「事故責任論」に終止符を
投稿者: canonepsonjp 投稿日時: 2004/05/10 22:12 投稿番号: [173704 / 280993]
自作自演は言うに及ばず、「自己責任論」もいいかげんに終止符を打とう。
自己責任論で“鎖国”するな
個人主義とは異質な議論
――イラクでの日本人人質事件で「自己責任論議」が起きました。
「国の渡航自粛命令を無視したというが、幕末の吉田松陰は『鎖国令』を破り、下田でペリーの艦船に乗り込み米国密航を企てました。若き松陰は尊皇攘夷(じょうい)を唱えながらも米国を知ろうとした。言いたいのは、国や時代を変えるのは、そうした若いエネルギーということです」
「当時、開国か攘夷かで国論が二分したように、今回も自衛隊派遣で二分する中での事件。人質にされた方々も、無鉄砲な面とか、用意不十分な点もあったようだが、非難ばかりでは、江戸時代の鎖国心理に逆行しかねません」
――人質は「平成の松陰」というわけですか。
「そこまでは言えないが、イラクの子供を助けたい、イラクの実態を日本に知らせたい、というのは貴重な思い。グローバル化が進む中で、元米国防次官のジョセフ・ナイ氏が指摘した米国の『ソフトパワー(情報力)』は今や分散し、国境も消滅しつつある。テロも、非政府組織(NGO)も、多国籍企業も、その中で動いている。そういう時代に個人はどう行動するのか、政府及び『ハードパワー(軍)』はどう機能するのかを考える上で、彼らの行動は一石を投じたと思います」
――自己責任はないと。
「いや、自己責任は彼らも認めているでしょう。ただ日本での議論は『共同体』に迷惑をかけたことへの非難で、欧米流の徹底した個人主義に基づくものではない。集団主義の日本で果たして、社会契約説による政府と国民の関係がなじむのかは疑問です」
「人質だけに自己責任を問うなら、先延ばしが続くペイオフはどうか。銀行への公的資金注入も不要なはず。国民年金の八兆円の徴収漏れ、政治家の国民年金保険料の未納もある。結局、人質非難のためのご都合主義に聞こえる」
――政府には、犯人との交渉能力不足を露呈させられたとの腹立ちもあるのでは。
「人質解放交渉は、国の当然の義務です。私は政府はできることはやったと思う。しかし、仏ルモンド紙が『志のある青年まで村八分にするのはいかがか』との論旨で批判したように、新しい動きを受け入れない退嬰(たいえい)的な雰囲気が、政府や社会にあるとすると危険です」
「政府の責任者は『大変だった』『こんなことは二度とやってほしくない』と口々に言いましたね。実際、大変だっただろうが、新約聖書ルカ伝では、放蕩(ほうとう)息子ですら放浪から戻った際、父が歓迎した話があります。指導者たる者は、窮地から脱した人を温かく迎え入れる広い心を持つべきでしょう」
聞き手から
議論を混迷させた一因に、人質家族の政党色などを政府が嫌ったとの見方がある。そうだとすると、思想信条の自由を保障した憲法に抵触するし、幕末に吉田松陰らを弾圧した旧幕府とあまり変わらない。内外の議論で段差が生じたことも、政府の対応だけでなく、世論の懐の奥行きを探られた思いがする。
(編集委員 藤井良広)
なかはら・のぶゆき 34年生まれ。東燃社長を経て、新日銀法の第一期日銀審議委員を務める。任期中に、ゼロ金利、量的緩和策などを提唱。現在は金融庁顧問、日本工営社外取締役、財団法人アメリカ研究振興会理事長などを兼務。
米政府は脱出人質のハミルさんに渡航費支払いを求めたのですか。
自己責任論で“鎖国”するな
個人主義とは異質な議論
――イラクでの日本人人質事件で「自己責任論議」が起きました。
「国の渡航自粛命令を無視したというが、幕末の吉田松陰は『鎖国令』を破り、下田でペリーの艦船に乗り込み米国密航を企てました。若き松陰は尊皇攘夷(じょうい)を唱えながらも米国を知ろうとした。言いたいのは、国や時代を変えるのは、そうした若いエネルギーということです」
「当時、開国か攘夷かで国論が二分したように、今回も自衛隊派遣で二分する中での事件。人質にされた方々も、無鉄砲な面とか、用意不十分な点もあったようだが、非難ばかりでは、江戸時代の鎖国心理に逆行しかねません」
――人質は「平成の松陰」というわけですか。
「そこまでは言えないが、イラクの子供を助けたい、イラクの実態を日本に知らせたい、というのは貴重な思い。グローバル化が進む中で、元米国防次官のジョセフ・ナイ氏が指摘した米国の『ソフトパワー(情報力)』は今や分散し、国境も消滅しつつある。テロも、非政府組織(NGO)も、多国籍企業も、その中で動いている。そういう時代に個人はどう行動するのか、政府及び『ハードパワー(軍)』はどう機能するのかを考える上で、彼らの行動は一石を投じたと思います」
――自己責任はないと。
「いや、自己責任は彼らも認めているでしょう。ただ日本での議論は『共同体』に迷惑をかけたことへの非難で、欧米流の徹底した個人主義に基づくものではない。集団主義の日本で果たして、社会契約説による政府と国民の関係がなじむのかは疑問です」
「人質だけに自己責任を問うなら、先延ばしが続くペイオフはどうか。銀行への公的資金注入も不要なはず。国民年金の八兆円の徴収漏れ、政治家の国民年金保険料の未納もある。結局、人質非難のためのご都合主義に聞こえる」
――政府には、犯人との交渉能力不足を露呈させられたとの腹立ちもあるのでは。
「人質解放交渉は、国の当然の義務です。私は政府はできることはやったと思う。しかし、仏ルモンド紙が『志のある青年まで村八分にするのはいかがか』との論旨で批判したように、新しい動きを受け入れない退嬰(たいえい)的な雰囲気が、政府や社会にあるとすると危険です」
「政府の責任者は『大変だった』『こんなことは二度とやってほしくない』と口々に言いましたね。実際、大変だっただろうが、新約聖書ルカ伝では、放蕩(ほうとう)息子ですら放浪から戻った際、父が歓迎した話があります。指導者たる者は、窮地から脱した人を温かく迎え入れる広い心を持つべきでしょう」
聞き手から
議論を混迷させた一因に、人質家族の政党色などを政府が嫌ったとの見方がある。そうだとすると、思想信条の自由を保障した憲法に抵触するし、幕末に吉田松陰らを弾圧した旧幕府とあまり変わらない。内外の議論で段差が生じたことも、政府の対応だけでなく、世論の懐の奥行きを探られた思いがする。
(編集委員 藤井良広)
なかはら・のぶゆき 34年生まれ。東燃社長を経て、新日銀法の第一期日銀審議委員を務める。任期中に、ゼロ金利、量的緩和策などを提唱。現在は金融庁顧問、日本工営社外取締役、財団法人アメリカ研究振興会理事長などを兼務。
米政府は脱出人質のハミルさんに渡航費支払いを求めたのですか。
これは メッセージ 1 (topics_editor さん)への返信です.
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