間合いで構えました。先程の打ちは、爺に乗せられたと思い、今度はその逆を突くことにしました。

機を見て前に出ながら爺の竹刀を上から鋭く打ち落として突き、爺が突きを防ごうと手元を上げる端をとらえて右小手を打つのです。鋭く払い落として、一気に突きました。すると爺は私の竹刀の中程を軽くいなすようにしてすう〜っと今度は私の左側をすれちがって行きます。これでは小手も面も打てません。爺が私のすぐ背後に迫っている気配がしましたから、またそのまま走り抜け間合いを切りました。そして振り向くと、なんと爺は私のすぐ後ピッタリに構えています。「あ、打たれる!」と思い、すぐに爺の面に行きました。でもまたいなされ、私の背後に回ります。間合いを切ろうとしても爺は私にピッタリ付いてきます。今度は私も素早く振り向き爺の打ってくる出端、出小手を狙いました。爺はすでに構えていましたが、この絶好の機会に打ってきません。そして、ただただ前に出てきます。面を打ってこいといった素振りです。私はふいに圧迫感を感じ、一足飛びに後方へ退きました。あのまま面に行ったら逆に出小手か、胴を抜かれる気配を感じたのです。爺は床をするような歩み足ですうっ〜と間合いをつめてきます。面ががら空きですが、うっかり面には行けません。

また爺の竹刀を払い落として二段打ち、三段打ちを繰り返そうとしましたが、爺は私に空を切らせてはすれ違って行きます。普通ならここで体当たりか、つばぜり合いになるのですが、爺は私の左右を自在にすり抜けて行きます。

今度は、突きに集中して突っ込み、ハッとしました。爺は私の竹刀巻くようにして拳を振り上げながらわずかに私の右前方に体を移動すると、そのまま私の右面に振り下ろす気配を感じました。「あっ!」と思ってすかさず爺に体当たりし、間髪を入れず引き面を出しました。でもいなされました。私の引き面をいなすとき爺の右小手がわずかに上がるのがわかりましたから、すかさず気で攻めて接近して体当たりし、引き面からすぐに右小手を打とうとしたのですが、私の竹刀は爺の竹刀に払い落とされ、逆に爺に間合いを詰められてしまいました。ここで心や気が後向きになったり、退くと危険です。ですから、すかさず爺の竹刀を割って前に出て攻めたのですが、またいなされてどうしても一本になりません。

<続く>

続きは明日かな?   では御免、爺(苦笑
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