イラク戦争の間違いと失敗(2)
投稿者: bonno_216 投稿日時: 2005/11/24 16:16 投稿番号: [84836 / 118550]
(つづきです)
「イラクを民主化する」という目的自体は、善意であり崇高であり理想ですから「間違い」であろうはずはありません。しかし「イラクを武力攻撃し、旧政権を解体し、軍事占領し、政治支配する」ことによって、これを実現できると考えたことが、最大の「間違い」なのです。あえて極端な喩えをするなら「殺人によって魂を救う」という、オウムの「ポア」に近い矛盾・倒錯だとすら言えるでしょう。
戦争には、様々な思惑が絡みます。純粋に「イラクを民主化したい」と望む者だけが、戦争を歓迎するのではないのです。あなたが忌み嫌う「テロリスト」だって、フセイン政権の崩壊とイラクの政治空白を歓迎したでしょう。同じように、イラクの石油利権を狙う、米英系の巨大資本も「民主的ではない」新生イラクを期待しました。たとえブッシュ大統領が本気で「イラクを民主化したい」と望んでいても、実際、戦争に資金を提供し、戦時宣伝を繰り広げるのは、資本家たちです。やはり戦争遂行の当事者でもある「テロリスト」をも含め、彼らの思惑が、この戦争の結果に反映しないはずはないのです。kibi_danngoroさんが指摘されたように、「商売として戦争を必要とする」軍需産業なども、「イラク民主化」は眼中にありません。
聖地パレスチナ奪回を旗印に掲げた「十字軍」は、結局、サラディンに敗北したあと、ベネチア商人の薦めに従って、ハンガリー、ビザンチンを侵略、ラテン帝国を建設しました。このように、戦争を始める時は「理念」が幅をきかせますが、戦争の原動力は「実利」なのです。イラク戦争の当初の目的が「イラクの民主化」であったとしても、戦争を始めれば、「実利」を追求する者たちに「理念」が奪われてしまいます。彼らは「理念」の影に隠れて「実利」を追求するため、兵士や大衆は、いつまでもその「理念」を信じて、せっせと「実利」追求者に奉仕する…という図式になるのです。
私はブッシュ大統領が「イラク民主化」という崇高な理念を持ってイラク戦争に望んだとは、欠片ほどにも信じていませんが、たとえ彼が、そのような理想主義者であるとしても、戦争の目的を歪め、結果を台無しにしてしまう「実利」追求グループを排除して戦争を遂行することは不可能だったでしょう。ある程度の常識を備えた政治家ならば、そうした「戦争の危険性」は、当然、理解していなければなりません。ゆえに、ブッシュ氏の「理念」を信じるならば、それは同時に彼の「無能」を暴露するということになってしまうのです(私は「ブッシュ氏が無能ではなく、理念が嘘だったのだ」と思っていますが…)。
目的が「イラクの民主化」であればこそ、武力侵攻、軍事占領、政治支配は「間違っ」た選択です。イラクの政治状勢がアメリカの「思いどおり」にならないから「失敗」だったのではなく、上記、間違った選択によって、イラク戦争の「大義(民主化)」が崩壊したから「失敗」なのです。
おそらく正真正銘の「理想主義者」と見られる、ネオコンのリーダー、ポール・ウォルフヴィッツ氏が強く主張したように、フセイン政権の崩壊時点で速やかに軍を撤退させていたのなら、まだかろうじて「民主化」の大義だけは保たれていたかも知れません(「大量破壊兵器廃棄」という偽の大義によって、彼の主張は退けられましたが…)。
しかし「戦争」という巨大なメカニズムは、そんな青臭い「理想」によってコントロールできるものじゃないのです。理想を掲げて戦争を賛美する人々は、ぜひとも、その事を脳裏に叩き込んでおいて欲しいと思います。
(おわります)
「イラクを民主化する」という目的自体は、善意であり崇高であり理想ですから「間違い」であろうはずはありません。しかし「イラクを武力攻撃し、旧政権を解体し、軍事占領し、政治支配する」ことによって、これを実現できると考えたことが、最大の「間違い」なのです。あえて極端な喩えをするなら「殺人によって魂を救う」という、オウムの「ポア」に近い矛盾・倒錯だとすら言えるでしょう。
戦争には、様々な思惑が絡みます。純粋に「イラクを民主化したい」と望む者だけが、戦争を歓迎するのではないのです。あなたが忌み嫌う「テロリスト」だって、フセイン政権の崩壊とイラクの政治空白を歓迎したでしょう。同じように、イラクの石油利権を狙う、米英系の巨大資本も「民主的ではない」新生イラクを期待しました。たとえブッシュ大統領が本気で「イラクを民主化したい」と望んでいても、実際、戦争に資金を提供し、戦時宣伝を繰り広げるのは、資本家たちです。やはり戦争遂行の当事者でもある「テロリスト」をも含め、彼らの思惑が、この戦争の結果に反映しないはずはないのです。kibi_danngoroさんが指摘されたように、「商売として戦争を必要とする」軍需産業なども、「イラク民主化」は眼中にありません。
聖地パレスチナ奪回を旗印に掲げた「十字軍」は、結局、サラディンに敗北したあと、ベネチア商人の薦めに従って、ハンガリー、ビザンチンを侵略、ラテン帝国を建設しました。このように、戦争を始める時は「理念」が幅をきかせますが、戦争の原動力は「実利」なのです。イラク戦争の当初の目的が「イラクの民主化」であったとしても、戦争を始めれば、「実利」を追求する者たちに「理念」が奪われてしまいます。彼らは「理念」の影に隠れて「実利」を追求するため、兵士や大衆は、いつまでもその「理念」を信じて、せっせと「実利」追求者に奉仕する…という図式になるのです。
私はブッシュ大統領が「イラク民主化」という崇高な理念を持ってイラク戦争に望んだとは、欠片ほどにも信じていませんが、たとえ彼が、そのような理想主義者であるとしても、戦争の目的を歪め、結果を台無しにしてしまう「実利」追求グループを排除して戦争を遂行することは不可能だったでしょう。ある程度の常識を備えた政治家ならば、そうした「戦争の危険性」は、当然、理解していなければなりません。ゆえに、ブッシュ氏の「理念」を信じるならば、それは同時に彼の「無能」を暴露するということになってしまうのです(私は「ブッシュ氏が無能ではなく、理念が嘘だったのだ」と思っていますが…)。
目的が「イラクの民主化」であればこそ、武力侵攻、軍事占領、政治支配は「間違っ」た選択です。イラクの政治状勢がアメリカの「思いどおり」にならないから「失敗」だったのではなく、上記、間違った選択によって、イラク戦争の「大義(民主化)」が崩壊したから「失敗」なのです。
おそらく正真正銘の「理想主義者」と見られる、ネオコンのリーダー、ポール・ウォルフヴィッツ氏が強く主張したように、フセイン政権の崩壊時点で速やかに軍を撤退させていたのなら、まだかろうじて「民主化」の大義だけは保たれていたかも知れません(「大量破壊兵器廃棄」という偽の大義によって、彼の主張は退けられましたが…)。
しかし「戦争」という巨大なメカニズムは、そんな青臭い「理想」によってコントロールできるものじゃないのです。理想を掲げて戦争を賛美する人々は、ぜひとも、その事を脳裏に叩き込んでおいて欲しいと思います。
(おわります)
これは メッセージ 84835 (bonno_216 さん)への返信です.
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