自然淘汰
投稿者: theme_from_papillon 投稿日時: 2004/07/27 20:20 投稿番号: [47829 / 118550]
超短編小説
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夫を亡くした母親が苦労して息子を育てたのだが、、どういうわけか放蕩息子になってしまった。
社会人になっても、会社はすぐに辞めるし、女遊びは度を過ぎていた。
幸い母親は手に職を持っていたので、息子の分まで働いて何とか食いつないでいたのだが、
持病を患っている体でいつまでもやっていける自信はない。
「自分が病気で死んだら、この子はどうするんだろう」
そんな心配ばかりしていた。
ある日、いつものように放蕩息子が金をせびり始めたとき、母親が言った。
「母さんもいつまでも働けないんだよ。おまえは、もう大人なんだから自立しなさい。
働かなければ、乞食になるしかないんだよ。それが嫌なら自殺するしかないんだ。
誰が助けると思ってるの。
食べていけない者は死ぬ。基本的には動物の世界と同じなんだよ。
おまえが、この前見ていた生命の試練とかいう番組でもやってたじゃない。
おまえだって、ああいうふうに自然淘汰で死んでいく側にはなりたくないでしょ」
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上の会話を読んで、母親は間違っていると非難する者はいないだろう。
しかし、経済的な自立ができなかったために自殺した者を目の前にして、自然淘汰だと
言う者はいないし、言えば非人間扱いされるのは当然だ。
要はどの観点で考えるかで違ってくるということだ。
世の中はこうあるべきだという観点で語るのか、世界の真理について語るかによって異なってくる。
世界の真理について語るなら、経済的に自立できなかったための自殺の場合、
その行動が生物界に作用している自然淘汰と無縁ではないという主張を、
根拠も挙げずに初めから排斥するのはどうかと思う。
少なくとも非難すべきものではない。
これは メッセージ 47729 (kumeruoukoku さん)への返信です.
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