“平和ボケ”のお部屋

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吉備津の釜2

投稿者: sikemokudx 投稿日時: 2004/01/17 09:41 投稿番号: [4587 / 17759]
女君は屏風を少し引き空け
「めずらしくもお目にかかったこと。つれないしうちの報いのほど、思い知らせてあげようぞ。」
と言うので
正太郎がハッとして見ると。故郷に残してきた磯良であった。
顔の色、ひどく青ざめ、たるんだ眼すさまじく、差し出した手、青くほそり
その恐ろしさに正太郎は気絶してしまう。

時うつって、息を吹き返した正太郎は廣野の荒れたお堂にいる事を知る。
走り、里に帰り彦六に顛末を聞かせると
彦六は陰陽師を紹介する。正太郎、陰陽師に始終を話すと
陰陽師
「わざわいは身に迫ってる、磯良が恨み袖の命を奪ったがそれでつきず、
  そなたが命、旦夕にせまっている。」
と言い、磯良が鬼がこの世を去ったのが七日前だからこれから
四十と二日、符文を張った室から出てはならぬと言う。

正太郎が固く教えを守り室に閉じこもっていると、夜も三更けた頃
おそろしい声がして
「あなにくや、ここにも符文がはってある。」
とつぶやき、再び声がしなくなった。

こうした夜が毎日毎日続き、鬼は屋根に棟に登り叫び
日増しに烈しくなった。
しかし、とうとう四十二日の最後の夜となりその夜も無事に明け
隣の室にいた彦六の壁がドンドンと叩かれ
正太郎が夜も明けた重いものいみもいよいよ終わった。外に出ようと言う。
彦六は「用意の無い男」だったので正太郎が声に答え
符文を破り室の戸を開ける。
開けるや否や
「ああ」と言う絶叫が聞こえ覚えず外に出てみると。

明けたると言う夜はまだ暗く、月は中空ながら影うろうろとして風ひややかに・・・

彦六あわてて正太郎が室に戻ると
壁おびただしく血はながれ、あとには何も無い。
ただ軒のつまに、男の髪のもどりがかかっていただけであった。

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貴志祐介『十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA―』の
イソラの元がこの吉備津の釜の磯良である。
が、私はこの吉備津の釜をさほど怖いとは思えない。
確かに磯良が恨み執念深く鬼の様ではあるが
正太郎とその妾、袖は自業自得と言えばそれまでだからだ・・・

世に恐ろしきは
捨てた女の恨みより
袖振り合った女の逆恨みではなかろうか・・・
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