Re: 20年後4
投稿者: chimryuuban 投稿日時: 2008/05/16 23:23 投稿番号: [163317 / 196466]
>そんな大人たちを見て育った日本の子供たちは、「こんな大人たちにだけはなるまい」とネットで話し合った。子供たちはみな、日本が腐ってしまったのは、大人たちが愚かだったからだと思っていたし、その認識を、ネットで共有していた。だから、子供たちはみな、大人たちを軽蔑していた。僕たちが大人になったら、この国をもっとましな国にできるはずだ、と思っている子供もいたけど、できるだけ早くこんな腐った国を出て行こうという子供たちの方が多かった。だから、子供たちは、熱心に英語を勉強したし、英語のSNSで英語圏の子供の友達を作るのが、日本の子供たちの間で流行っていた。子供たちがヒーローとしてあがめたのは、英語を勉強し、日本を脱出し、英語圏で活躍している数少ない日本人たちだった。それがこの時代の子供たちのロールモデルだった。
一方で、そういう現実的で実利的な将来イメージを英語世界に抱く子供と一定の距離を置き、ますます盛んになっていたネットの萌えのキャラや世界観に浸る子供たちも多かった。もはや、萌え文化は、日本だけのものでは無くなり、世界に広がっていたが、いまだに日本の萌えが世界で一番繊細かつディープで、イノベーションと最新流行を生み出し続けており、世界中から尊敬を集め、日本こそが萌え文化のメッカであり、本山であるということは、揺るぎがなかった。そして、ろくな産業がなくなってしまった日本において、それは数少ない貴重な価値創造センターの一つでもあったから、あながちそういう子供たちを、現実逃避と決めつけることもできない。その子たちの中には、むしろ平均的日本人よりはるかに豊かな将来を約束された、萌え価値創造産業におけるクリエーターの卵が、たくさん混じっていたからである。
そうして、子供たちに軽蔑されながらも、子供たちを養うために、大人たちは、直視したくなくなるほどの過酷な現実を生きていた。仕事はないし、やっと仕事にありつけたとしても、賃金が恐ろしく安いので、最低限の生活を維持するためだけに、一日14時間もの長時間労働を強いられるのも珍しくない。そして、何よりつらいのは、未来になんの展望も無いことだった。このため、生きる意味を見失い、自殺する人がますます増えていった。
結局のところ、ネットワーク外部性の効果によって、高度な知識労働力が加速度的に集積し、富を生み出し続ける英語経済圏が、世界分業の一番おいしいところ独占することになったわけである。これにより、人口の少ない言語圏は、無惨な被害者となった。その被害者の典型例の一つが、インドヨーロッパ語族とかけはなれ、類似の言語のない孤立語であるために、英語の学習コストが格段に高い日本語経済圏だったのだ。
要するに、日本語経済圏は、富を生み出す椅子取りゲームで、敗北したのである。ゲノム創薬や各種の医療技術などの椅子、ソフトウェア産業という椅子、金融工学という椅子、そういうおいしい椅子は、すべて良質の知識労働力を前提とするものであり、言語の壁によって知識労働力の兵糧攻めにあっている日本は、それらをすべて英語経済圏に取られてしまったのである。さらに、インドや中国の台頭で急速に価値が上昇した石油をはじめとする天然資源の椅子取りゲームにおいても、日本は敗北した。日本は独自の資源を持たない加工貿易国だし、専守防衛の自衛隊しか持たない日本は、アメリカのように、強大な軍事力で守ってやることを交渉のカードにして産油国に取り入ることもできないからだ。憲法改正の論議はあったものの、結局日本の交戦権を認めるようなことにはならなかったし、そもそも、海外での実戦経験の乏しい日本の軍事力など、交渉のカードとなるほどのウリになるはずもなかった。
そして、日本の最後の砦である産業用ロボットや工作機械などの、機械を作る機械の産業や、トヨタやソニーや松下などのごく一部のグローバル企業が、かろうじて、日本を支えている。また、豊かになったアジア圏の人たちが、円安を背景に、大量に日本に訪れるため、京都や奈良、そして東北地方などの観光産業が台頭した。また、日本の伝統のさまざまな食材を生み出している伝統産業が台頭した。
