今日の配信文(2)
投稿者: d_vooov_b 投稿日時: 2004/04/15 16:15 投稿番号: [60594 / 280993]
●大誤報の恐怖●
朝日新聞は04年4月9日付の社説で「福田官房長官は……(人質を殺されたくなかったらイラクから自衛隊を撤退させろという)誘拐犯(テロリスト)の要求を拒んだ。かといって要求を突っぱね続ければ、3人の身に危険が及ぶだけでなく、同種の事件を誘発する恐れがある」と述べた。
要求を突っぱねれば、人質は死んでも「テロはやってもムダ」と犯人や世界中のテロリストにわかるので、同種の事件の再発は防げる、というのが国際社会の常識だ。が、敢えて朝日新聞はその逆を唱え、人質の無事を願う人質家族の心情に寄り添うことで暗示的に「自衛隊を撤退させろ」と説いた。
が、翌10日の社説では、一転して「脅迫では撤退できぬ」と、常識に戻った。
これ以降、日本の大手マスコミ各社は「要求を呑んで撤退させろ」という主張をしないことでほぼ一致し、人質や人質家族の立場と微妙に距離を置くようになる。
筆者は個人的に知っている範囲のマスコミ関係者に聞いて、業界の空気を探ってみたが、どうも10日頃から、マスコミ業界では「もしかすると歴史的大誤報をしたのではないか」という懸念が広がったようだ。
この事件は、カタールの衛星放送アルジャジーラが日本時間04年4月8日夜に、「犯人」が送り付けて来た手紙とビデオを放送したことから始まっている。
アルジャジーラは、03年イラク戦争の際、欧米と異なるアラブ独自の視点で報道をしたことから世界中のマスコミの尊敬を集めていた。そのアルジャジーラが事件として放送するんだから間違いないだろう、と日本のマスコミ各社はそのニュースを流すべく、新聞の紙面やテレビの放送時間枠を確保し、専門家への取材や出演交渉を始めた。
この間、日本のマスコミ各社では(日本語や英語の情報については瞬時に分析や価値判断のできる有能な人材が多数いるが)アラビア語情報の分析や価値判断のできる者がほとんどいないで、幹部は通訳が語る日本語情報や、中東の現地スタッフが語る英語情報などの二次情報をもとに「あのアルジャジーラが事件だと言ってるんだから、事件だ」という先入観によって、紙面や時間枠を決定した。
ところが、その決定のあと、大野元裕・中東調査会上席研究員のようなアラビア語のわかる社外の専門家を招いて意見を聞いてみると、「犯人の手紙(犯行声明文)の日付が西暦だけなのはおかしい」という重大な指摘がなされる。
ここで、マスコミ各社の幹部たちも疑い始める。
が、もう「大事件発生」の編集方針で駅売り部数や視聴率を取るんだ、という態勢を組んでしまっているので、いまさら引っ込みが付かない。もちろん大野らの専門家には「これは誘拐事件ですよね」という聞き方しかできない。もう「誘拐かどうかまだわかりませんよね」と聞くようなことは、編集方針上不可能だった。
9日ぐらいまでは、それでも惰性で「誘拐事件に決まってる」と信じようとしていた各社も、10日頃からだいぶ冷静になり、10日の朝日新聞では、前日と正反対の社説を掲げることになる。
【「すわ、日本人へのテロ続発か」と恐れて事件発覚直後の9日に急落して1万2000円の大台を割り込んだ日経平均株価も、週明け12日には反転上昇して大台を回復する。これは株式市場関係者が「狂言か」と思い始めたことを意味している。】
●無責任な放送●
日本のマスコミ各社では、先輩は後輩に必ず「裏付けを取って報道するのが基本」と教える。今回の事件報道の確かな「裏付け」は、(前回検討したとおり、数少ない「物的証拠」である2通の手紙とビデオでは、この事件が、ほんものか狂言か判断できないので)実は「アルジャジーラは責任ある報道をするはず」という思い込みだけだ。
が、現実にはアルジャジーラは無責任な放送局で、「犯人」が送って来た手紙やビデオをタレ流しただけだった。アルジャジーラなら、日本のマスコミと違って社外の専門家など呼ばなくても、「社内」にいくらでもアラビア語情報のわかるスタッフがいるのだから、もし欧米日のマスコミのような良識があって、犯人からの第1の手紙を放送する際に「但しこの手紙には疑問点があるので全面的には信用できない」と解説を付けていたら、おそらくこのニュースは世界的な大ニュースにはならなかったのではないか。「治安が悪くてマスコミが未発達な中東地域の、数ある未確認情報の1つ」ということで、日本でも冷静に受け止められたのではないだろうか。
【アルジャジーラどころか、米国の一流紙でさえ、誤報や偏向報道を連発していた時期がある(小誌「偽善の反戦〜自ら偏向報道を認めたニューヨークタイムズ」 < http://www.akashic-record.com/y2002/irqwar.html#02 > )。】
