日本における民主主義の現在
投稿者: dorawasabi5001 投稿日時: 2005/03/31 22:44 投稿番号: [68125 / 118550]
★五十嵐仁の転成仁語から・・
―平和・民主主義・人権をめぐる対抗の現段階―
『歴史評論』2005年2月号
はじめに
「イラクの復興支援」を名目に自衛隊が海外に派遣される。
郵便受けにビラを入れたり、デモをしていて逮捕される*1。
卒業式や入学式で「国歌斉唱」を行わなかったといって処分される*2。
南京大虐殺を描いた歴史漫画が休載に追い込まれる*3。
いずれも、これまでになかったような現象である。
日本における平和・民主主義・人権が大きな危機に瀕しているのではないかと危惧させるに十分な事例が相次いでいる。
・・
なぜこうなったのか、何がどのように変化したのか。本稿の課題は、この問いに答えることにある。
そのためには、八〇年代以降の歴史的な推移の中で、この変化をとらえることが必要であろう。
さしあたり、アメリカの変化、日米関係の変化、日本の変化、マスコミの変化、国民意識の変化の五点について、この変化を検討することにしよう。
そのような変化の結果、現段階における危機状況が生じてきたわけだが、それは同時に、民主主義の危機を生み出した勢力にも大きな矛盾とジレンマをもたらすことになった。
日本における民主主義の現在を正確に判断するためには、この両側面をみることが必要である。
【1 アメリカの変化】
・・
なお、「九・一一謀略説*6」も、必ずしも一笑に付すわけにはいかない。
日中一五年戦争の発端となった一九三一年の柳条湖事件*7、ヒトラーの独裁体制を強めるために利用された三三年の国会議事堂放火事件*8、ベトナム戦争を拡大する口実とされた六四年のトンキン湾事件*9など、世界史は嘘と謀略に満ちている。
イラク攻撃の理由とされた大量破壊兵器の保有疑惑が真っ赤な嘘だった*10のは、このような歴史に新しい一頁が加わったにすぎない。
いずれにせよ、九・一一同時テロ事件がブッシュ大統領によって全面的に利用されたことは明らかである。
・・
【2 日米関係の変化】
・・
このようなアメリカからの対日介入を日本政府が受け入れる理由としては、日本の「主要産業が、輸出でも現地生産でもあまりに多くをアメリカに依存しており、それが逆にアメリカによる対日介入の『人質』とされている点*20」が指摘されている。
そのために、「円安ドル高」が介入のための「武器」になるというわけである。
もう一つの理由は、日本政府によって大量に買い込まれた約七千億ドル(七四兆円)ものアメリカ財務省証券(国債)である*21。
アメリカはドル切り下げによる国債の減価をちらつかせて、日本に要求を飲ませているという。これについて、「国際事件記者」の大森実は次のように書いている。
「ジム・ベーカーは、最近、東京を訪ねて小泉首相に会い、『イラク借款の棒引き』を説得したとき、
かつて彼がニューヨークのプラザ・ホテルで、中曽根政権の竹下蔵相を口説いたときに使った脅し文句、『いつでもアメリカは、一ドル八〇円までドルを切り下げる用意がある』を武器にしたといわれる。
……ドルを切り下げられては、ハラいっぱい食らい込んだ米国債は目減りするし、対米輸出の花形の自動車の定価もワリが合わなくなる*22。」
【3 日本の変化】
・・
アメリカによって『年次改革要望書』という内政干渉のための恒常的装置が考案された頃、
日本国内では、世論と国政を遮断する新しい装置の導入が画策されていた。
これが、「政治改革」の旗印の下に導入された【小選挙区比例代表並立制】である。
一九九四年四月に導入されたこの制度の下で、すでに三回の選挙が実施された。
小選挙区制度が浮上したとき、私は、
「有権者の選択と議席に大きなズレが出る」
「議席に結びつかない票=『死票』がゴマンと出る」
「小さな政党は排除される」
などの問題点を指摘した*23。過去三回の選挙を通じて、これらの問題点は実証されたといえよう。
何よりも大きな問題点は、社会的に存在しているマイノリティの反対や意義申し立てが国政の場に反映しないことである。
そのために政治に緊張感がなくなり、「多数派の専制*24」とも言うべき事態が生まれた。社会と政治のミスマッチこそ、現代日本の抱える最大の問題である。・・・
同じ自民党でも、内部の構造変化につれて、その政治的スタンスは軍国・権威主義的な方向へと大きく変化したのである。 ・・
