ICC:法の強制力の源泉について(上)
投稿者: etranger3_01 投稿日時: 2002/02/05 10:19 投稿番号: [134016 / 177456]
kamemusiさん、ご質問ありがとうございます。ごもっともな疑問であり、かつ実は誰もが一番疑問に思っていることでしょう。まずは、国際法の源泉の1つである国際条約というものがなんであるかをご理解いただく必要があるかと思います。
>国際社会における「法」を考える場合、その法の強制力の源泉をどこに求めたらいいのでしょうか。あるいは各国の国家主権を超えて法を執行する権力の根拠はどこにあるのでしょう。またその権力装置の形態はどういうものでしょうか。
NATOのような軍事条約機構とはまったく性質もその目的も異なりますが、ICCも純然たる国際条約機構です。すなわち、条約に批准し締約国となった国々は、それぞれ条約に定める項目(国際法)に従ってそれぞれの義務を果たす必要があります。ここに、法の強制力の源泉があります。すなわち、各締約国の「事前同意」(条約とはすなわちそういうことです)を得て迅速に必要な行動がとれるということです。この必要な行動には、警察および軍事行動が含まれます。
たとえば、当事国の警察や軍では対処できない場合、その当事国からICCを通じて国連安保理に「執行」権限が付託され、必要な警察および軍事力が用意されます。重要なのは、これらの強制力が当該国からの要請があって初めて成立するものであり、これまでのように一国が行動してそれを安保理が「事後承認」する形という"なし崩し"的な手法が通用しなくなることです。つまり、当該国が他国による武力介入を拒否し、よってICCが事態を安保理に付託できない場合は、「絶対に介入できない」という状況が国際史上初めて成立するのです。これが法が保障する主権です。
ICCに対する信頼と期待の根底がここにあります。ICCには、ゆにらてらりずむや安保理自体の暴走を止める抑止能力が備わっているのです。そして世界がICCの設立を望むということは、世界がそうした抑止能力を求めているということなのです。これが、法の支配がもたらす国際抑止力です。要は世界がそれに同意すればいい。その役割を担うのが、国際条約なわけです。これで、なぜアメリカがICCそのものに反対しているかおわかりいただけると思います。現体制の崩壊が、アメリカのもっとも懸念するところなのです。
これは メッセージ 133978 (kamemusi48 さん)への返信です.
固定リンク:https://yarchive.emmanuelc.dix.asia/1143582/bpjfa4lla5fa5m_1/134016.html