SECURITARIAN-2 (1)
投稿者: koukotsuNoHito 投稿日時: 2001/10/26 09:34 投稿番号: [105996 / 177456]
SECURITARIAN 10月15日号 pp.16 特集2「戦争法を知っていますか」
国際法の歴史を振り返ると,戦争の発生を防止し,その被害を軽減させることが,常に最大の課題でした.新しい世紀を迎え,豊かな明日を目指す私たちにとっての「現代の戦争法」とは、いったいどのようなものでしょうか。
早稲田大学法学部 教授 島田征夫
戦争とは
『湾岸戦争』
1990年8月2日,イラクは突如武力を持ってクウェート領域内に侵攻,全土を武力制圧・占領し,続いて併合した.国連安全保障理事会は,これに対し,国連憲章39条に従って,イラクの行動を『平和の破壊』と認定・非難し(決議660)国際の平和と安全を回復するため加盟国に「必要なあらゆる手段」を行使することを許可した(決議678)。アメリカを中心とする多国籍軍は,この決議に基づき,翌91年1月17日にイラクに対する軍事行動を開始,2月27日にクウェート開放が宣言され,戦闘は停止した。これを湾岸「戦争」という。戦闘の模様は,テレビなどを通じてお茶の間にも報道され,現在の戦争の実像が伝えられた.
ここで、我々は,湾岸戦争という用語を使っているが,そもそも戦争とは何か.戦争を定義すれば,一般には国家が目的をもって他国に対して行う武力闘争をいう,とされる.国際法的には,さらに、宣戦布告により始まり,戦時国際法が適用されることが付け加えられる.
『行為説と状態説』
ところで、国際法学者の間で,戦争の概念をめぐって学説の対立がある.代表的なものは,行為説と状態説である.行為説は,戦争を全体として国家の行為としてとらえ,戦争に訴えるとか,戦争を禁止されているなどという場合に適切である.状態説は,戦争を特別な国際法が妥当とする状態ととらえるもので,国際法の適用,すなわち戦争状態においては戦争法が適用されると考えた場合に最適と思われる。
一国(A)が軍隊をもって他国(B)の領域を占領したままその地に留まったとしよう.湾岸戦争でもそのようなことが起こっている.Aは武力を行使してBの領域に入ったのである。この例で言えば,Aが軍隊を使ってBの領域を占領したこと,つまり武力を行使した行為がすなわち戦争なのであり、この場合,行為説で説明できる。その後は,状態説で説明可能である.戦争法が適用されるからである。
現在我々は日本国憲法の前文と9条で戦争の放棄をうたい,また国連憲章では,戦争だけでなく武力行使も禁止されていることを知っている.果たして湾岸「戦争」という言い方は適切なのであろうか、また武力衝突のさい,どのような国際法が適用されるのであろうか。以下、これらの点について論じたい。
戦争の違法化
『自力救済が原則』
湾岸「戦争」という言い方は正しいのか。国連憲章2条4項は戦争(もちろん武力の行使も)を禁止しているので、戦争はもはや存在しないはずである.
では、どのようにして国際社会で戦争が禁止されていったのかを説明しよう.
国家の存在は,古代から認められる.それらの国家同士で利害の対立が生じた場合、武力が行使されること(戦争)は稀ではなかった.人類の歴史は戦争の歴史であると言われる所以である.しかし,国際社会には国内社会のような公権力が存在しない以上,法益を侵害された国家は,自らの手で救済措置をとらざるをえない.つまり、国際社会では、義務を履行しなかったり約束を破る国家に対して,国際社会が自らその履行を強制することはなかった.このため,不法行為救済の強制手段として,復仇や戦争が認められてきたのである.
国際法の歴史を振り返ると,戦争の発生を防止し,その被害を軽減させることが,常に最大の課題でした.新しい世紀を迎え,豊かな明日を目指す私たちにとっての「現代の戦争法」とは、いったいどのようなものでしょうか。
早稲田大学法学部 教授 島田征夫
戦争とは
『湾岸戦争』
1990年8月2日,イラクは突如武力を持ってクウェート領域内に侵攻,全土を武力制圧・占領し,続いて併合した.国連安全保障理事会は,これに対し,国連憲章39条に従って,イラクの行動を『平和の破壊』と認定・非難し(決議660)国際の平和と安全を回復するため加盟国に「必要なあらゆる手段」を行使することを許可した(決議678)。アメリカを中心とする多国籍軍は,この決議に基づき,翌91年1月17日にイラクに対する軍事行動を開始,2月27日にクウェート開放が宣言され,戦闘は停止した。これを湾岸「戦争」という。戦闘の模様は,テレビなどを通じてお茶の間にも報道され,現在の戦争の実像が伝えられた.
ここで、我々は,湾岸戦争という用語を使っているが,そもそも戦争とは何か.戦争を定義すれば,一般には国家が目的をもって他国に対して行う武力闘争をいう,とされる.国際法的には,さらに、宣戦布告により始まり,戦時国際法が適用されることが付け加えられる.
『行為説と状態説』
ところで、国際法学者の間で,戦争の概念をめぐって学説の対立がある.代表的なものは,行為説と状態説である.行為説は,戦争を全体として国家の行為としてとらえ,戦争に訴えるとか,戦争を禁止されているなどという場合に適切である.状態説は,戦争を特別な国際法が妥当とする状態ととらえるもので,国際法の適用,すなわち戦争状態においては戦争法が適用されると考えた場合に最適と思われる。
一国(A)が軍隊をもって他国(B)の領域を占領したままその地に留まったとしよう.湾岸戦争でもそのようなことが起こっている.Aは武力を行使してBの領域に入ったのである。この例で言えば,Aが軍隊を使ってBの領域を占領したこと,つまり武力を行使した行為がすなわち戦争なのであり、この場合,行為説で説明できる。その後は,状態説で説明可能である.戦争法が適用されるからである。
現在我々は日本国憲法の前文と9条で戦争の放棄をうたい,また国連憲章では,戦争だけでなく武力行使も禁止されていることを知っている.果たして湾岸「戦争」という言い方は適切なのであろうか、また武力衝突のさい,どのような国際法が適用されるのであろうか。以下、これらの点について論じたい。
戦争の違法化
『自力救済が原則』
湾岸「戦争」という言い方は正しいのか。国連憲章2条4項は戦争(もちろん武力の行使も)を禁止しているので、戦争はもはや存在しないはずである.
では、どのようにして国際社会で戦争が禁止されていったのかを説明しよう.
国家の存在は,古代から認められる.それらの国家同士で利害の対立が生じた場合、武力が行使されること(戦争)は稀ではなかった.人類の歴史は戦争の歴史であると言われる所以である.しかし,国際社会には国内社会のような公権力が存在しない以上,法益を侵害された国家は,自らの手で救済措置をとらざるをえない.つまり、国際社会では、義務を履行しなかったり約束を破る国家に対して,国際社会が自らその履行を強制することはなかった.このため,不法行為救済の強制手段として,復仇や戦争が認められてきたのである.
これは メッセージ 105711 (koukotsuNoHito さん)への返信です.
固定リンク:https://yarchive.emmanuelc.dix.asia/1143582/bpjfa4lla5fa5m_1/105996.html