Re: 星落秋風五丈原 土井晩翠
投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/07/25 21:34 投稿番号: [190 / 735]
魏軍の營も音絶て
夜は靜かなり五丈原
たゝずと思ふ今のまも
丹心國を忘られず
病を扶け身を起し
臥帳掲げて立ちいづる
夜半の大空雲もなし
刀斗聲無く露落ちて
旌旗は寒し風清し
三軍ひとしく聲呑みて
つゝしみ迎ふ大軍師
羽扇綸巾膚寒み
おもわやつれし病める身を
知るや情の小夜あらし
諸壘あまねく經廻りて
輪車靜かにきしり行く
星斗は開く天の陣
山河はつらぬ地の營所
つるぎは光り影冴えて
結ぶに似たり夜半の霜
嗚呼陣頭にあらわれて
敵とまた見ん時やいつ
祁山の嶺に長驅して
心は勇む風の前
王師たゞちに北をさし
馬に河洛に飲まさむと
願ひしそれもあだなりや
胸裏百萬兵はあり
帳下三千將足るも
彼れはた時をいかにせん
星落秋風五丈原
成敗遂に天の命
事あらかじめ圖られず
舊都再び駕を迎へ
麟臺永く名を傳ふ
春玉樓の花の色
いさをし成りて南陽に
琴書をまたも友とせむ
望みは遂に空しきか
君恩酬ふ身の一死
今更我を惜しまねど
行末いかに漢の運
過ぎしを忍び後計る
無限の思い無限の情
南成都の空いづこ
玉壘今は秋更けて
錦江の水痩せぬべく
鐵馬あらしに嘶きて
劔關の雲睡るべく
明主の知遇身に受けて
三顧の恩にゆくりなく
立ちも出でけむ舊草廬
嗚呼鳳遂に衰へて
今に楚狂の歌もあれ
人生意氣に感じては
成否をたれかあげつらふ
つづく
これは メッセージ 189 (ajisai110701 さん)への返信です.
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