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「米国における保守主義運動」NHK視点論点

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2005/02/25 03:06 投稿番号: [4604 / 5091]
  「米国における保守主義運動」NHK視点・論点
  (2005.2.23(水)放映)

  日本国際問題研究所主任研究員の中山俊宏氏

<アメリカ人の価値観が保守化しているという現象>と
<政治勢力としての保守派が台頭したという事実>は、
ある程度区別して考えた方が理解し易いと思われる。
  勿論、両者は連動している。

前者は時代精神の変容
後者は自覚的な政治運動であり、明確な思想と政治戦略がある

後者の側面を無視すると保守主義を条件反射的な一過性の勢力と誤認してしまう
危険性がある。

保守派は約40年の年月をかけて、いかに現在の地位を獲得していったのか

1950年代初頭に誕生。政治運動というより思想運動。
1953年アイゼンハワー共和党政権誕生。
当時の共和党員にとっては期待外れ
原因はアイデアの不在
この空白を埋めるべく思想運動としての保守主義が産声を上げる。

<保守主義の三つの潮流>
・リバタリアニズム(自由至上主義)
・トラディショナリズム(伝統主義)
・アンチ・コミュニズム(反共主義)

・リバタリアニズムは、計画経済に対する徹底した不信感が特徴
  共産主義、社会主義、ニューディールなどあらゆる計画経済的なるものに対し
  敵対意識を持つ勢力
  大きな政府への不審という形で現在も息づいています。
・伝統主義は、安定した秩序への回帰を求める勢力
  欧州のような回帰すべき安定した過去を持たない米において、いかに伝統的な
  保守主義を導入できるかという試み
  後の宗教の復権という動きとも連動
・反共主義:当時は、マッカーシーの赤狩りと同一視される
  反共保守派は排外主義とは明確に区別し、確固たる政治的立場として確立しよ
  うとした。
  冷戦後も「強いアメリカの維持」というメッセージを軸に影響力を発揮
  ネオコンもこの分派

  この三つの潮流は必ずしも同じ方向を向いているとは限りません。
・市場経済を伝統破壊の一因とみなす伝統主義は、市場経済を絶対視する
  リバタリアニズムと対立する場合がある
・積極的な外交安全保障政策には結びつかない伝統主義やリバタリアニズムは
  時に反共主義の積極介入主義と相容れない場合があった

  この相異なる思想を束ね、保守主義として一つの政治運動にまとめ上げる
役割を果たしたのが、1955年創刊のナショナル・レビュー誌という雑誌であり、
その編集者であったウィリアム・バックリーJr.
「三つの勢力にとって、それぞれに問題はリベラリズムだということを納得させ
  一つの運動を作り上げていった」
バックリーの定式化は、
リベラリズムは
・大きな政府
・伝統破壊
・容共主義の温床
  こう定式化すれば、三つの相異なる保守的な潮流は一つの方向を向いて運動を
展開することができる
 
・1950年代後半:保守思想の交通整理=保守主義の誕生
・1960年代:表舞台への登場:政治運動化:バリー・ゴールドウォーター
・1970年代:準備期間:シンクタンク・人脈ネットワーク・若手の育成等々
・1980年代以降:保守革命

<勝因>
・異なる思想的傾向を一つに束ね得た
・早い時期での極右の排除(ジョンバーツ協会)
・単に過去や伝統への回帰ではなく、新しいビジョンを提供するものと支持者に
  納得させることに成功
・宗教心と愛国心に訴えかけたこと
 
  アメリカにおいて、権力への階段に宗教的懐疑心の場所がないことは、
近年益々明らかになっています。
  これを保守派は早い時期から見抜いていた。

  最も重要なのは、アメリカの保守派は、当初、共和党再建の為に、保守主義を
導入したのではなく、保守層を実現する為に共和党を利用したという点。

  1950年代に運動が輪郭を見せ始めた当初、共和党内においてさえ異端であった
保守派は、今、その最盛期にあると言えましょう。
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