Re: 「イルカと話す日」
投稿者: discover_200 投稿日時: 2008/08/28 00:46 投稿番号: [39620 / 63339]
博士は本書の中で、きわめて科学的=論理的(まるでバルカン人のよう)に、「脳」を手がかりにイルカ・クジラを追及し、人間とのコミュニケーションについて探求している。言い換えれば、そのことはそのまま、人間を追及することであり、生命を追及することでもある。本書の中で博士が繰り広げている異生物と人間(他者と自己)に関する展開は、「イルカ・クジラは賢い」「イルカ・クジラは可愛い」といった簡単な感想を持たせてはくれない。現在巷間を賑わしている、いわゆる「イルカ・ブーム」とは本質的に異なる、より求心的なベクトルが本書の中にはある。我々は自己に対して、また同様に他者に対して、もはや「他力本願」ではいられない。LSDに代表される向精神薬における体験や、野性生物との遭遇、信じられないような自然体験、伝統宗教における身体行、ビジョン・クエストなどのネイティブ・ピープルの儀式などは本来、「自分がこの宇宙の中で決して特別ではなく、他の生命とまったく等しい一つの生命である」ことを知るための技法だったはずである。しかし、そういった体験が逆に「自分は特別である」という思いを強くさせてしまいかねない恐れのある今こそ、こういった一冊が広く読まれることを願う。博士は本書の中で、「人間がついにブレークスルー(限界の打破)を達成し、高度な知性を持つ、地球上の別の生命とコミュニケーションを交わすようになった」近未来を想定している。そのわくわくするような未来は、まさしく全員が勝者のゲームのように思える。イルカ・クジラも、人間も、他のすべての生物も、環境も、精神も、すべてにとって有益な未来のように私には思える。続けて博士は言う、「人間の将来像と、この地球上のサバイバルの可能性については、以上述べたような未来像が、もっとも実現の可能性が高いと著者には思えるのである。こうした構想を持たないかぎり、人間は現在の生き方を改めることができないだろう。人間の科学、技術、社会はますます独善的な傾向を強め、自分以外の生物や、現在の生き方以外の生き方について考えなくなるだろう。人間が空の星に目を向けるようになり、地球上の人間以外の生物に注目するようになれば、視野が広がり、その科学はいっそう充実し、その哲学は、本来の宇宙と調和したものになるだろう。」と。この言葉こそがすべてを語っているように私には思える。地球は決して人間のものなどではないし、イルカ・クジラも人間にとっての海洋資源、観光資源などではない。博士の描く近未来は、生命の輝きに溢れたネオ・アニミズムともいえるような時代なのではないかと、私は思う。(スタジオヴォイスVOL227
1994)
Posted at 2007年01月22日 21:18
Posted at 2007年01月22日 21:18
これは メッセージ 39619 (discover_200 さん)への返信です.
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