君死にたまふこと勿れ-
投稿者: yaseinomiryoku 投稿日時: 2006/08/21 08:35 投稿番号: [58643 / 66577]
鉄幹の妻、與謝野 晶子
歌集『みだれ髪』を刊行。日露戦争に際して発表した詩「君死にたまふことなかれ」で社会に衝撃を与えた。
君死にたまふこと勿れ
(旅順口包囲軍の中に在る弟を歎きて)
「明星」明治三十七年九月号
あゝをとうとよ君を泣く
君死にたまふことなかれ
末に生れし君なれば
親のなさけはまさりしも
親は刃(やいば)をにぎらせて
人を殺せとをしへしや
人を殺して死ねよとて
二十四までをそだてしや
堺(さかひ)の街のあきびとの
舊家(きうか)をほこるあるじにて
親の名を継ぐ君なれば
君死にたまふことなかれ
旅順の城はほろぶとも
ほろびずとても何事か
君知るべきやあきびとの
家のおきてに無かりけり
君死にたまふことなかれ
すめらみことは戦ひに
おほみづからは出でまさね
かたみに人の血を流し
獣(けもの)の道に死ねよとは
死ぬるを人のほまれとは
大みこゝろの深ければ
もとよりいかで思(おぼ)されむ
あゝをとうとよ戦ひに
君死にたまふことなかれ
すぎにし秋を父ぎみに
おくれたまへる母ぎみは
なげきの中にいたましく
わが子を召され家を守(も)り
安(やす)しと聞ける大御代も
母のしら髪(が)はまさりけり
暖簾(のれん)のかげに伏して泣く
あえかにわかき新妻(にひづま)を
君わするるや思へるや
十月(とつき)も添はでわかれたる
少女(をとめ)ごころを思ひみよ
この世ひとりの君ならで
あゝまた誰をたのむべき
君死にたまふことなかれ
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これは メッセージ 58642 (yaseinomiryoku さん)への返信です.
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