自衛的先制攻撃のケース・スタディ
投稿者: mystic_gq 投稿日時: 2002/02/19 20:41 投稿番号: [135945 / 177456]
●1967年の第三次中東戦争の布石。
1956年のスエズ動乱の後、英仏軍は撤退し、交戦国軍の間に最初の国連の平和維持軍(国連緊急軍UNEF)が置かれた。交渉の末、(1)アカバ湾は国際水路であること、(2)いかなる国も自由と無害通航を禁ずることはできないこと、(3)アカバ湾が封鎖された場合は、イスラエルは国連憲章第51条に基づき、自衛行動をとることができること、の以上三点が合意された。
<考察>
(1)国連憲章第51条は武力による威嚇および武力行使の禁止の例外として、国家が自己の判断で武力を行使できるのは自衛権に基づく場合だけであると規定している。
この自衛権発動(違法性阻却)の要件は、一般に
a)外部からの急迫不正な侵害が存在すること b)自国防衛のためやむをえずなした実力行使であること c)侵害行為と反撃行為との間に均衡性があることとされている。
しかし、第二次世界大戦以前、自衛権が濫用されがちで、それが平和の破壊、侵略につながったことを嫌って、その発動要件が一層厳格にされた。
A)国家または国民に対する急迫不正な侵害は、武力攻撃が発生した場合にのみ限られ、
B)安全保障理事会が国際の平和および安全保障政策の維持に必要な措置をとるまでの間
しか行使できず、
C)加盟国がとった措置は直ちに安全保障理事会に報告しなければならない、とされた。
以上のように国連憲章第51条は自衛権行使の要件を「武力攻撃」ある場合に限定している。第51条の武力攻撃と侵略の関係については「第51条の武力攻撃は侵略よりも狭い概念であり、たとえ侵略行為であっても、武力による攻撃の性質を有しないものは、第51条による自衛権行使としての武力の使用を正当化しない」と解釈するのが妥当であろう。武力攻撃に至らない干渉は、違法行為であっても、それは憲章第51条の自衛権発動を許容しない。かかる違法行為が「平和の破壊」と判断されれば第7章に従って、また「その継続が国際平和を破壊する虞れのある」ものについては、第6章にしたがって国連に提訴する権利を有するに過ぎない。
憲章が武力攻撃の発生を自衛権行使の要件としたのは、先制自衛を禁じ、侵略国と自衛国の区分を明確化できるようにとの意図によるものであるが、では、武力攻撃が「発生した場合」との規定から、現実に武力攻撃が存在しなければ自衛権の行使は認められないのかという問題がある。これは、攻撃を受けてからの反撃自衛では国家防衛の任務を全うできなくなった現代においては特に微妙な問題となった。しかしこの点、やはり具体的な被害を受けるまでこれに反撃する権利を認められなければ、自衛権は有名無実なものとなってしまう。
よって、現に武力攻撃に着手され、それが目前に迫っているような場合には自衛権の発動は許容されるものと解すべきであろう。
六日戦争に関しては実際にアラブ側からの攻撃はまだ発生していなかったが、エジプトが大軍をシナイ半島に移動させ、全軍を警戒態勢下に置き、予備役の動員を下命したという一連の流れを見ても、自衛権行使の余地はあるものと考える。
1958年の「領海および接続水域に関するジュネーブ条約」第16条4項によると「公海の一部と公海の他の部分、または外国の領海との間にあって、国際航行に使用される海峡の外国船舶による無害通航は停止してはならない」とある。アカバ湾内の通航ならびにチラン海峡の通航は公海と外国の領海との間の通航に該当する。無害通航とは「沿岸国の平和、秩序または安全を害しない」ことをいうが、イスラエルのタンカーが石油をつんでチラン海峡に入り、アカバ湾内を通航することは無害通航といわざるをえないhttp://classes.web.waseda.ac.jp/z-yshimada77/archive/regular/970612-0801.html
1956年のスエズ動乱の後、英仏軍は撤退し、交戦国軍の間に最初の国連の平和維持軍(国連緊急軍UNEF)が置かれた。交渉の末、(1)アカバ湾は国際水路であること、(2)いかなる国も自由と無害通航を禁ずることはできないこと、(3)アカバ湾が封鎖された場合は、イスラエルは国連憲章第51条に基づき、自衛行動をとることができること、の以上三点が合意された。
<考察>
(1)国連憲章第51条は武力による威嚇および武力行使の禁止の例外として、国家が自己の判断で武力を行使できるのは自衛権に基づく場合だけであると規定している。
この自衛権発動(違法性阻却)の要件は、一般に
a)外部からの急迫不正な侵害が存在すること b)自国防衛のためやむをえずなした実力行使であること c)侵害行為と反撃行為との間に均衡性があることとされている。
しかし、第二次世界大戦以前、自衛権が濫用されがちで、それが平和の破壊、侵略につながったことを嫌って、その発動要件が一層厳格にされた。
A)国家または国民に対する急迫不正な侵害は、武力攻撃が発生した場合にのみ限られ、
B)安全保障理事会が国際の平和および安全保障政策の維持に必要な措置をとるまでの間
しか行使できず、
C)加盟国がとった措置は直ちに安全保障理事会に報告しなければならない、とされた。
以上のように国連憲章第51条は自衛権行使の要件を「武力攻撃」ある場合に限定している。第51条の武力攻撃と侵略の関係については「第51条の武力攻撃は侵略よりも狭い概念であり、たとえ侵略行為であっても、武力による攻撃の性質を有しないものは、第51条による自衛権行使としての武力の使用を正当化しない」と解釈するのが妥当であろう。武力攻撃に至らない干渉は、違法行為であっても、それは憲章第51条の自衛権発動を許容しない。かかる違法行為が「平和の破壊」と判断されれば第7章に従って、また「その継続が国際平和を破壊する虞れのある」ものについては、第6章にしたがって国連に提訴する権利を有するに過ぎない。
憲章が武力攻撃の発生を自衛権行使の要件としたのは、先制自衛を禁じ、侵略国と自衛国の区分を明確化できるようにとの意図によるものであるが、では、武力攻撃が「発生した場合」との規定から、現実に武力攻撃が存在しなければ自衛権の行使は認められないのかという問題がある。これは、攻撃を受けてからの反撃自衛では国家防衛の任務を全うできなくなった現代においては特に微妙な問題となった。しかしこの点、やはり具体的な被害を受けるまでこれに反撃する権利を認められなければ、自衛権は有名無実なものとなってしまう。
よって、現に武力攻撃に着手され、それが目前に迫っているような場合には自衛権の発動は許容されるものと解すべきであろう。
六日戦争に関しては実際にアラブ側からの攻撃はまだ発生していなかったが、エジプトが大軍をシナイ半島に移動させ、全軍を警戒態勢下に置き、予備役の動員を下命したという一連の流れを見ても、自衛権行使の余地はあるものと考える。
1958年の「領海および接続水域に関するジュネーブ条約」第16条4項によると「公海の一部と公海の他の部分、または外国の領海との間にあって、国際航行に使用される海峡の外国船舶による無害通航は停止してはならない」とある。アカバ湾内の通航ならびにチラン海峡の通航は公海と外国の領海との間の通航に該当する。無害通航とは「沿岸国の平和、秩序または安全を害しない」ことをいうが、イスラエルのタンカーが石油をつんでチラン海峡に入り、アカバ湾内を通航することは無害通航といわざるをえないhttp://classes.web.waseda.ac.jp/z-yshimada77/archive/regular/970612-0801.html
これは メッセージ 135944 (mystic_gq さん)への返信です.
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