対イラク武力行使

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世界政府:zionisatou2さん

投稿者: silverlining430 投稿日時: 2004/07/06 22:16 投稿番号: [46207 / 118550]
こんばんは。お久しぶりです。

ロバート・ケーガンのカントについての理解に誤りがありますので指摘しておきます。

>>
カントは道義性が通用しないホッブスの世界の恐怖を解決する方法は世界政府の設立しかないと論じた。
>>

カントは世界政府の設立を主張してはいないのです。カントは「永遠平和のために」の中で、サン・ピエールの理想論過ぎる「恒久ヨーロッパ議会(=世界政府的なものですね)」の創設による連邦制を批判していますからね。

で、確かに世界政府の設立は、
①人間の自由の抑圧
②権力の独占
――という2つの弊害を生む恐れがあります。

世界は、価値観も、文化も、生活様式も、人種のるつぼ的な国の国内で見られるような多様性とは比較にならないほど雑多です。そんな雑多性を一つにまとめる権力体を世界につくってしまえば、価値観の多様性に基づく人間の自由が犠牲とされる事態は起こり得るでしょう。

その意味で、あくまで主権国家という単位を基礎として考えるアセアンさんのお考えも、分かるような気がするんです。

また、世界政府の設立による権力の独占は、たとえば世界政府軍が世界の安全保障のために行動を起こす場合、世界政府軍のオペレーションであれば何をやってもよいという危険な錯覚を生みかねません。

ちょうど米軍に対しなされている「過剰攻撃だ」の批判を、同じように世界政府軍も受けることもあり得るでしょう。

イラクでは、たまたま米軍が国連から離脱し武力行使に至ってしまいましたが、もし仮に、武力行使容認決議が採択され、国連の旗の下で国連軍なり多国籍軍が編成され、イラクへの武力行使が開始され、今の米軍のように過剰攻撃が行われていたとしたら・・・。「国連のお墨付きの軍隊の行動を縛る法律ってあるの?」と言い訳して「過剰攻撃」の批判をかわすことも可能です。

世界政府の弊害とその非現実性が分かっていたカントは、共和制を採用した自由な諸国の連合構想を打ち出します。このカントの構想が、国際連盟の立て役者であるウッドロウ・ウイルソンの思想的な土台となり、現在の国連にも引き継がれています。

結局、世界政府の創設による世界連邦は、国際社会に法の支配を貫徹するための「制度的な進展」ではあっても、多様な世界の秩序を保つための「ベストなシステム」とは言えないのです。僕は、国連に代表される多様な国で構成される多国間主義のシステムは、今はうまく機能していないというだけであって、機能するようになれば、世界の秩序を保つ上で有効なシステムであると思っています。なので世界政府の設立よりも、国連の多国間スキームを機能させるための国連改革をどうすべきなのか――という点に興味があります。

確かに米国は、世界各地に圧倒的な兵力を投射できる力に長けているため、世界の安全保障を一手に担う存在でしょう。

ただ、米国は紛争などを武力で強制的に収束する能力に長けていたとしても、紛争地に本当の平和をもたらすには、その後のアフターケア(=復興と国家再建)が重要で、そのアフターケアは実は米国は、あまり得意ではありません。ケーガンは、この米国の苦手な部分に目が向いていないようですが、米国は苦手な部分に直面すると、結局、国連などの多国間スキームを利用しようとします。大切なのは、米国の力を、いかにして集団的な行動の枠組みに組み込むことができるかどうかだと思います。

では、こんなところで。
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