理性の声聞かぬアメリカ(2)
投稿者: chottomato2 投稿日時: 2002/02/08 16:26 投稿番号: [134671 / 177456]
■軽蔑語になった「自由と道徳」
ブッシュ政権が、非常に保守的な勢力の影響の下にあることは、疑問の余地がない。9月11日の事件の前でさえ、ブッシュ政権の主要政策は、富裕層への大幅減税、理由なき軍傭増強とエネルギー産業への支援、死刑愛好、銃規制に対する反対、そして環境保護政策への蔑視(べつし)といったものであった。
そして「反テロ戦争」にあわせて、.いまやブッシュ政権は、長年尊重されてきた市民的自由や司法手続きを骨抜きにする施策を開始した。数百人の移民が逮捕され、居場所も理由も公表されないまま監禁されている。司法省は、囚人と弁護土との電話を令状なしで盗聴できる権限を得たし、「エスニック固プロフアイリング」と称して、数千人のアラブ系やイスラム教徒の学生が当局に呼び出され尋問されている。
なかでも注目すべきは、ブッシュ政権が特別軍事法廷の創設を提案していることである。これは、テロの疑いをかけられた移民や外国人が秘密のうちに取り調べをうけ、通常の裁判所での審理もいっさいなしで、死刑になる可能性さえある。何人もの識者が指摘しているように、これは民主主義国家というよりも、独裁国家にありがちな「即決裁判」にきわめて近いものである。
アメリカは、世界を動員するために「反テロ戦争」を呼号しているが、ブッシュ政権の対外政策を一言で表現するには、むしろ「単独行動主義(ユニラテラリズム)」が一番よい言葉である。この路線を主導しているのは、ラムズフェルド国防長富とその周辺の「超タカ派」たちであり、彼らは軍事や国家戦略における「現実主義者」を自称し、なかには自分を「アメリカ主義者」と呼ぶ者もいる。
彼ら「現実主義者」の路線は、これまで「進歩的」とか「自由主義的」とされてきたものの大部分を根こそぎに捨て去ろうとするものである。いまやアメリカの政治論議では、「進歩的」とか「自由主義的」という言葉はたいてい軽蔑(けいべつ)語である。「理想主義」とか「道徳主義」はもはや便いものにならないとされ、対外政策の分野では、そんな発想は危険とさえみなされている。「国際主義」や「多角主義」は、いまや現実的政策や単独主義的政策の反対語である。
こうした世界観が何をもたらすか。その結果は明白である。「人権」などは「国家の安全」の前では犠牲に供されて当然となる。国連は鼻であしらっておけばいいし、犯罪を裁く国際法廷など、まったく不要である。軍事的解決が重視され、国際関係の不安定や国際紛争の真因に目を向けることは二の次となる。弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約をアメリカが一方的に否認したことにみられるように、軍傭を制限する条約は、国家の重大政策を妨げるものとしてしりぞけられる。地球温暖化対策のための京都議定書も否定された。
・・・・・(3)に続く→
ブッシュ政権が、非常に保守的な勢力の影響の下にあることは、疑問の余地がない。9月11日の事件の前でさえ、ブッシュ政権の主要政策は、富裕層への大幅減税、理由なき軍傭増強とエネルギー産業への支援、死刑愛好、銃規制に対する反対、そして環境保護政策への蔑視(べつし)といったものであった。
そして「反テロ戦争」にあわせて、.いまやブッシュ政権は、長年尊重されてきた市民的自由や司法手続きを骨抜きにする施策を開始した。数百人の移民が逮捕され、居場所も理由も公表されないまま監禁されている。司法省は、囚人と弁護土との電話を令状なしで盗聴できる権限を得たし、「エスニック固プロフアイリング」と称して、数千人のアラブ系やイスラム教徒の学生が当局に呼び出され尋問されている。
なかでも注目すべきは、ブッシュ政権が特別軍事法廷の創設を提案していることである。これは、テロの疑いをかけられた移民や外国人が秘密のうちに取り調べをうけ、通常の裁判所での審理もいっさいなしで、死刑になる可能性さえある。何人もの識者が指摘しているように、これは民主主義国家というよりも、独裁国家にありがちな「即決裁判」にきわめて近いものである。
アメリカは、世界を動員するために「反テロ戦争」を呼号しているが、ブッシュ政権の対外政策を一言で表現するには、むしろ「単独行動主義(ユニラテラリズム)」が一番よい言葉である。この路線を主導しているのは、ラムズフェルド国防長富とその周辺の「超タカ派」たちであり、彼らは軍事や国家戦略における「現実主義者」を自称し、なかには自分を「アメリカ主義者」と呼ぶ者もいる。
彼ら「現実主義者」の路線は、これまで「進歩的」とか「自由主義的」とされてきたものの大部分を根こそぎに捨て去ろうとするものである。いまやアメリカの政治論議では、「進歩的」とか「自由主義的」という言葉はたいてい軽蔑(けいべつ)語である。「理想主義」とか「道徳主義」はもはや便いものにならないとされ、対外政策の分野では、そんな発想は危険とさえみなされている。「国際主義」や「多角主義」は、いまや現実的政策や単独主義的政策の反対語である。
こうした世界観が何をもたらすか。その結果は明白である。「人権」などは「国家の安全」の前では犠牲に供されて当然となる。国連は鼻であしらっておけばいいし、犯罪を裁く国際法廷など、まったく不要である。軍事的解決が重視され、国際関係の不安定や国際紛争の真因に目を向けることは二の次となる。弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約をアメリカが一方的に否認したことにみられるように、軍傭を制限する条約は、国家の重大政策を妨げるものとしてしりぞけられる。地球温暖化対策のための京都議定書も否定された。
・・・・・(3)に続く→
これは メッセージ 134670 (chottomato2 さん)への返信です.
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