中東情勢

Yahoo! Japan 掲示板トピックビューアー

[ << 最初のページ | < 前のページ | メッセージリスト | 掲示板表示 | [ メッセージ # ] | 次のページ > | 最後のページ >> ]

英米テロ対策の誤り

投稿者: nanisun_carrion 投稿日時: 2005/07/31 14:49 投稿番号: [369 / 509]
  ロンドンでのテロ発生の翌日、私はある地方都市で乗ったタクシーのカーラジオの「解説」を耳にして、卒倒しそうになった。「イスラム教徒ってのは、生まれた時からああいう教育を受けて育っているからね」

  うわあ。出た。途中から聞いたのでわからないが、「ああいう」というのは多分、「自爆」とか「反欧米」とかいうことだろう。と、それを受けてアナウンサーが「なんといってもイスラム教徒には、女性が婚前交渉したら焼き殺す習慣がありますからね」。

  うっひゃー。夫の死で妻が焼身殉死させられる慣習が問題になったのは、インドのヒンドゥー社会だよ!

  どうも日本の国際感覚は、いまだ「海を越えると摩訶(まか)不思議な野蛮人の住む社会」的に、皆一緒くたにする傾向があるようだ。

  こういう時が一番、途上国研究をやっていて悲しくなる。9・11事件から、アフガニスタン戦争、イラク戦争まで、一貫して日本の中東研究者は、「たまたまイスラム教徒に生まれたふつうのイスラム教徒と、主義主張でテロを持ち込む政治活動家は違う」と言い続けてきた。攻撃的なセクトに加わることと、信仰熱心なこととは無関係で、それは宗教の対立というより、英米の政策に反発する政治の対立なのだ、と。

  それが、伝わらない。ブッシュやブレアがイスラム世界のあっちこっちでやっている戦争は、本当に必要な「テロ対策」じゃなくて、ただあさっての方向を向いて無駄に武力とカネを浪費しているだけだ。

  と、ラジオの解説はイギリスにも及んだ。「何せイギリスは植民地で悪いこといっぱいしてきたからね」

  今回の事件で印象的だったのは「ショックだがびっくりはしない」というイギリス政府の最初の反応だ。イラク戦争派兵から覚悟していた、という姿勢である。あるいは、イギリスの植民地政策がすべての中東問題の源である以上、「自分たちは天使じゃない」ことに無自覚ではいられない。

  これは、米政権の姿勢と対照的だ。ブッシュ米大統領は6月末にイラクへの主権移譲1周年を記念して、「我々は暴力と不安定の素を取り除いている」「イラクで道路を直し水と電力の供給を改善している」と、演説した。いったいどこの話だ?   どのイラクを見てそう言っているんだ?

  史上最悪の水不足(上水道がダメになっている)と停電で危機的状況だというのに、米軍兵士はプールで水浴び、という今のイラクを見れば、ブッシュは「別世界のイラク」のことを話しているとしか思えない。

  ロンドン在住の友人が、メールで伝えてきた。「こうやって、国のどこかで爆弾が爆発してひどいことになって被害者が出て街が壊れ……という状況は、これまで何度も何度もあった」

  パレスチナやベイルート、そしてイラクで何度も何度もあることを、同じ目にあわなければ本当に親身になってみられない、というのでは、困る。

酒井   啓子(アジア経済研究所主任研究員)
[ << 最初のページ | < 前のページ | メッセージリスト | 掲示板表示 | [ メッセージ # ] | 次のページ > | 最後のページ >> ]

Yahoo! Japan 掲示板 アーカイヴ

[検索ページ] (中東) (東亜) (捕鯨 / 捕鯨詳細)