ユギオII - その20
投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/05/05 23:39 投稿番号: [55126 / 73791]
投稿者:拓
<その20>
ヘリ護衛艦は、他の2艦に小型船の追跡拿捕を継続するよう無線で発した後、一部機関の不具合で帰港せざるを得ない旨を発信した。この一部機関名こそ、工作船を出港させた北の指揮官に対する暗号通信だったのである。「無事救助した」という連絡であった。
「ソウル郊外」
すべては手配通りに進み、北の中間派グループの密使カンと三枝は、その日の午後には李政権が指定した秘密基地にヘリで到着していた。
三枝が基地に到着すると、旧知ハン次官と米軍顧問団の大佐が出迎えた。
カンは、身分証明書はおろか、北中間派重要人物の信任状すら身につけていなかった。すべては頭の中にあると言ってはばからなかった。三枝は、これでは李大統領との面会はおろか、韓国諜報部がどこまで信用してくれるのか大いに疑問を感じていた。カンの若さだけでなく、一見頼りなさそうに見えるカンの表情や態度が三枝の不安をつのらせていた。米大佐もこの一見うだつがあがらなそうな朝鮮人に疑惑の目を向けていた。しかし、ハン次官はカンの話に大いに関心を抱いた風であった。というのは、カンの話には北から韓国に亡命してきた北の要人中の要人、黄なにがしと合い通じるものがあったからである。
李政権に接触する目的をなかなか話さないカンに米大佐はしびれを切らせたように、監視衛星と北に潜入させた工作員がもたらした北の長距離砲の位置を示す地図をカンの前に広げた。南側にとっては極めて重要な極秘情報である。しかし、カンは相変わらずたよりなさそうな顔でひとしきり眺めると、もっと詳細な地図を要求した。カンは、今度は地図に記憶を辿るように神経を集中させると、赤で○×を記入した。○は正しい位置であり、×は正しくないかダミーであると言った。これを見たハンと米大佐は驚いた。韓米軍がこれまでに監視衛星と工作員で掌握した位置の半数が×であったのである。さらにカンは、唖然としている米大佐に構わず、地図上に新たに青○を十数か所追加した。
「この青○を至急調べてください。1ヵ月程前の配置です。その後のことは分かりません..」
そしてカンは、三枝に視線を向けると、はっきりした日本語で、「なぜ私を李大統領に会わせてくださらないのですか?
時間がないのです。急を要するのです。大変重要なお話があるのです。目黒の父も今頃は榊原様を通じて日本首相にお話していると思います..」
「ん?」
三枝は、カンが日本語を話したのに驚いた。それも流暢な日本語であった。
<ではまた>
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