朝日新聞は04年4月9日付の社説で「福田官房長官は……(人質を殺されたくなかったらイラクから自衛隊を撤退させろという)誘拐犯(テロリスト)の要求を拒んだ。かといって要求を突っぱね続ければ、3人の身に危険が及ぶだけでなく、同種の事件を誘発する恐れがある」と述べた。
要求を突っぱねれば、人質は死んでも「テロはやってもムダ」と犯人や世界中のテロリストにわかるので、同種の事件の再発は防げる、というのが国際社会の常識だ。が、敢えて朝日新聞はその逆を唱え、人質の無事を願う人質家族の心情に寄り添うことで暗示的に「自衛隊を撤退させろ」と説いた。
が、翌10日の社説では、一転して「脅迫では撤退できぬ」と、常識に戻った。
これ以降、日本の大手マスコミ各社は「要求を呑んで撤退させろ」という主張をしないことでほぼ一致し、人質や人質家族の立場と微妙に距離を置くようになる。
筆者は個人的に知っている範囲のマスコミ関係者に聞いて、業界の空気を探ってみたが、どうも10日頃から、マスコミ業界では「もしかすると歴史的大誤報をしたのではないか」という懸念が広がったようだ。
この事件は、カタールの衛星放送アルジャジーラが日本時間04年4月8日夜に、「犯人」が送り付けて来た手紙とビデオを放送したことから始まっている。
アルジャジーラは、03年イラク戦争の際、欧米と異なるアラブ独自の視点で報道をしたことから世界中のマスコミの尊敬を集めていた。そのアルジャジーラが事件として放送するんだから間違いないだろう、と日本のマスコミ各社はそのニュースを流すべく、新聞の紙面やテレビの放送時間枠を確保し、専門家への取材や出演交渉を始めた。
この間、日本のマスコミ各社では(日本語や英語の情報については瞬時に分析や価値判断のできる有能な人材が多数いるが)アラビア語情報の分析や価値判断のできる者がほとんどいないで、幹部は通訳が語る日本語情報や、中東の現地スタッフが語る英語情報などの二次情報をもとに「あのアルジャジーラが事件だと言ってるんだから、事件だ」という先入観によって、紙面や時間枠を決定した。
ところが、その決定のあと、大野元裕・中東調査会上席研究員のようなアラビア語のわかる社外の専門家を招いて意見を聞いてみると、「犯人の手紙(犯行声明文)の日付が西暦だけなのはおかしい」という重大な指摘がなされる。
ここで、マスコミ各社の幹部たちも疑い始める。
が、もう「大事件発生」の編集方針で駅売り部数や視聴率を取るんだ、という態勢を組んでしまっているので、いまさら引っ込みが付かない。もちろん大野らの専門家には「これは誘拐事件ですよね」という聞き方しかできない。もう「誘拐かどうかまだわかりませんよね」と聞くようなことは、編集方針上不可能だった。
9日ぐらいまでは、それでも惰性で「誘拐事件に決まってる」と信じようとしていた各社も、10日頃からだいぶ冷静になり、10日の朝日新聞では、前日と正反対の社説を掲げることになる。
【「すわ、日本人へのテロ続発か」と恐れて事件発覚直後の9日に急落して1万2000円の大台を割り込んだ日経平均株価も、週明け12日には反転上昇して大台を回復する。これは株式市場関係者が「狂言か」と思い始めたことを意味している。】
●無責任な放送●
日本のマスコミ各社では、先輩は後輩に必ず「裏付けを取って報道するのが基本」と教える。今回の事件報道の確かな「裏付け」は、(前回検討したとおり、数少ない「物的証拠」である2通の手紙とビデオでは、この事件が、ほんものか狂言か判断できないので)実は「アルジャジーラは責任ある報道をするはず」という思い込みだけだ。
が、現実にはアルジャジーラは無責任な放送局で、「犯人」が送って来た手紙やビデオをタレ流しただけだった。アルジャジーラなら、日本のマスコミと違って社外の専門家など呼ばなくても、「社内」にいくらでもアラビア語情報のわかるスタッフがいるのだから、もし欧米日のマスコミのような良識があって、犯人からの第1の手紙を放送する際に「但しこの手紙には疑問点があるので全面的には信用できない」と解説を付けていたら、おそらくこのニュースは世界的な大ニュースにはならなかったのではないか。「治安が悪くてマスコミが未発達な中東地域の、数ある未確認情報の1つ」ということで、日本でも冷静に受け止められたのではないだろうか。
【アルジャジーラどころか、米国の一流紙でさえ、誤報や偏向報道を連発していた時期がある(小誌「偽善の反戦〜自ら偏向報道を認めたニューヨークタイムズ」 < http://www.akashic-record.com/y2002/irqwar.html#02 > )。】
これは メッセージ 60589 (d_vooov_b さん)への返信です.
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