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イデオロギーと文化

投稿者: katakurichan 投稿日時: 2002/07/24 19:32 投稿番号: [145446 / 177456]
自己レス&ちょっと息抜きの話をします。


>「どのような道を経て、あるいはどのような回り道を経て、戦争が消えていくのか。それを推測することはできません。しかし、今の私たちにもこう言うことは許されていると思うのです。
  文化の発展を促せば、戦争の終焉へ向けて歩みだすことができる!」


↑前に紹介した本の中にあった、フロイトの言葉なのですが、ここの「文化」に関連して、別の本で面白いと思ったところを紹介します。
「日本の町」(丸谷才一・山崎正和/文春文庫/初出は「くりま   昭和55年   夏季号   NO1」とあります)という本、これは、両人が日本の代表的な町のいくつかについて対談するといったものですが、この中に、金沢の文化について語っているところがあります。
前田利家は、金沢をよく治めたという話で「内治政策としての文化」という小題がついている部分がありまして、ここが面白いなと思ったのです。一部を引用します。

山崎    しかし、むずかしいところへ置かれたもんですよね。北陸は昔から京都と対立する勢力の基地となった土地だし、近くは一向一揆の巣窟でしょう。そこへ配したから、秀吉は、前田利家を内政・統治の名人だというふうに見てたんでしょうね。

丸谷    一向一揆というのは大変ですもんね。武力だけで戦えばいいという性格のものじゃない。もっとこみいっていて、ひどくやっかいな数式を解くような話でしょう。

山崎    戦国時代の戦争というものはちょっとゲームみたいなところがあって、負ければまいったという作法がきまっている。ところが一向一揆だけは本気で戦争する。一種のイデオロギー戦争ですからね。おそらく信長だって一向一揆で一番ひどい目に遭ってるし、秀吉もそれを見て知っている。彼らから見ると、そんなのあるかというような戦争をするわけですよ、一向一揆は。だからおそらくこわかったでしょうね。

丸谷    悪くするとゲリラ戦みたいなことになってしまう。だから利家は、もっと多面的な外交交渉に練達の男だと思われたんでしょうね。普通の武将相手の戦いだったら、答えは非常に簡単で一元的にいくけれども、そうじゃないですからね。
(中略)

山崎    かたわら、これも少し講談ダネめくけれども、徳川家に対して二心がないことを示すために盛んに文化振興の奨励をやる。

丸谷    そうそう。

山崎    徳川家向けということは、おそらく半分ぐらいは真実だろうと思うんです。しかし、ひょっとすると前田家というのはもう少し高等戦術を心得てて、一向一揆が荒れ狂った土地、非常に理屈っぽくて、権利の主張が強い土地柄へよそからやってきて、これを治めるのは文化しかないと思ったかもしれない。

丸谷    なるほど、イデオロギーを退治するには武力ではまずい。そうじゃなくて、たとえばお茶であるとか・・・・。

山崎    能であるとか。ちょうど戦後日本の文化国家の建設と同じで、外に対するイメージ戦略でもあったろうけれども、内治政策でもあったのではないか。

−−−−−

私は、金沢には縁戚も無く、よく知らないのですが、金沢の文化の背景にこんな話があるのかなと、面白い話だと思いました。それから、「イデオロギー戦争」というところに、ちょっと気にかかるものがありましたので、紹介してみました。
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