Re: 「丸」という雑誌
投稿者: tokyo_cachito3 投稿日時: 2012/12/19 18:52 投稿番号: [3000 / 3149]
陸軍の「隼」は国民に親しまれていたそうだが、海軍の「零戦」は対米作戦のために「軍事秘密」とされていたそうな。したがって、戦争初期の段階では新聞やグラフ雑誌に「零戦」は出てこない。戦艦大和、さらに同型の武蔵の建艦になると、その防諜体制は凄まじく、吉村昭の「戦艦武蔵」を読むと、周りの丘から丸見えの長崎の造船所であれだけのものを秘密裏に造ろうと、遮蔽のためだけの巨大な倉庫を何棟も作ったというから大変なものである。天皇もこの超ド級戦艦に関心を持たれ、「こんどの戦艦の主砲は何センチか」という御下問があったから海軍は返答に窮した。言うまでもなく、菊の御紋章を舳先につけた天皇陛下の戦艦であり、まさか、とぼけて奉答をしないわけにはいかない。すぐに、主砲の脇に水兵を一人立たせた写真を差し出して勘弁を願ったという話がある。軍艦の大砲など、砲口を大きくするだだけなら簡単じゃないか、と思うのは大砲の製造、冶金工学を知らない人の言うことで、わずか1センチでもこれを拡げるのは大変なことだという。いったん「極秘」の判子を押したら、天皇陛下にも軍機は漏らさないのだから、戦時下の国民には大本営発表以外は何も知らされず、知っていても口を閉ざしていたのだが、もちろん、ヘタなことを喋って特高に踏み込まれたらタダでは済まないからである。わたしが以前住んでいた横浜市南区に「岡村」という高台があり、ここに高射砲陣地があって、住民の誰もが知ってはいたが、戦時下、「弾む会話で漏らすな軍機」の標語はたしかに守られていたのである。だが、数人の小学生がその陣地の下で遊んでいるとき、背広姿の男が「君たち、この上にはなにがあるのかな?」とにこやかに尋ねたのである。小学生の一人が「高射砲陣地じゃない?」と答えたが、その男、特別高等警察の刑事だったから堪らない。翌日、何人もの警察幹部が校長室を訪れ、「お前のところでは、生徒に防諜教育をしておらんのか!」と怒鳴りつけた。その生徒がどうなったは知らないが、担任の先生から思い切り張り手で殴られただろうことは察しがつく。
これは メッセージ 2999 (unh*o さん)への返信です.
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