「戦後イラクにおける民主化」酒井啓子②
投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2005/11/26 04:23 投稿番号: [84909 / 118550]
亡命勢力が、「民主化」の過程でイラク国内の諸地域社会勢力を取り込んで
いったのだろうか、それとも米国の介入を嫌うイラク社会の民意によって、
国内社会勢力の挑戦の前に舞台から去ることになったのだろうか。
戦後の政治プロセルの中で移植・台頭した政治勢力が
移行国会選挙を生き延びた割合は、占領期閣僚を除いて半数以上といえる。
移行政府38人の内統治評議会経験者が4人、戦後の閣僚経験者が17人であるのに
対して、そうした経験のない人物の閣僚起用は21人であった。移行国会選挙に
よる政治エリートの連続性/非連続性は、非連続性が勝っているといえる。
(1) 戦前の米支援組織は自動的に戦後の統治中心になっていないこと
(2) シーア派イスラーム主義勢力は戦後政治プロセスを着実に活用して、
米支援の対象外であった国内組織を政治中枢に組み込んでいること
(3) スンナ派系諸政党の支持基盤の地域限定性
クルドは米政権の支援方針と矛盾せずに「民主的」に選出されたという
正統性を獲得することができた。
シーア派イスラーム主義勢力は、亡命政党がシーア派宗教界や
国内の反米強硬派などの国内勢力との連携を着実に確立していった結果、
「民主的」手段によって圧倒的な支持の上に政権中枢に立つことができたが、
それは米政権のイラク支援構想の枠を大きくはずれるものであった。
スンナ派系の諸勢力は、米政権による戦前の登用準備もなされず、
自発的な政党結成の能力もないまま、結果的にフセイン政権時代と同様に
部族的動員力を持つ個人政治家だけが地方に限定された支持を得たにとどまった
戦後の政治プロセス全般を見れば、米主導で移植した亡命イラク人政党が
国内基盤の各種政治勢力を「取り込む」過程であったといえるが、
イスラーム主義政党はその取り込みに成功し、
アッラーウィら世俗派は失敗した、ということにつきる。
スンナ派系諸勢力にいたっては、取り込む主体の確立すらも実現できておらず、
選挙の結果ではむしろ体制外にはじきだされた。
すなわち今後「取り込まれる」側に位置づけられることになってしまった。
<追記>憲法草案を巡って
結論からいえば、十分な議論のないままとりまとめられた憲法草案は、
各政治勢力の主張を調整のないまま併記し、争点を先送りしたものとなった。
形式的な「民主化」の推進によって政治的主張の「自由化」のみ進められ、
それを統合する努力が十分尽くされていないことから、意見の対立が
領土の対立に転化され、いまや国家の「分裂」の危機をも孕むにいたっている。
いったのだろうか、それとも米国の介入を嫌うイラク社会の民意によって、
国内社会勢力の挑戦の前に舞台から去ることになったのだろうか。
戦後の政治プロセルの中で移植・台頭した政治勢力が
移行国会選挙を生き延びた割合は、占領期閣僚を除いて半数以上といえる。
移行政府38人の内統治評議会経験者が4人、戦後の閣僚経験者が17人であるのに
対して、そうした経験のない人物の閣僚起用は21人であった。移行国会選挙に
よる政治エリートの連続性/非連続性は、非連続性が勝っているといえる。
(1) 戦前の米支援組織は自動的に戦後の統治中心になっていないこと
(2) シーア派イスラーム主義勢力は戦後政治プロセスを着実に活用して、
米支援の対象外であった国内組織を政治中枢に組み込んでいること
(3) スンナ派系諸政党の支持基盤の地域限定性
クルドは米政権の支援方針と矛盾せずに「民主的」に選出されたという
正統性を獲得することができた。
シーア派イスラーム主義勢力は、亡命政党がシーア派宗教界や
国内の反米強硬派などの国内勢力との連携を着実に確立していった結果、
「民主的」手段によって圧倒的な支持の上に政権中枢に立つことができたが、
それは米政権のイラク支援構想の枠を大きくはずれるものであった。
スンナ派系の諸勢力は、米政権による戦前の登用準備もなされず、
自発的な政党結成の能力もないまま、結果的にフセイン政権時代と同様に
部族的動員力を持つ個人政治家だけが地方に限定された支持を得たにとどまった
戦後の政治プロセス全般を見れば、米主導で移植した亡命イラク人政党が
国内基盤の各種政治勢力を「取り込む」過程であったといえるが、
イスラーム主義政党はその取り込みに成功し、
アッラーウィら世俗派は失敗した、ということにつきる。
スンナ派系諸勢力にいたっては、取り込む主体の確立すらも実現できておらず、
選挙の結果ではむしろ体制外にはじきだされた。
すなわち今後「取り込まれる」側に位置づけられることになってしまった。
<追記>憲法草案を巡って
結論からいえば、十分な議論のないままとりまとめられた憲法草案は、
各政治勢力の主張を調整のないまま併記し、争点を先送りしたものとなった。
形式的な「民主化」の推進によって政治的主張の「自由化」のみ進められ、
それを統合する努力が十分尽くされていないことから、意見の対立が
領土の対立に転化され、いまや国家の「分裂」の危機をも孕むにいたっている。
これは メッセージ 84908 (imonoyamashotengai さん)への返信です.
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