悲しいサヨクのための嬉遊曲

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fuzisaka2003嬢へ(3)

投稿者: lilasnosakukoro 投稿日時: 2005/10/20 14:09 投稿番号: [1700 / 22816]
  つづきのつづき。


  父は、昨年の夏亡くなった。
  その後、私は郷里に1人残された形の母が住む実家と現在の自宅がある関東とを、法事のたびに行き来しては少し長めに滞在するようにしている。つい最近も里帰りしてきたばかりだ。
  そのとき、私は母に言った。
「私ね、正直に言うとお母さん側の親戚の方がお父さん側の親戚よりも品があると思うんだよね。昔からそう思っていた」
  すると母は、こう答えたのだ。
「そうかもしれないけど、お父さん自身には品があったよ」
  散々、お金に汚い姑とのことで夫と口論してきた母だ。父の男らしさに欠ける面に悩まされてきた母だ。そして、父が亡くなるまでの数年間は、寝たきりになった病気の夫の看護にほぼ縛りつけらた状態で過ごした母だ。その母の口から
「お父さん自身には品があったよ」
という言葉が漏れたことに、私は頭が下がる思いだった。そして、父の一生がすばらしいものであり十分に報われたものであることを確信した。

  私は、今でも父の一族は(おば達も含めて)あまり品のない人々だという気持ちを捨て切れない。しかし、父その人には一種の品格、見識のようなものがあったことは率先して認める。それは、父が、努力の末に自力で獲得したものだ。それを、一生をほぼともにした愛する妻からちゃんと認められている。それは、この世界全体、いや日本という小さな国のなかだけで考えてもあまりにもささやかなことだ。しかし、父自身には、これ以上に大きな勲章はないとも思っている。

  人間が自己努力によって乗り越え、獲得し、自分が抱えていた問題を解決していくというのは、この父のようなありかただと私は改めて教えられたような気がしている。

  ただし、以下も付け加えておくのが公平だろう。
  私のきょうだいのひとりは父と同じ職業に就いたが、まったく父のことを評価していていない。むしろ、「あの父のようにはなるまい」と思って自分を叱咤激励しているように私には感じられる。それはそれで彼と父の間でさまざまな過程を経て生じてきたことだろうから、私には口出しできないし、彼の評価のほうが正しい部分があるのかもしれない。


  さて、私がお伝えしたいことは以上だ。いわば一方的なおしゃべりに過ぎない。もしここまで読み通してくださったとして、改めて読み返される必要もない。
  ただ、この私もすでにオバサンといわれるにふさわしい年齢の人間だ。だから、おそらく自称しておられる通りまだお若いだろうあなたに、ある1人の男の人生と、それを、実の娘が自分の人生の折り返し地点でどう受け止めるようになったかを頭の片隅にでもとどめていただければ、と思って書いた。

  なんのことだかわからないし別に印象に残るようなことでもないとお考えになっても、それはfuzisaka2003嬢、あなたのご自由である。


  それでは、ともあれお別れを述べておくことにする。
                               リラ拝
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