IBMは“売り抜け”た
投稿者: ty470620 投稿日時: 2004/12/14 14:07 投稿番号: [99 / 279]
IBMは“売り抜け”た
聯想がIBMのパソコン事業を買収した。中国からは「蛇が象を飲み込んだ」と中国企業の“偉業”に興奮気味の声が聞こえてくる。IBMという情報通信業界の神話的ともいえる企業の、しかも一世を風靡したパソコン事業を買収したのだから高揚感も幾分理解できる。だが、実態は違うのではないか。
客観的に見ればIBMが「回復の方策の見えない下り坂の事業を、キャッシュのある中国企業にうまく押しつけ、中国政府に恩を売った」、というのが現実だろう。
聯想がIBMのパソコン事業を立て直し、デルやHPなどに対抗してシェアを伸ばしていく可能性は低い。なぜなら、聯想の価格競争力、販売力、ブランド力は、中国市場においてしか通用しないからだ。 「だからグローバル市場で戦うためにIBMのブランドを手に入れたのだ」というのが聯想サイドの説明だが、IBMはパソコン事業での巻き返しに成功しなかったブランドであって、勝ち組ではない。IBMが持てるブランド力のすべてとソリューション事業など他部門とのシナジーを最大限働かせても、再び勝ち組の一角に食い込めなかった事業を、事実上、中国市場でしか戦ったことのない聯想が立て直せると考えるのはあまりに楽観的だ。
パソコンにおけるIBMのブランドは、聯想の買収が世界に知れ渡ったことで一気にメッキがはげるだろう。聯想が手に入れたと思った「金色のブランド」は、あっという間に変色し、緑青を吹く恐れがある。聯想はIBMのブランドを5年間使用できる権利を得たが、IBMは手放した事業のブランド力維持のために力を入れるはずもない。パソコン開発の拠点である日本IBMなどにいる、グループの優秀な研究開発人材の流出もすぐに始まるだろう。聯想にしてみれば、買ったはずの事業に乗り込んでみたら、空き家で看板も色あせていた、ということになりかねない。
「ヒト」の蓄積は買収できない 「聯想の低コスト生産力がIBMパソコンの競争力を回復させる」と考えるのも幻想だろう。IBMをうち負かしたデルもHPも生産の中心は中国であり、請け負っているのは聯想の数倍の生産規模を持つ台湾系のEMS(電子機器の受託製造)なのだ。むしろ聯想は今回、高給のIBM出身者を多数取り込むことで急激なコストの増加に見舞われ、中国の同業者に対してもコスト競争力を失う可能性が大きい。
中国のテレビ最大手であるTCLは、薄型テレビに市場が転換しつつある中でブラウン管テレビの世界大手、仏トムソンのテレビ部門を買収し、中国の自動車メーカーで最も収益力のある上海汽車は、欧州で買い手のつかない英国の老自動車メーカー、ローバーを大金をはたいて傘下に収めた。 今回の聯想も含め、中国企業が手に入れたのは、全盛期をとうに過ぎた下り坂の事業や企業にすぎない。欧米企業の間では「華やかな昔話をすれば、中国企業が大金を出して買ってくれる」というわさが広がっているかもしれない。
柳主席がかつて筆者に語ったように「企業はヒト」であり、それは買収で獲得できるものではない。自社で時間をかけ、経験を積ませ、グローバル市場で汗と涙を流させなければ、競争力を持った人材は育成できない。
日立製作所は同じIBMからハードディスクドライブ(HDD)事業を買収し、うまく軌道にのせた。それは偶然ではなく、HDD分野において日立に技術と人材の蓄積があってこその話だ。
私の予想がはずれ、聯想がデル、HPを追撃する強力なパソコンメーカーになることを期待したい。
聯想がIBMのパソコン事業を買収した。中国からは「蛇が象を飲み込んだ」と中国企業の“偉業”に興奮気味の声が聞こえてくる。IBMという情報通信業界の神話的ともいえる企業の、しかも一世を風靡したパソコン事業を買収したのだから高揚感も幾分理解できる。だが、実態は違うのではないか。
客観的に見ればIBMが「回復の方策の見えない下り坂の事業を、キャッシュのある中国企業にうまく押しつけ、中国政府に恩を売った」、というのが現実だろう。
聯想がIBMのパソコン事業を立て直し、デルやHPなどに対抗してシェアを伸ばしていく可能性は低い。なぜなら、聯想の価格競争力、販売力、ブランド力は、中国市場においてしか通用しないからだ。 「だからグローバル市場で戦うためにIBMのブランドを手に入れたのだ」というのが聯想サイドの説明だが、IBMはパソコン事業での巻き返しに成功しなかったブランドであって、勝ち組ではない。IBMが持てるブランド力のすべてとソリューション事業など他部門とのシナジーを最大限働かせても、再び勝ち組の一角に食い込めなかった事業を、事実上、中国市場でしか戦ったことのない聯想が立て直せると考えるのはあまりに楽観的だ。
パソコンにおけるIBMのブランドは、聯想の買収が世界に知れ渡ったことで一気にメッキがはげるだろう。聯想が手に入れたと思った「金色のブランド」は、あっという間に変色し、緑青を吹く恐れがある。聯想はIBMのブランドを5年間使用できる権利を得たが、IBMは手放した事業のブランド力維持のために力を入れるはずもない。パソコン開発の拠点である日本IBMなどにいる、グループの優秀な研究開発人材の流出もすぐに始まるだろう。聯想にしてみれば、買ったはずの事業に乗り込んでみたら、空き家で看板も色あせていた、ということになりかねない。
「ヒト」の蓄積は買収できない 「聯想の低コスト生産力がIBMパソコンの競争力を回復させる」と考えるのも幻想だろう。IBMをうち負かしたデルもHPも生産の中心は中国であり、請け負っているのは聯想の数倍の生産規模を持つ台湾系のEMS(電子機器の受託製造)なのだ。むしろ聯想は今回、高給のIBM出身者を多数取り込むことで急激なコストの増加に見舞われ、中国の同業者に対してもコスト競争力を失う可能性が大きい。
中国のテレビ最大手であるTCLは、薄型テレビに市場が転換しつつある中でブラウン管テレビの世界大手、仏トムソンのテレビ部門を買収し、中国の自動車メーカーで最も収益力のある上海汽車は、欧州で買い手のつかない英国の老自動車メーカー、ローバーを大金をはたいて傘下に収めた。 今回の聯想も含め、中国企業が手に入れたのは、全盛期をとうに過ぎた下り坂の事業や企業にすぎない。欧米企業の間では「華やかな昔話をすれば、中国企業が大金を出して買ってくれる」というわさが広がっているかもしれない。
柳主席がかつて筆者に語ったように「企業はヒト」であり、それは買収で獲得できるものではない。自社で時間をかけ、経験を積ませ、グローバル市場で汗と涙を流させなければ、競争力を持った人材は育成できない。
日立製作所は同じIBMからハードディスクドライブ(HDD)事業を買収し、うまく軌道にのせた。それは偶然ではなく、HDD分野において日立に技術と人材の蓄積があってこその話だ。
私の予想がはずれ、聯想がデル、HPを追撃する強力なパソコンメーカーになることを期待したい。
これは メッセージ 97 (kinsyouniti_puuu さん)への返信です.
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