『八犬伝』と『洪吉童伝』
投稿者: lilasnosakukoro 投稿日時: 2004/04/03 20:34 投稿番号: [15867 / 44985]
昨日から、『八犬伝』と『洪吉童伝』、そしておおもとの『水滸伝』との比較をあれこれ考えて、楽しんでいます。
『水滸伝』
中国の古典。梁山泊に108人の英雄豪傑がそれぞれの因縁で集まり、義賊として大活躍。最後は宋王朝に帰順し、正規軍となって外敵と戦う。
『洪吉童伝』
李朝時代の古典。著者は名門貴族の出身である許キン(竹冠に均)
高位の両班と婢との間に生まれた吉童は、厳しい身分制度に戦いを挑むため義賊団を結成する。神出鬼没の彼に手を焼いた国王や政府は、彼を取り込むことを決意。だが吉童はそれを辞退し、新天地を目指して出航。やがてとある島の国王となり、理想の社会を築く。
『南総里見八犬伝』
江戸時代の文豪、滝川馬琴の作。里見家の姫伏姫と犬の八房に縁の八犬士が因縁に手繰り寄せられる。彼らは、仁義礼智忠信孝悌の8つの球をそれぞれ持つ。一堂に集まった後、彼らは里見家の領土を狙う扇谷家の軍勢と戦い、これを退ける。その動きに、里見家に恨みを抱く怨霊玉ずさの画策が絡む。
ざっと要約すればこうなると思うのですが、これだけで、中国の古典を朝鮮と日本の両文筆家がどう受け入れたか、違いがくっきり出ているような気がします。
そもそも『水滸伝』は、権力に虐げられた民衆の憂さを豪傑達が晴らしていく豪快な英雄談です。根底にあるのは、侠の精神でしょう。それを正確に引き写しているのは、『洪吉童伝』のほうです。許キンは、「侠」の精神を李氏朝鮮社会の中に照らしなおしながらも、そのテーマにそってストーリーを動かしています。
一方馬琴は、「侠」の充満する豪胆な世界を、里見家という八犬士のアイデンティティを提供した家への「忠」の世界に置き換えています。馬琴が『水滸伝』から引き継いだのは、因縁によって結ばれている男達(『水滸伝』の梁山泊には女性もいますが)が集められ彼らが力を合わせて一つのことを成し遂げる、という道具立て・舞台装置です。
中国文化の精神に忠実な朝鮮人と、機能性に注目してそれを焼きなおそうとする日本人。これって、儒教を両国民がどう受け入れたか、の違いにも通じると思いませんか?
もちろん、執筆当時の作者の年齢の違いも関係があるのかもしれませんが。(もういい加減にしろ、というくらい長生きした馬琴に対し、許キンは50歳になるまえに非業の最後を遂げていますから)
『八犬伝』にしろ『洪吉童伝』にしろ、大部の古典ですからなかなか本文を読み始める勇気が湧きませんが、いずれ挑戦してみたいと思ったりします。
『水滸伝』
中国の古典。梁山泊に108人の英雄豪傑がそれぞれの因縁で集まり、義賊として大活躍。最後は宋王朝に帰順し、正規軍となって外敵と戦う。
『洪吉童伝』
李朝時代の古典。著者は名門貴族の出身である許キン(竹冠に均)
高位の両班と婢との間に生まれた吉童は、厳しい身分制度に戦いを挑むため義賊団を結成する。神出鬼没の彼に手を焼いた国王や政府は、彼を取り込むことを決意。だが吉童はそれを辞退し、新天地を目指して出航。やがてとある島の国王となり、理想の社会を築く。
『南総里見八犬伝』
江戸時代の文豪、滝川馬琴の作。里見家の姫伏姫と犬の八房に縁の八犬士が因縁に手繰り寄せられる。彼らは、仁義礼智忠信孝悌の8つの球をそれぞれ持つ。一堂に集まった後、彼らは里見家の領土を狙う扇谷家の軍勢と戦い、これを退ける。その動きに、里見家に恨みを抱く怨霊玉ずさの画策が絡む。
ざっと要約すればこうなると思うのですが、これだけで、中国の古典を朝鮮と日本の両文筆家がどう受け入れたか、違いがくっきり出ているような気がします。
そもそも『水滸伝』は、権力に虐げられた民衆の憂さを豪傑達が晴らしていく豪快な英雄談です。根底にあるのは、侠の精神でしょう。それを正確に引き写しているのは、『洪吉童伝』のほうです。許キンは、「侠」の精神を李氏朝鮮社会の中に照らしなおしながらも、そのテーマにそってストーリーを動かしています。
一方馬琴は、「侠」の充満する豪胆な世界を、里見家という八犬士のアイデンティティを提供した家への「忠」の世界に置き換えています。馬琴が『水滸伝』から引き継いだのは、因縁によって結ばれている男達(『水滸伝』の梁山泊には女性もいますが)が集められ彼らが力を合わせて一つのことを成し遂げる、という道具立て・舞台装置です。
中国文化の精神に忠実な朝鮮人と、機能性に注目してそれを焼きなおそうとする日本人。これって、儒教を両国民がどう受け入れたか、の違いにも通じると思いませんか?
もちろん、執筆当時の作者の年齢の違いも関係があるのかもしれませんが。(もういい加減にしろ、というくらい長生きした馬琴に対し、許キンは50歳になるまえに非業の最後を遂げていますから)
『八犬伝』にしろ『洪吉童伝』にしろ、大部の古典ですからなかなか本文を読み始める勇気が湧きませんが、いずれ挑戦してみたいと思ったりします。
これは メッセージ 1 (topics_editor さん)への返信です.
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