―平和・民主主義・人権をめぐる対抗の現段階―
『歴史評論』2005年2月号
はじめに
「イラクの復興支援」を名目に自衛隊が海外に派遣される。
郵便受けにビラを入れたり、デモをしていて逮捕される*1。
卒業式や入学式で「国歌斉唱」を行わなかったといって処分される*2。
南京大虐殺を描いた歴史漫画が休載に追い込まれる*3。
いずれも、これまでになかったような現象である。
日本における平和・民主主義・人権が大きな危機に瀕しているのではないかと危惧させるに十分な事例が相次いでいる。
・・
なぜこうなったのか、何がどのように変化したのか。本稿の課題は、この問いに答えることにある。
そのためには、八〇年代以降の歴史的な推移の中で、この変化をとらえることが必要であろう。
さしあたり、アメリカの変化、日米関係の変化、日本の変化、マスコミの変化、国民意識の変化の五点について、この変化を検討することにしよう。
そのような変化の結果、現段階における危機状況が生じてきたわけだが、それは同時に、民主主義の危機を生み出した勢力にも大きな矛盾とジレンマをもたらすことになった。
日本における民主主義の現在を正確に判断するためには、この両側面をみることが必要である。
【1 アメリカの変化】
・・
なお、「九・一一謀略説*6」も、必ずしも一笑に付すわけにはいかない。
日中一五年戦争の発端となった一九三一年の柳条湖事件*7、ヒトラーの独裁体制を強めるために利用された三三年の国会議事堂放火事件*8、ベトナム戦争を拡大する口実とされた六四年のトンキン湾事件*9など、世界史は嘘と謀略に満ちている。
イラク攻撃の理由とされた大量破壊兵器の保有疑惑が真っ赤な嘘だった*10のは、このような歴史に新しい一頁が加わったにすぎない。
いずれにせよ、九・一一同時テロ事件がブッシュ大統領によって全面的に利用されたことは明らかである。
・・
【2 日米関係の変化】
・・
このようなアメリカからの対日介入を日本政府が受け入れる理由としては、日本の「主要産業が、輸出でも現地生産でもあまりに多くをアメリカに依存しており、それが逆にアメリカによる対日介入の『人質』とされている点*20」が指摘されている。
そのために、「円安ドル高」が介入のための「武器」になるというわけである。
もう一つの理由は、日本政府によって大量に買い込まれた約七千億ドル(七四兆円)ものアメリカ財務省証券(国債)である*21。
アメリカはドル切り下げによる国債の減価をちらつかせて、日本に要求を飲ませているという。これについて、「国際事件記者」の大森実は次のように書いている。
「ジム・ベーカーは、最近、東京を訪ねて小泉首相に会い、『イラク借款の棒引き』を説得したとき、
かつて彼がニューヨークのプラザ・ホテルで、中曽根政権の竹下蔵相を口説いたときに使った脅し文句、『いつでもアメリカは、一ドル八〇円までドルを切り下げる用意がある』を武器にしたといわれる。
……ドルを切り下げられては、ハラいっぱい食らい込んだ米国債は目減りするし、対米輸出の花形の自動車の定価もワリが合わなくなる*22。」
【3 日本の変化】
・・
アメリカによって『年次改革要望書』という内政干渉のための恒常的装置が考案された頃、
日本国内では、世論と国政を遮断する新しい装置の導入が画策されていた。
これが、「政治改革」の旗印の下に導入された【小選挙区比例代表並立制】である。
一九九四年四月に導入されたこの制度の下で、すでに三回の選挙が実施された。
小選挙区制度が浮上したとき、私は、
「有権者の選択と議席に大きなズレが出る」
「議席に結びつかない票=『死票』がゴマンと出る」
「小さな政党は排除される」
などの問題点を指摘した*23。過去三回の選挙を通じて、これらの問題点は実証されたといえよう。
何よりも大きな問題点は、社会的に存在しているマイノリティの反対や意義申し立てが国政の場に反映しないことである。
そのために政治に緊張感がなくなり、「多数派の専制*24」とも言うべき事態が生まれた。社会と政治のミスマッチこそ、現代日本の抱える最大の問題である。・・・
同じ自民党でも、内部の構造変化につれて、その政治的スタンスは軍国・権威主義的な方向へと大きく変化したのである。 ・・
これは メッセージ 1 (topics_editor さん)への返信です.
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