Re: 民族自治は認めても自決は認めないシナ
投稿者: kyurokuhachi 投稿日時: 2005/10/23 00:01 投稿番号: [20348 / 28311]
さらに同書では、ダライ・ラマ法王とチベット政府側が中国との対話を断ち切ったとし、国外からの影響で中国に圧力をかけようという法王の姿勢を批判しているが、これが的外れの批判である事は、今現在に至るまで、「高度な自治権」という形で中国側に妥協しながら、実質的な平和交渉によるチベットを含む民族問題の解決を訴える法王の姿勢を見れば誰にも明らかなことであろう(また、本書では、パンチェン・ラマが終始一貫して中国政府を支持していたという記述があるが、六十年代初期に中国のチベット統治を激しく批判した「七万語宣言」や、この最晩年の八九年、ダライ・ラマ法王を評価し、中国の政策を批判した発言に一言も触れないのも不当である)。かつ、難民条約や世界人権宣言などの、世界がこれからの規範として進もうとしている理想に反する、現代中国の民族政策が国際世論から批判されるのは当然のことである。「民族自決権」を承認せよという基本的な要請を「国際政治のカード」としか見ない姿勢は正当化されるはずもない。
同時に、本書では実は、経済成長が“少数民族にも利益をもたらしている”こと、また民族独立運動は“少数派の主張に過ぎない”事は強調されるが、何故か中国の民主化についてはほとんど触れる所がない。そもそも民族独立運動が少数派か否かは、民族自決権が原則的に承認され、かつ言論の自由と複数政党による選挙が行われて初めて判定できる物ではないのか?この部分における著者の沈黙は、逆に問題の根底を明らかにしている。中国に民族自決権と民主主義が実現し、その結果緩やかな連邦制がもたらされること、これが中国共産党にとって最も避けたい事態であり、現在行われている民族政策は、中国政府の認める範囲の「自治」の範囲を超える政治的権利を一切他民族には認めないという、やはり事実上、漢民族・共産党体制(そしてそれを承認する他民族の一部共産党員)による民族支配構造なのだ。
著者は東トルキスタンの専門家として、本書でもこの問題に多くのページを割いている。この部分については、今後本誌で東トルキスタン問題を研究する過程でさらに触れて行きたい。著者の代表作と思われる「東トルキスタン共和国研究」(東京大学出版会)を論じることも必要に応じて行っていく。同書は東トルキスタン建国時のソ連の役割などについて、確かに貴重な分析がなされているが、同時に、民族問題を国際関係の枠組みでのみ捉え、結局中国政府の立場を正当化する思考から離れようとはしていない。しかし、この「多民族国家 中国」において、著者は東トルキスタン問題がチベット問題以上に複雑であること、また中国政府の経済援助が思うほどの効果をあげていないこと、独立運動との対話、和解が困難であることなどを暗示している。逆に言えば、この東トルキスタン独立運動は、昨年のアメリカにおける亡命政権発足以降新段階に入ったのだ。ウクライナに始まり中央アジアに向かう民主化の波は、必ずや中国内部の民族独立運動に直結する。本書が正当化しようとする現代中国の、管理された民族自治を、来るべき未来、内外から押し寄せる独立運動の波が乗り越える瞬間は、決して遠くない将来訪れるだろう。
2005年10月9日
同時に、本書では実は、経済成長が“少数民族にも利益をもたらしている”こと、また民族独立運動は“少数派の主張に過ぎない”事は強調されるが、何故か中国の民主化についてはほとんど触れる所がない。そもそも民族独立運動が少数派か否かは、民族自決権が原則的に承認され、かつ言論の自由と複数政党による選挙が行われて初めて判定できる物ではないのか?この部分における著者の沈黙は、逆に問題の根底を明らかにしている。中国に民族自決権と民主主義が実現し、その結果緩やかな連邦制がもたらされること、これが中国共産党にとって最も避けたい事態であり、現在行われている民族政策は、中国政府の認める範囲の「自治」の範囲を超える政治的権利を一切他民族には認めないという、やはり事実上、漢民族・共産党体制(そしてそれを承認する他民族の一部共産党員)による民族支配構造なのだ。
著者は東トルキスタンの専門家として、本書でもこの問題に多くのページを割いている。この部分については、今後本誌で東トルキスタン問題を研究する過程でさらに触れて行きたい。著者の代表作と思われる「東トルキスタン共和国研究」(東京大学出版会)を論じることも必要に応じて行っていく。同書は東トルキスタン建国時のソ連の役割などについて、確かに貴重な分析がなされているが、同時に、民族問題を国際関係の枠組みでのみ捉え、結局中国政府の立場を正当化する思考から離れようとはしていない。しかし、この「多民族国家 中国」において、著者は東トルキスタン問題がチベット問題以上に複雑であること、また中国政府の経済援助が思うほどの効果をあげていないこと、独立運動との対話、和解が困難であることなどを暗示している。逆に言えば、この東トルキスタン独立運動は、昨年のアメリカにおける亡命政権発足以降新段階に入ったのだ。ウクライナに始まり中央アジアに向かう民主化の波は、必ずや中国内部の民族独立運動に直結する。本書が正当化しようとする現代中国の、管理された民族自治を、来るべき未来、内外から押し寄せる独立運動の波が乗り越える瞬間は、決して遠くない将来訪れるだろう。
2005年10月9日
これは メッセージ 20347 (kyurokuhachi さん)への返信です.