Re: 星落秋風五丈原 土井晩翠
投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/07/25 21:27 投稿番号: [187 / 735]
末は黄河の水濁る
三代の源遠くして
伊周の跡は今いづこ
道は衰へ文弊れ
管仲去りて九百年
樂毅滅びて四百年
誰か王者の治を思ふ
嗚呼南陽の舊草廬
二十餘年のいにしえの
夢はたいかに安かりし
光を包み香をかくし
隴畝に民と交われば
王佐の才に富める身も
たゞ一曲の梁父吟
閑雲野鶴雲濶く
風に嘯く身はひとり
月を湖上に碎きては
ゆくへ波間の舟ひと葉
ゆふべ暮鐘に誘はれて
訪ふは山寺の松の影
江山さむるあけぼのゝ
雪に驢を驅る道の上
寒梅痩せて春早み
幽林風を穿つとき
伴は野鳥の暮の歌
紫雲たなびく洞の中
誰そや棊局の友の身は
其隆中の別天地
空のあなたを眺むれば
大盜競ほひはびこりて
あらびて榮華さながらに
風の枯葉掃ふごと
治亂興亡おもほへば
世は一局の棊なりけり
其世を治め世を救ふ
經綸胸に溢るれど
榮利を俗に求めねば
岡も臥龍の名を負ひつ
亂れし世にも花は咲き
花また散りて春秋の
遷りはこゝに二十七
高眠遂に永からず
信義四海に溢れたる
君が三たびの訪づれを
背きはてめや知己の恩
羽扇綸巾風輕き
姿は替へで立ちいづる
草廬あしたのぬしやたれ
古琴の友よさらばいざ
曉さむる西窓の
殘月の影よさらばいざ
白鶴歸れ嶺の松
蒼猿眠れ谷の橋
岡も替へよや臥龍の名
草廬あしたはぬしもなし
つづく
これは メッセージ 186 (ajisai110701 さん)への返信です.
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