民衆法廷とは何か
投稿者: syoumenkyousi 投稿日時: 2005/02/16 12:36 投稿番号: [64861 / 118550]
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NHK「女性国際戦犯法廷」番組改ざん問題
速報ブログ開始!政治家によるNHK番組介入問題について
http://blog.livedoor.jp/vawwnetjapan/
★2005年01月25日
民衆法廷とは何か
法律家の阿部浩己さんが、「民衆法廷」の解説を書いてくれました。
ぜひみなさん、ご活用ください
★ 2/2 NHK大阪放送局との話し合い報告
政治家によるNHK番組介入問題について2005年01月25日
民衆法廷とは何か
法律家の阿部浩己さんが、「民衆法廷」の解説を書いてくれました。
ぜひみなさん、ご活用ください。
民衆法廷とは何か
阿部浩己
(神奈川大学大学院法務研究科教授、国際法学会評議員、国際人権法学会理事)
<定義>
民衆法廷(people’s tribunal)とは、国家機関または国際機関として構成される法廷とは異なり、市民社会の発意の下に構成される法廷のことをいう。ベトナム戦争の後に組織されたラッセル法廷がその端緒をなす。その後も、超大国による武力行使や核兵器の脅威、あるいは女性に対する暴力などに取り組む民衆法廷が世界各地で断続的に組織されてきた。これらの法廷は、いずれも、国際社会の基本的なルールが蹂躙されたままになっている事態を是正するために構想されたものである。2000年12月に東京で開廷された女性国際戦犯法廷も、こうした民衆法廷の一つである。
<思想的・法的基礎>
国家機関または国際機関として構成される法廷がそうであるように、民衆法廷もまた、その管轄権の淵源は主権者たる市民の意思に見出される。国家や国際機構に託された意思が著しく踏みにじられたとき、市民/民衆は直接に行動を起こすことができる。これは、市民のもつ権利であると同時に、社会を支える市民に課せられた責務でもある。民衆法廷はこうした思想にもとづいて組織される。この法廷は、現実の政治あるいは社会過程に直接にはたらきかけるものであり、教育・訓練のために実施される模擬法廷とは根本的に性質を異にしている。模擬法廷という語には、「それ自体は本物ではない」という含意があるが、民衆法廷は「それ自体が本物」である。
<適用法規>
法廷で適用される規則は、多くの場合、現実に作用している国際法である。とくに、人間の尊厳を守る国際人権法、武力紛争を抑制する国際人道法、重大な犯罪の撲滅と被害者の尊厳回復を目指す国際刑事法といった、国際法を構成する諸法が適用法規とされることが多い。女性国際戦犯法廷もその例にもれず、法廷規程に明示されているように、国際人道法および国際刑事法の定める基本的規則が適用法規として指示されている。
<構成・権威>
民衆法廷の構成の仕方は多様だが、女性国際戦犯法廷は、刑事裁判の要素を柱としながら民事裁判の要素を加味させて構成されている。民衆法廷には、判決を執行させる(物理的)強制力が伴っていないため、判決の権威は、その「質」にかかっているといってよい。このため、女性国際戦犯法廷は、判事団に国際裁判に熟達した実務家と国際法の権威を招き、また、検事団にも同様の資格をもつ専門家を主席に据えたほか、証拠収集作業にも細大の注意が払われた。長大な判決文は、ニュルンベルク裁判、東京裁判、旧ユーゴスラビア・ルワンダ国際刑事法廷等の先例を踏まえ、国際人道法規の精確な解釈を展開するものとなっており、それ自体が国際法の先例となっていくにふさわしい「質」を備えているといってよい。
なお民衆法廷が強制力を欠いていることをもってただちにその裁判としての性格を否定する向きもあるが、これは裁判についての正しい認識とはいえない。判決の執行に必ずしも強制力が必要ないことは、国連の主要機関のひとつ国際司法裁判所の例をみれば明らかである。この裁判所にも判決を執行させる強制力は備わっていないが、それでもそこでの営みが裁判であることには変わりない。
民衆法廷の場合には、判決の「質」によってその権威・説得力を確保するとともに、国内外で展開される市民の働きかけを通じて、判決執行への道を切り開いていく。「市民化/民衆化」が急速に進む国際法過程を象徴する注目すべき法事象である。
