「シーア派イスラム運動の展開」酒井啓子③
投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2005/03/30 22:03 投稿番号: [4649 / 5091]
しかし、それはシーア派社会にとどまり、イラク全体、とりわけスンニ派
社会と共有できる運動枠組みではなかった。
『「シーア派は国家と並行して存在する独自の社会的政治的ネットワークに
依存していた」が、国家に依存し国家のなかで生きていくことを常に
選択してきたスンニ派は、寄り添うべき国家が不在の状況では国家に
「反逆しやすい」存在となる』(ハーシミー:2003年)
「スンニ派イスラーム運動の多くがより強い反米・反占領を打ち出しており、
その点でシーア派ウラマー界の政治方向性に比較して政治性、ナショナリズム
性が強い」
<私の感想>
①イラクのシーア派を分析する場合に、<宗教指導者層>と<平信徒=商人階層
、部族>という二実体を措定すること。
②現代では、その二実体とは、<宗教指導者層>と<政治政党:ダアワ党や
SCIRI>
③その二実体の相互作用=対立と協調により、事態が進行してきたこと。
両実体が共同すれば効果を発揮してきたという歴史的事例=1920年蜂起。
④1920年蜂起では、シーア派とスンニ派との共闘によってこそ一定の成果が
挙がったと私は思いますが。
⑤フセイン政権末期に既にこうした諸実体は登場していること。
⑥本来は、政治的静謐主義のシスターニ師を頂点として、統一は保たれている
ものの、呉越同舟、利害対立を抱えながら、辛うじて統一が保たれていると
いうこと。つまり、情勢の変動によっては、統一は崩れるということ。
⑦シーア派と言っても、世俗化が進行している人々も多く、支持政党無し層や、
イスラム復興を掲げる宗教性へ、むしろ忌避感を持つ人々も多いと思う。
<シーア派世俗派>、<シーア派世俗派支持政党無し層>等々も存在して
いると思う。
選挙での統一イラクへの投票率からしてもそう分析できると思う。
⑧数十年前には、イラクのシーア派の貧困層のかなりの部分が、イラク共産党の
支持者であったという歴史的事実については述べられていませんね。
現在では、その影響力はかなり小さくなってしまっていますが
(全国比例代表制なのに2議席だけだし)
⑨宗派分析も重要だと思いますが、イラク労働運動の分析も必要だと思います。
これは メッセージ 4648 (imonoyamashotengai さん)への返信です.
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