ただ、その最後の砦である機械を作る機械も、中国の猛烈な追い上げで、今にも陥落しそうだ。結局、機械を作る機械というものは、現場からの太いフィードバックを糧として育っていくものだ。長期戦になれば、世界の工場と化した中国は、現場からのフィードバックに勝り、圧倒的に有利なのだ。日本の最後の砦が焼け落ちる日も近いだろう。また、世界的競争力のある日本企業は、その拠点の多くを英語圏に移してしまい、次第に日本からフェードアウトしつつある企業も多い。
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一方で、そういう現実的で実利的な将来イメージを英語世界に抱く子供と一定の距離を置き、ますます盛んになっていたネットの萌えのキャラや世界観に浸る子供たちも多かった。もはや、萌え文化は、日本だけのものでは無くなり、世界に広がっていたが、いまだに日本の萌えが世界で一番繊細かつディープで、イノベーションと最新流行を生み出し続けており、世界中から尊敬を集め、日本こそが萌え文化のメッカであり、本山であるということは、揺るぎがなかった。そして、ろくな産業がなくなってしまった日本において、それは数少ない貴重な価値創造センターの一つでもあったから、あながちそういう子供たちを、現実逃避と決めつけることもできない。その子たちの中には、むしろ平均的日本人よりはるかに豊かな将来を約束された、萌え価値創造産業におけるクリエーターの卵が、たくさん混じっていたからである。
そうして、子供たちに軽蔑されながらも、子供たちを養うために、大人たちは、直視したくなくなるほどの過酷な現実を生きていた。仕事はないし、やっと仕事にありつけたとしても、賃金が恐ろしく安いので、最低限の生活を維持するためだけに、一日14時間もの長時間労働を強いられるのも珍しくない。そして、何よりつらいのは、未来になんの展望も無いことだった。このため、生きる意味を見失い、自殺する人がますます増えていった。
結局のところ、ネットワーク外部性の効果によって、高度な知識労働力が加速度的に集積し、富を生み出し続ける英語経済圏が、世界分業の一番おいしいところ独占することになったわけである。これにより、人口の少ない言語圏は、無惨な被害者となった。その被害者の典型例の一つが、インドヨーロッパ語族とかけはなれ、類似の言語のない孤立語であるために、英語の学習コストが格段に高い日本語経済圏だったのだ。
要するに、日本語経済圏は、富を生み出す椅子取りゲームで、敗北したのである。ゲノム創薬や各種の医療技術などの椅子、ソフトウェア産業という椅子、金融工学という椅子、そういうおいしい椅子は、すべて良質の知識労働力を前提とするものであり、言語の壁によって知識労働力の兵糧攻めにあっている日本は、それらをすべて英語経済圏に取られてしまったのである。さらに、インドや中国の台頭で急速に価値が上昇した石油をはじめとする天然資源の椅子取りゲームにおいても、日本は敗北した。日本は独自の資源を持たない加工貿易国だし、専守防衛の自衛隊しか持たない日本は、アメリカのように、強大な軍事力で守ってやることを交渉のカードにして産油国に取り入ることもできないからだ。憲法改正の論議はあったものの、結局日本の交戦権を認めるようなことにはならなかったし、そもそも、海外での実戦経験の乏しい日本の軍事力など、交渉のカードとなるほどのウリになるはずもなかった。
そして、日本の最後の砦である産業用ロボットや工作機械などの、機械を作る機械の産業や、トヨタやソニーや松下などのごく一部のグローバル企業が、かろうじて、日本を支えている。また、豊かになったアジア圏の人たちが、円安を背景に、大量に日本に訪れるため、京都や奈良、そして東北地方などの観光産業が台頭した。また、日本の伝統のさまざまな食材を生み出している伝統産業が台頭した。
ただ、その最後の砦である機械を作る機械も、中国の猛烈な追い上げで、今にも陥落しそうだ。結局、機械を作る機械というものは、現場からの太いフィードバックを糧として育っていくものだ。長期戦になれば、世界の工場と化した中国は、現場からのフィードバックに勝り、圧倒的に有利なのだ。日本の最後の砦が焼け落ちる日も近いだろう。また、世界的競争力のある日本企業は、その拠点の多くを英語圏に移してしまい、次第に日本からフェードアウトしつつある企業も多い。
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これは メッセージ 163315 (chimryuuban さん)への返信です.
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