中国

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注・・・時間があればお読みください。

投稿者: suruganoturutarou 投稿日時: 2005/06/28 19:45 投稿番号: [37967 / 66577]



留面子、講道理(上)  




  中国生活には日常的に喧嘩、トラブルがある。容赦ない規制、聞き分けのない会話、

妥協しない交渉、理不尽な危険、大成功と大失敗、真実と嘘の混同がいたるところ無数にある。

われわれから見ると解決不能のようにも思われるこれらの混沌とした現象を仕切る中国の歴史的、

伝統的キーワードが「面子」、そして「道理」である。


  中国は王朝時代から規則の多い国である。文化大革命により一時期破壊され、無政府状態になったが、

この官僚主義、絶対的統治の体質は現代中国ですでに復活している。制定され、発出される無数の法令、

条例、通達類は現実問題の多さをも同時に物語っている。ごく一部に発生する悪質な問題を根源から絶つために、

善良な多数を束縛する悪法が多いとも、しばしば外国人から指摘されている。

しかし、これは取り締まられる側の論理であり、取り締まる側の論理は違う。


  12億以上の人口と52の多民族を抱え、長大な国境線を擁する大陸国家を統治する術は、

山地だらけの小さな島国とは異なる。彼らはあるべき姿、ベスト・エフォートを法律、規則に描き、

それに反するものは罰し、容赦なく切り捨てる。そこに「和」や「信頼」という響きの良い言葉はあまり聞かれない。

無責任と馴れ合い、責任転嫁の美言にすり返られやすい「言い訳の言葉」であると知っているからである。

全員が仲良く合格点のミニマム・スタンダードであれば良い、落ちこぼれを出さない事がもっとも重要で、

できる人物は勝手に一人でやればよいという共同体平等社会でもない。中国語で「中間派」という言葉がある。

これは決して褒め言葉ではなく、むしろ要するに「どちらつかずの」「いい加減な奴」という意味の蔑称である。


  ベスト・エフォート・ルールを全面的に一律、厳格な適用をすれば、容易に革命、

反乱がおき国家はなりたたないことも彼らはよく知っている。大陸国家を統治するためには現場に運用の裁量を与える。

この裁量の幅が、統治する側の最大の悩みとなる。「改革」「整風」等と称して裁量の幅や権限譲渡の程度を変えたり、

周期的に強くしたり緩くしたり、何度も同じ事を繰り返す。これ(地方への権限譲渡、裁量幅の供与)が

大陸中国政治の伝統的な関節(キーポイント)であり、弱点でもある。統治される側もこれをよく知っていて、

この関節、弱点を集中的、かつ徹底的に叩く。


  我々であれば、いっさいの運用幅を認めず、官僚的に、冷徹に、例外なく一律に徹底できないものはルールと呼ばない。

法律でも規則でもない。しかし、それができなければ改革は不可能であるということが彼らにはわからないようだ。

ここに中国の当事者には見えない、統治する側、される側の共通点がある。それは無数の法律、規則は結局のところ、

どちら方も「飾り物」と祭り上げられてしまい、誰も(取り締まる側の者ですら)ルールを厳格に守ろうとしない風土である。

彼らはそれらが「ベスト・エフォート」にすぎないと理解している。当事者たちは自分たちの契約ですら軽視する。

契約とは、その時点における一時的な合意事項に過ぎないと知っているからである。

なかには自己の信念、思想、宗教をあくまで貫徹するものもいるが、決して多数ではないように見える。

長いものには巻かれろ、現実の流れに従え、という風潮である。


  多様な民族、風土、生活、価値観が混在する大陸社会で、もっとも重視されるものはなにか。それは「事実」である。

何が事実か、これが中国では最も先行する重要なポイントである。それはただ紙っぺらに書かれた約束事や規則ではなく、

間違いなく証明された本人の、真正な署名であり、しかもそれが誰の署名か、ということにある。

つまり、これが「面子」と呼ばれるものの実態である。

中国での喧嘩、トラブル、規制の多くは面子に原因がある。外国人とのトラブルには、愛国心、民族主義も絡む。

面子を日本語に訳せば、自尊心、プライド(honour)というべきようなものである。これを理解さえしていれば、

たいていの問題は、面子を立てる(潰さず残す)こと(留面子)により、自然に解決することを知る。数分前まで棍棒を握り締め、

口から泡を飛ばして大声で喧嘩していた中国人どうしが、通行人のちょっとした仲介で、

何事もなかったように急に真顔になって別れる不思議さはここにある。

(続く…)  




http://www.geocities.jp/chinainformation21/abc-26.htm
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