NHK「女性国際戦犯法廷」番組改ざん問題
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★2005年01月25日
民衆法廷とは何か
法律家の阿部浩己さんが、「民衆法廷」の解説を書いてくれました。
ぜひみなさん、ご活用ください
★ 2/2 NHK大阪放送局との話し合い報告
政治家によるNHK番組介入問題について2005年01月25日
民衆法廷とは何か
法律家の阿部浩己さんが、「民衆法廷」の解説を書いてくれました。
ぜひみなさん、ご活用ください。
民衆法廷とは何か
阿部浩己
(神奈川大学大学院法務研究科教授、国際法学会評議員、国際人権法学会理事)
<定義>
民衆法廷(people’s tribunal)とは、国家機関または国際機関として構成される法廷とは異なり、市民社会の発意の下に構成される法廷のことをいう。ベトナム戦争の後に組織されたラッセル法廷がその端緒をなす。その後も、超大国による武力行使や核兵器の脅威、あるいは女性に対する暴力などに取り組む民衆法廷が世界各地で断続的に組織されてきた。これらの法廷は、いずれも、国際社会の基本的なルールが蹂躙されたままになっている事態を是正するために構想されたものである。2000年12月に東京で開廷された女性国際戦犯法廷も、こうした民衆法廷の一つである。
<思想的・法的基礎>
国家機関または国際機関として構成される法廷がそうであるように、民衆法廷もまた、その管轄権の淵源は主権者たる市民の意思に見出される。国家や国際機構に託された意思が著しく踏みにじられたとき、市民/民衆は直接に行動を起こすことができる。これは、市民のもつ権利であると同時に、社会を支える市民に課せられた責務でもある。民衆法廷はこうした思想にもとづいて組織される。この法廷は、現実の政治あるいは社会過程に直接にはたらきかけるものであり、教育・訓練のために実施される模擬法廷とは根本的に性質を異にしている。模擬法廷という語には、「それ自体は本物ではない」という含意があるが、民衆法廷は「それ自体が本物」である。
<適用法規>
法廷で適用される規則は、多くの場合、現実に作用している国際法である。とくに、人間の尊厳を守る国際人権法、武力紛争を抑制する国際人道法、重大な犯罪の撲滅と被害者の尊厳回復を目指す国際刑事法といった、国際法を構成する諸法が適用法規とされることが多い。女性国際戦犯法廷もその例にもれず、法廷規程に明示されているように、国際人道法および国際刑事法の定める基本的規則が適用法規として指示されている。
<構成・権威>
民衆法廷の構成の仕方は多様だが、女性国際戦犯法廷は、刑事裁判の要素を柱としながら民事裁判の要素を加味させて構成されている。民衆法廷には、判決を執行させる(物理的)強制力が伴っていないため、判決の権威は、その「質」にかかっているといってよい。このため、女性国際戦犯法廷は、判事団に国際裁判に熟達した実務家と国際法の権威を招き、また、検事団にも同様の資格をもつ専門家を主席に据えたほか、証拠収集作業にも細大の注意が払われた。長大な判決文は、ニュルンベルク裁判、東京裁判、旧ユーゴスラビア・ルワンダ国際刑事法廷等の先例を踏まえ、国際人道法規の精確な解釈を展開するものとなっており、それ自体が国際法の先例となっていくにふさわしい「質」を備えているといってよい。
なお民衆法廷が強制力を欠いていることをもってただちにその裁判としての性格を否定する向きもあるが、これは裁判についての正しい認識とはいえない。判決の執行に必ずしも強制力が必要ないことは、国連の主要機関のひとつ国際司法裁判所の例をみれば明らかである。この裁判所にも判決を執行させる強制力は備わっていないが、それでもそこでの営みが裁判であることには変わりない。
民衆法廷の場合には、判決の「質」によってその権威・説得力を確保するとともに、国内外で展開される市民の働きかけを通じて、判決執行への道を切り開いていく。「市民化/民衆化」が急速に進む国際法過程を象徴する注目すべき法事象である。
これは メッセージ 64858 (syoumenkyousi さん)への返信です.
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