対米全面テロ

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殺しちゃいけない・・・2

投稿者: chottomato3 投稿日時: 2002/08/29 22:56 投稿番号: [146619 / 177456]
大塚英志氏の文章(1からの続きです)
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  ぼくは神戸の14歳の少年の事件をきっかけに若者が「何故人を殺していけないのかわからない」と口走るや、文学者やジャーナリズムがそれを「真剣に」受けとめたことに困惑した。いけないにきまっているじゃないか、と何故、言えないのだろう。発言をまともに受け止めることはどこかでそれを肯定することではないのか。なるほど信仰も哲学もないこの国でそのことを立証するのは困難かもしれない。けれどもぼくは、この国は「殺さないこと」「殺されないために武器を持たないこと」を一度は倫理として生きてみようとした国だったのではないかという思いが強い。

  改憲論という世論もまた主流派になる今、これもまた何を寝ぼけたことをと言われるかもしれないが、しかし憲法前文や九条の理念を素直に信じることで成長した、それこそ、戦後民主主義と日教組によって育てられた子どもであるぼくなどはその理念は少なくとも自分のささやかな倫理の依り所になっているように思う。なるほど、この憲法はGHQの若手将校やスタッフが一週間ででっち上げたものである。押しつけられたものである。しかしそれにも関わらずひたすら理想主義的であり、その理想主義をしかも一度、この国は生きようとしたではないか。

  いや、そんな押しつけ憲法の存在こそが子どもたちの犯罪なのだという見解に対しては、むしろ、その理想をこの国が半端に放棄しかけたことこそが問題なのではないかと問い返してみたい。

  もう戦争はしない、殺さない、武器を持たない、そういう理想を結局全うできずに「自衛のため」の武器を持ち、それが一人前の国の条件だと誰もが思い込む。けれどもそれは「自衛」のためのナイフを握り、攻撃対象としての弱者を捜す少年のふるまいと重なってはこないか。

  先日の石原慎太郎の三国人発言はまさに「自衛隊」というバタフライナイフを向ける先としての弱者がここにいると示したに等しいふるまいで、確かに彼はそういった大衆の欲望をすくい上げることに関しては天才的である。

  その石原にせよバタフライナイフで「自衛」する少年にせよ、何かに脅え、そしてその発露として攻撃性を前面に押しだしている。しかしその脅えとは「殺してはいけない」というルールの不在から生じるものであり、とすれば確立すべきなのはそれこそ「自衛権」や「交戦権」といった「殺す権利」ではなく「殺してはいけない」という倫理からなるある種の共同性であり、この国の戦後は繰り返すがそれをそれなりに生きかけたことはあったではないか。ぼくにはそれが回復不可能とはどうしても思えない。

  だから多くの人が少年法の「改正」という法による抑止、あるいは「教育勅語」という「理念」の再評価によって少年犯罪の対象になりうると本当に思うなら、法よりより高次な法としての憲法、理念としてより理想主義的な憲法を ---- 何しろそれは押しつけた連中が全く生きることのできなかった理念だ ---- もう一度生き直してみる、というとても甘っちょろい戦後民主主義の再度の選択というものは、この国の将来の選択肢に加えてみるのが決して無駄ではないように思う。

  ぼくたちが「殺しちゃいけないでしょ」とちゃんと言える大人たちであるために何よりもそれは必要な手続きではないか。
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