アラブ社会はこの戦争をどう見ているのか
投稿者: jepensequeje 投稿日時: 2003/03/26 15:14 投稿番号: [13940 / 118550]
この戦争を考えるうえで、アラブ社会がこの戦争をどう見ているかを
考えることも重要だと思います。
日本のマスコミでは、アメリカの対イラク政策と対イスラエル政策の
ダブルスタンダードがアラブの民衆を反米化させている、という指摘が
よくあります。
確かにそれは間違いないのですが、「現代アラブの社会思想」(講談社
現代新書)をはじめとする専門家の社会分析を読むと、問題がより深刻
であることがわかります。
現在、多くのアラブ人が抱いている反米思想というのは、単にアメリカ
の対イスラエル政策に反対するという次元(つまり国際社会が
共感できる次元)に留まっていません。
彼らは、アラブ社会が抱えるさまざまな問題について、内在的な原因は
無視して、すべての責任・原因を外の世界(つまりアメリカおよびイス
ラエル)に覆い被せるという思考パターンに陥っているようです。
簡単に言えば、「世の中のあらゆることがうまくいかないのは、自分た
ちのせいではなく、すべてアメリカとイスラエルのせいだ」という極め
て短絡的で視野の狭い考え方が大手を振ってまかり通っているのです。
無論、私は彼らの考えが正しいとは思いません。またアメリカの対イス
ラエル政策が正しいとは毛頭思っていません。
問題はこうしたアラブ社会の思想現状と現在アメリカの政策がネガティヴ
な補完関係にあるという点です。
イラクを武力で民主化するというアメリカの主張は傲慢で独善的です。
しかもそれに対するアラブ側の思考パターンはある意味でアメリカ以上に
視野が狭い。そしてアメリカの「傲慢」と「独善」は、ますます彼らの視
野を狭くしてしまう危険があります。その先に見えるのは、
まさしく「文明の衝突」でしょう。
このように今回のイラク武力侵攻はイラクの民主化に貢献するどころか、
中東全体のさらなる反米化、不安定化を招く恐れが大です。
また、こうしたブッシュ政権の政策が果たして本当にアメリカの「国益」に
沿っているかも疑問です。
個人的には、アラブの思想的現状を知れば知るほど、今回の戦争は無謀に
思えます。「民衆からは圧政からの解放者として迎えられると思ったら、
生まれてはじめて悪魔呼ばわりされた」などと従軍記者が驚いている
くらいですから、これはほとんど間抜けとしか言いようがありません。
今のアメリカに必要なのはアラブ社会との間に信頼関係を築き、
彼らを偏狭な思考パターンから解き放つという、地道な努力のはずです。
これは メッセージ 1 (topics_editor さん)への返信です.
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