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理不尽について 1

投稿者: hiro1973may 投稿日時: 2005/08/08 08:07 投稿番号: [14938 / 85019]
殿下は馬がお好きであった。
だから毎朝、広島市の郊外にある仮御殿を騎馬でお出ましになり、市内を南から北に
縦断するようにして、山陽本線の駅近くにある軍司令部に通われた。

その朝も同じだった。忠実なお付武官のY中佐が、今日はたいそう日ざしが強いので
お車をお使い下さい、と勧めるのを笑って退けられ、おまえは一足先に車で行け、
とおっしゃられた。

Y中佐はそうした殿下を、深く尊敬していた。うだるような暑さと不利な戦況の中で、
日本の軍人たちはみなうんざりしているというのに、朝鮮王族である殿下は
いつも馬上に凛(りん)と軍服の背を伸ばして、軍司令部との長い道のりを往還される。
しかもお付のY中佐にはご自分の乗用車を使用させるのである。
Y中佐が長靴(ちょうか)も履けぬほどのひどい水虫に苦しんでいることを、
殿下はご存じだった。

ではお先に、と車で御殿を出るとき、Y中佐は遠ざかる殿下に敬礼しながら、
いつも胸がいっぱいになるのだった。殿下はY中佐が車窓から体を引っこめるまで、
馬上の答礼の手をおろそうとはなさらなかった。
おそらく、それが士官学校の先輩に対する当然の礼儀であると、殿下はお考えになって
いるのであろう。

口にこそ出さないが、Y中佐は理不尽を感じている。明治43年の日韓併合によって、
朝鮮の李王家は日本の皇族として礼遇されることになった。
それから40年近くの歳月が経つから、お若い殿下は日本の皇族としてお生まれになり、
学習院と士官学校に学ばれ、帝国軍人として人生をお過ごしになっている。
歴史の必然と言ってしまえばそれまでだが、はたして当の殿下は、
自分の感じているような理不尽をお感じにはなられないのであろうか、と中佐は思う。
理不尽とは、道理を尽くさないで無理無体に押しつけることである。
ならばこれ以上の理不尽はなかろう、と中佐はひそかに考えている。

殿下の任務は、来るべき本土決戦に備えて西日本の防衛を担当する、
第二総軍の教育参謀である。
沖縄を陥とした米軍が、遠からず九州に上陸してくるであろうことはほぼまちがいないから、
最高指揮所の参謀として、殿下の任務は極めて重大である。
それぐらい殿下は、有能な軍人でもあらせられる。

理不尽だと、Y中佐は再び思う。大東亜戦争は日本が世界を相手にした戦である。
しかし殿下が世界を敵に回す理由は、何ひとつないと思う。
自分は死んでもよい。だが殿下をこの戦で殺してはならないと、Y中佐は心に誓っていた。
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