対米全面テロ

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米新戦略――俺がルールだ、は困る

投稿者: chottomato3 投稿日時: 2002/09/22 21:44 投稿番号: [147975 / 177456]
  米政府は、自衛のための先制攻撃などを盛り込んだ包括的な安全保障戦略(ブッシュ・ドクトリン)を発表した。

  同時多発テロによって、大量破壊兵器を開発する「ならず者国家」やテロ組織が、冷戦時代の社会主義国に代わる米国の新たな敵であることがはっきりした。
  そこで、「国際社会の支持を得るための努力を継続するが、必要とあらば、単独での行動をためらわず、先制的な行動で自衛権を行使する」と記した。イラクなどの「悪の枢軸」に対して、単独行動や先制攻撃を辞さない姿勢を明言したものだ。

  「米国と同等な軍事力を築こうとする潜在的な敵を思いとどまらせるのに十分な軍事力を持つ」として、圧倒的な軍事力の優位を維持していくことも示した。
  米国が冷戦後、唯一の軍事的な超大国であり、その軍事力が世界の安定に大きくかかわっているのは事実だ。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の最近の変化も、米国の圧力が影響しているだろう。

  しかし、新戦略で明らかになった、まるで「俺(おれ)がルールだ」と言うかのような姿勢には、疑問を抱かざるを得ない。

  国連憲章では、平和の破壊には安全保障理事会が対応することを原則としている。その上で「武力攻撃を受けた場合」には、安保理が必要な措置をとるまで、個別または集団的自衛権の行使を認めている。
  攻撃も受けていないのに、襲われそうだからと先制することを認めたのでは、武力衝突が世界各地に広がりかねない。憲章の規定は、自衛を口実にした侵略という戦争の歴史から学んだ結果である。

  ブッシュ政権には、領土的野心がなく、民主主義や自由と正義を守ってきた米国が間違った戦争をするはずがない、という自負があるのかもしれない。しかし、それが過信であることは、ベトナム戦争を思い起こすだけでも明らかである。
  ブッシュ大統領が打ち出した「テロとの戦い」の論理には、イスラエルやロシア、中国などがすぐに飛びついた。それぞれのテロとの戦いには、異教徒や少数民族の権利の抑圧といえる側面もみられる。先制攻撃のドクトリンにも同じ危険がある。

  一方で、新戦略は、自由な市場や自由な貿易を通じて地球規模での経済成長を促していく、としている。開かれた社会を作り、民主主義の基盤を築くことで、開発の輪を広げることも盛り込んでいる。
  「貧困や腐敗が弱小国をテロ組織に無防備にさせる」という認識からだ。途上国への経済援助を増やすと述べている。
  新戦略の草案には横柄なくだりが多く、大統領自ら相当に手直ししたという。まだ不足と言いたいが、貧困対策などを実行すれば、世界の受け止めも変わるはずだ。

  国際的な協調と弱者への謙虚な姿勢がなければ、新戦略は超大国の身勝手な力の誇示に終わってしまうだろう。


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以上、今日のasahi.com「社説」より。
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