汚れた弾丸−(7)
投稿者: need2003jp 投稿日時: 2003/11/20 15:01 投稿番号: [27776 / 118550]
「この混乱は、何なんだ?」
イラクの子ども達が心配で、再び現地に入った森住が見たものは、略奪行為が繰り返される街の姿だった。
「あれほど理性的なイラク人がどうして・・・」
信じられない表情を見せる森住に、スウェーデンの記者が教えてくれた。
「それは違う。実は、この略奪や暴動を扇動しているのは、米軍かもしれないんだ」
「まさか・・・」
信じられないといった表情を見せる森住に、記者の言葉は冷たかった。
「バクダッド刑務所を解放した米軍は、収監されていた刑事犯に、町を混乱させるようそそのかし、廃墟となった官公庁に、押し入るようにアラビア語で、市民に指示したらしいんだ」
「まさかそんな・・・信じがたい話だ」
「あれを見ろ」
スウェーデン記者の指差す方向には、バリケードで覆われた石油省の建物があった。
「他の施設の略奪行為は、放っておいているくせに、石油省だけはしっかり米軍が警備しているんだぜ。あまりにも見え見えで、笑っちまう」
つまり、意図的にイラク国内の無法状態を作り上げ、イラク人には統治能力がないと印象づけようとしたいたのでは、と森住は考えた。
そして、略奪行為は、更に深刻な事態を招いていた。
「こんなところまで、略奪があったのか!?」
ツワイサ核施設を訪れた、森住は、ここの略奪の実態に、唖然としていた。イラク保健省センター職員は、深刻な表情で事態を語った。
「住民は、ここが核施設だとは知らなかったのでしょう。貧しい住民達は、施設にあったドラム缶が欲しくて持っていったようです」
「まさか、そのドラム缶というのは!?」
尋ねる森住の口調は、思わず強くなった。センターの職員は、淡々と答えた。
「ええ、イエローケーキの入ったドラム缶です」
イエローケーキ―それは、ウラン精鉱ともいい、掘り出したウラン鉱石を化学処理した結果できる、6価ウランの色が、黄色を呈するので、この名がある。ウラン含有率は60%。
「住民は、あのドラム缶が、どれほど危険なものかは知らない。でも、米軍は分かっていた。この国を占領した米軍に責任があるはずなのに、彼らは何もしてくれなかった」
力を落とすセンター職員に、森住は尋ねた。
「そ・・・そのドラム缶は今、どうなっているのです?」
「後になって、慌てて米軍が、住民から3ドルでドラム缶を買い取って回収していきましたよ。でも、もう遅い。今回のことで、どれほどの住民が被曝したか、想像もつきません。IAEAの調査に同行していた米軍が、あまりにもひどい汚染に、逃げ出してまったぐらいですから」
核施設にはまだ、イエローケーキを攪拌(かくはん)する機械のような物が残されていた。そこに、付着している黄色い粉に、森住の目はとまった。それは、紛れもなく、「イエローケーキだった」
早速、持参したガイガーカウンターで計った、その場所の数値は、通常の1,000倍の放射線を放っていることを知らせていた。
森住は、更に街中を歩くと、ある薬莢のカケラに、足がぶつかった。それは、劣化ウラン弾のものと、すぐに知れた。こみ上げてくる熱い思い―ふと背後から子ども達の叫び声が聞こえた。
森住は振り向くと、何人かの子ども達が、劣化ウラン弾に破壊された戦車の周りで遊んでいた。
「おい、君達、そこから離れるんだ!!」
森住の言葉に、子ども達は訳もわからない表情で振り向いた。森住は更に、大声で警告した。
「それは、劣化ウラン弾で破壊された戦車なのだぞ!!」(続く)
イラクの子ども達が心配で、再び現地に入った森住が見たものは、略奪行為が繰り返される街の姿だった。
「あれほど理性的なイラク人がどうして・・・」
信じられない表情を見せる森住に、スウェーデンの記者が教えてくれた。
「それは違う。実は、この略奪や暴動を扇動しているのは、米軍かもしれないんだ」
「まさか・・・」
信じられないといった表情を見せる森住に、記者の言葉は冷たかった。
「バクダッド刑務所を解放した米軍は、収監されていた刑事犯に、町を混乱させるようそそのかし、廃墟となった官公庁に、押し入るようにアラビア語で、市民に指示したらしいんだ」
「まさかそんな・・・信じがたい話だ」
「あれを見ろ」
スウェーデン記者の指差す方向には、バリケードで覆われた石油省の建物があった。
「他の施設の略奪行為は、放っておいているくせに、石油省だけはしっかり米軍が警備しているんだぜ。あまりにも見え見えで、笑っちまう」
つまり、意図的にイラク国内の無法状態を作り上げ、イラク人には統治能力がないと印象づけようとしたいたのでは、と森住は考えた。
そして、略奪行為は、更に深刻な事態を招いていた。
「こんなところまで、略奪があったのか!?」
ツワイサ核施設を訪れた、森住は、ここの略奪の実態に、唖然としていた。イラク保健省センター職員は、深刻な表情で事態を語った。
「住民は、ここが核施設だとは知らなかったのでしょう。貧しい住民達は、施設にあったドラム缶が欲しくて持っていったようです」
「まさか、そのドラム缶というのは!?」
尋ねる森住の口調は、思わず強くなった。センターの職員は、淡々と答えた。
「ええ、イエローケーキの入ったドラム缶です」
イエローケーキ―それは、ウラン精鉱ともいい、掘り出したウラン鉱石を化学処理した結果できる、6価ウランの色が、黄色を呈するので、この名がある。ウラン含有率は60%。
「住民は、あのドラム缶が、どれほど危険なものかは知らない。でも、米軍は分かっていた。この国を占領した米軍に責任があるはずなのに、彼らは何もしてくれなかった」
力を落とすセンター職員に、森住は尋ねた。
「そ・・・そのドラム缶は今、どうなっているのです?」
「後になって、慌てて米軍が、住民から3ドルでドラム缶を買い取って回収していきましたよ。でも、もう遅い。今回のことで、どれほどの住民が被曝したか、想像もつきません。IAEAの調査に同行していた米軍が、あまりにもひどい汚染に、逃げ出してまったぐらいですから」
核施設にはまだ、イエローケーキを攪拌(かくはん)する機械のような物が残されていた。そこに、付着している黄色い粉に、森住の目はとまった。それは、紛れもなく、「イエローケーキだった」
早速、持参したガイガーカウンターで計った、その場所の数値は、通常の1,000倍の放射線を放っていることを知らせていた。
森住は、更に街中を歩くと、ある薬莢のカケラに、足がぶつかった。それは、劣化ウラン弾のものと、すぐに知れた。こみ上げてくる熱い思い―ふと背後から子ども達の叫び声が聞こえた。
森住は振り向くと、何人かの子ども達が、劣化ウラン弾に破壊された戦車の周りで遊んでいた。
「おい、君達、そこから離れるんだ!!」
森住の言葉に、子ども達は訳もわからない表情で振り向いた。森住は更に、大声で警告した。
「それは、劣化ウラン弾で破壊された戦車なのだぞ!!」(続く)
これは メッセージ 27775 (need2003jp さん)への返信です.
固定リンク:https://yarchive.emmanuelc.dix.asia/552019567/bpa5a4a5ia5afipno9tbbh_1/27776.html