対イラク武力行使

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資料2

投稿者: theme_from_papillon 投稿日時: 2005/09/07 22:40 投稿番号: [79463 / 118550]
資料2

●はしごとロープ
ハイダルの仲間のなかで最年少のハサン・アブドルバーリ(17)は、広場に入って、フセイン像を見上げた。
身長約10メートルの像が高さ約5メートルの台座の上に立っている。
ハサンははいていたサンダルの片方を、像に投げた。1回目は外れた。また投げた。像の背中に当たった。
引き倒すには、はしごが必要だった。ハリド・サルマン(30)が、アリ・アニース(20)に
「はしごを持って来てくれ」と声をかけた。

ハリドは大学卒だが、望んだ職が得られず、近くの駐車場で守衛をしていた。
アリもこの駐車場で紅茶を作って売っていた。
彼らは駐車場に電話工事用のアルミ製のはしごが置かれていたのを知っていたのだ。

アリは02年秋に北部モスルを拠点とする共和国防衛隊の新兵になったが、
イラク戦争開戦10日前に部隊を離脱した。
戦争中は警察に見つからないように必死だった。
米軍の姿を見て「もう隠れなくていい」と思った。

アリがはしごを持ってくる間に、ハイダルは米軍の装甲車の側面に巻かれていたロープを借りようとした。
米兵に向かってアラビア語で叫んだ。
「ハベル(ロープ)をくれ」。フセイン像を指し、両手でロープを引っ張るしぐさを繰り返した。
米兵は「ノー、ノー」と手を横に振った。

だが、ハサンがなおも続けると、米兵は意味を理解したのか、ロープを外して下に投げた。
ハリドが最初にはしごを昇り、台座に乗ってアリを引き上げた。
続いて、ハンマーを持ったカジムが台に上った。カジムは台の上でも像の足をたたき続けた。
見知らぬ若者がロープを像の首にかけた。アリが片方の端を受け取って降ろした。
何人かがロープを引っ張った。びくともしなかった。

●星条旗
今度は米海兵隊員が特殊車両に乗り、首にチェーンをかけた。拍手がわいた。
だが、海兵隊員がフセインの顔に星条旗をかぶせようとすると、拍手がやむ。
「ノー、ノー」。イラク人たちは、一斉に叫んだ。米兵は星条旗を外した。
エジプトの衛星テレビのイラク人女性リポーター、メイスーン・ムサウィ(35)が
「イラクの旗を掛けよう」と叫んだ。
若者たちが近くのホテルの壁に掛かっていたイラクの旗を取ってきて海兵隊員に手渡した。
ところが「フセインと一緒にイラクが倒れるのはだめだ」と声が上がった。イラク旗も外された。
首にかけたチェーンを米軍のクレーン車が引っ張り、フセイン像は音をたてて傾き倒れた。
拍手が上がった。

●広場の夢
倒れた像に人々が群がった。ハサンもサンダルで頭をたたいた。
「サダムは終わりだ。独裁は終わりだ」と叫び続けた。
イラク人は自力で倒すことができず、最後は米軍が倒した。しかし、ハイダルはこう思う。
「米軍はイラク軍の抵抗も民衆の抵抗も受けずにバグダッドに入った。
イラク人がフセイン政権を見放していたからだ。私たちがフセイン像を倒そうと考えた。
米国は最後に手を貸しただけだ」

戦後、ハリドのところに外国人ジャーナリストが来て、「像を倒したのは米軍から金をもらったからだろう」
としつこく質問した。
ハリドが否定してもまた同じ問いを繰り返した。
彼らにとって像が立つ広場は、涼しい夜に仲間たちと集う場だった。
「息苦しい体制のもとで、この像が倒れる日を私たちはひそかに語り合い、夢見てきた。
なぜ、私たちが夢を実現させるために自ら動いたことを信じないのか」(敬称略)

                                         (バグダッド=川上泰徳)
(朝日新聞2003年7月29日朝刊紙面)

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