「爺の剣」 - 3
投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/02/19 22:07 投稿番号: [50098 / 73791]
投稿者:直子
面ががら空きでしたが、うっかり面には行けません。出小手か胴を抜かれます。
また爺の竹刀を払い落として二段打ち、三段打ちを繰り返そうとしましたが、爺は私に空を切らせてはすれ違って行きます。普通ならここで体当たりか、つばぜり合いになるのですが、爺は私の左右を自在にすり抜けて行きます。
今度は、突きに集中して突っ込み、ハッとしました。爺は私の竹刀巻くようにして拳を振り上げながらわずかに私の右前方に体を移動すると、そのまま私の右面に振り下ろす気配を感じました。「あっ!」と思ってすかさず爺に体当たりし、間髪を入れず引き面を出しました。でもいなされました。私の引き面をいなすとき爺の右小手がわずかに上がるのがわかりましたから、すかさず気で攻めて接近して体当たりし、引き面からすぐに右小手を打とうとしたのですが、私の竹刀は爺の竹刀に払い落とされ、逆に爺に間合いを詰められてしまいました。ここで心や気が後向きになったり、退くと危険です。ですから、すかさず爺の竹刀を割って前に出て攻めたのですが、いなされて一本になりません。
その内、試合というより、まるで掛かり稽古のようになってしまうのがわかりました。でも、どうすることもできません。
掛かり稽古は、一気にやると30秒もしないうちにへとへとになります。爺はこれでもか、これでもかといったぐあいに前へ前へ出てきます。すごい圧迫感です。集中力が乱れて行くのがわかりました。体当たりしても爺はびくともしません。息が苦しくなり、身体が思うように動かなくなりました。爺の息もつかせぬような圧迫感の連続で気を取り直す余裕もありません。そんなとき、無意識の中で爺の面が一瞬空いたように思えました。瞬間、私は一気に面に行ったのです。
私は下から突き上げられ、床に仰向けにひっくり返っておりました。
「それまで、勝負なし!」という高木師範の声が聞こえました。
「二日目」
昨夜、高木師範は「勝負なし」といいましたが、私の惨敗です。すっかり爺に手玉にとられたのです。くやしくて、夜うなされてしまいました。今夜は、2時間早く道場へ行きました。
不思議です、道場にはたった今まで誰かがいたかのように明かりが点いていて、床も雑巾がけしたばかりという感じでうっすらと濡れております。さっそく稽古着に着替えて防具を着けました。
道場には大きな姿見があります。その前で昨夜の爺の構えをしてみました。どう考えても、この構えは私の正眼の構えに対して不利です。長所といえば、相手が打ってくる部位を絞り込み、予測できることぐらいです。私の瞬発力は、爺に勝っているはずです。それでも爺は、私より紙一重早く私の打ち込みに反応しているのです。
「まさか...」
私は鏡の向こうの私を爺に見たて、昨夜の試合を実戦さながらに再現してみました。何度か繰り返す内に、ハッとしました。
面ががら空きでしたが、うっかり面には行けません。出小手か胴を抜かれます。
また爺の竹刀を払い落として二段打ち、三段打ちを繰り返そうとしましたが、爺は私に空を切らせてはすれ違って行きます。普通ならここで体当たりか、つばぜり合いになるのですが、爺は私の左右を自在にすり抜けて行きます。
今度は、突きに集中して突っ込み、ハッとしました。爺は私の竹刀巻くようにして拳を振り上げながらわずかに私の右前方に体を移動すると、そのまま私の右面に振り下ろす気配を感じました。「あっ!」と思ってすかさず爺に体当たりし、間髪を入れず引き面を出しました。でもいなされました。私の引き面をいなすとき爺の右小手がわずかに上がるのがわかりましたから、すかさず気で攻めて接近して体当たりし、引き面からすぐに右小手を打とうとしたのですが、私の竹刀は爺の竹刀に払い落とされ、逆に爺に間合いを詰められてしまいました。ここで心や気が後向きになったり、退くと危険です。ですから、すかさず爺の竹刀を割って前に出て攻めたのですが、いなされて一本になりません。
その内、試合というより、まるで掛かり稽古のようになってしまうのがわかりました。でも、どうすることもできません。
掛かり稽古は、一気にやると30秒もしないうちにへとへとになります。爺はこれでもか、これでもかといったぐあいに前へ前へ出てきます。すごい圧迫感です。集中力が乱れて行くのがわかりました。体当たりしても爺はびくともしません。息が苦しくなり、身体が思うように動かなくなりました。爺の息もつかせぬような圧迫感の連続で気を取り直す余裕もありません。そんなとき、無意識の中で爺の面が一瞬空いたように思えました。瞬間、私は一気に面に行ったのです。
私は下から突き上げられ、床に仰向けにひっくり返っておりました。
「それまで、勝負なし!」という高木師範の声が聞こえました。
「二日目」
昨夜、高木師範は「勝負なし」といいましたが、私の惨敗です。すっかり爺に手玉にとられたのです。くやしくて、夜うなされてしまいました。今夜は、2時間早く道場へ行きました。
不思議です、道場にはたった今まで誰かがいたかのように明かりが点いていて、床も雑巾がけしたばかりという感じでうっすらと濡れております。さっそく稽古着に着替えて防具を着けました。
道場には大きな姿見があります。その前で昨夜の爺の構えをしてみました。どう考えても、この構えは私の正眼の構えに対して不利です。長所といえば、相手が打ってくる部位を絞り込み、予測できることぐらいです。私の瞬発力は、爺に勝っているはずです。それでも爺は、私より紙一重早く私の打ち込みに反応しているのです。
「まさか...」
私は鏡の向こうの私を爺に見たて、昨夜の試合を実戦さながらに再現してみました。何度か繰り返す内に、ハッとしました。
これは メッセージ 50088 (k_g_y_007_naoko さん)への返信です.