祖母の妄想
投稿者: kon8823 投稿日時: 2001/06/02 16:05 投稿番号: [5468 / 60270]
講談社「ワイルド・スワン」より
『祖母は、もはや生きるしかばねであった。ただ目だけが、何かを期待してあたりを見まわしていた。愛する娘の顔を見るまで、どうしても目を閉じるわけにはいかなかったのだろう。
ようやく母の帰宅が許された。二日間、母は祖母の枕もとを離れなかった。ときどき、祖母はかすかな声で母に何かささやいた。祖母の最後のことばは、どのようにしてこの恐ろしい疼痛が始まったか、ということだった。
姚女史派の隣人が中庭で開いた批闘大会にひっぱり出された、と祖母は母に語った。造反派の連中が家さがしにやって来て、朝鮮戦争中に祖母が供出した宝石類の受領証を押収していった。そして批闘大会で、「おまえは臭気ふんぷんたる搾取階級の一員だ。そうでなければ、あれだけの宝石を持っているはずがないだろう!」と罵倒された……。
祖母は小さなテーブルの上に立たされた。地面がでこぼこでテーブルがぐらぐら揺れ、めまいがした。隣人たちが、自分にむかってどなった。小方が幼い娘を強姦したと言いがかりをつげた例の女が、こん棒でテーブルの足をしたたかに殴りつけた。祖母はバランスを失って、背中から固い地面に落ちた。あのときから、恐ろしい痛みが始まった−祖母は、そう言った。
実際には、祖母に対する批闘大会などなかった。けれども、こうした一連の情景が、死ぬまで祖母の心にとりついでいたのだった。
母が帰宅し三日目に、祖母は息をひきとった。その二日後、祖母の火葬を済ませると同時に、母はふたたび隔離審査にもどらなければならなかった。』
これは文化大革命時の話ですが、この祖母は疼痛を実際受けてもいない批闘大会のせいだと思いこんでいます。
この本は女3代、軍閥・満州国・国民党・共産党時代と生きた話ですが、軍閥時代は祖母が将軍の妾だったので、そんな悪いことはありませんが、国民党・共産党時代が直接家族・親族が被害を受けていますが、満州国時代は日本は悪いことをしていたという割には、家族・親族の被害がありません。逆に祖母が医者と結婚した時代だったので幸せな時だったと書いてありますし、隣に住んでいた日本人の奥さんとは仲良くしていたと書いてあります。
大戦中日本は悪いことをしたという証言があっても証拠のないものは信用できないということですね。
これは メッセージ 1 (you_beaut さん)への返信です.
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