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内務省の組織的伝播で自警団発生1

投稿者: jgeilsbandfreak 投稿日時: 2008/07/03 05:12 投稿番号: [7719 / 10735]
内務省の組織的伝播で自警団発生

  流言の伝達

  大震災の朝鮮人虐殺事件でまず問題になるのは、大虐殺の直接の契機となった「朝鮮人暴動」流言は誰の発想になり、誰が発布し、どう伝達されたのか、ということである。

  朝鮮人暴動流言とその伝達については、今日までの研究では、大きくみて三つある。①官憲説、②民衆自発説、③官民同時発生説である。そのいずれの説にも、かなりの説得力があるのを認めるのに吝さかではないが、日本政府が真に有効的な措置をとらず、一定の限度まで、虐殺容認の姿勢でいたことを考慮すると、やはり①の官憲説に落ち着かざるをえない。
  私はこの問題の決め手になるのは、当時、誰がこの種の流言を切実に欲していたのか、この流言の結果により、誰がどのような政治的な利得を得たのか、という政治的利害と直接結びつくところにあると思っている。
  日本政府の流言伝達についていえば、ごく初期は別として、政府の公的な流言伝達方法は二つあった。その一つは無電である。震災で電話は不通となり、この時期ラジオはなかった。あったのは、千葉船橋の海軍無線送信所だけである。内務省警保局長名で全国の「各地方長官宛」(全国の府県知事)に発せられた第一報は次のようなものである。
  「東京付近の震災を利用し、朝鮮人は各地に放火し、不逞の目的を遂行せんとし、現に東京市内に於いて爆弾を所持し、石油を注ぎて放火するものあり、既に東京府下には一部戒厳令を施行したるが故に、各地に於いて充分周密なる視察を加へ、鮮人の行動に対しては厳密なる取締を加へられたし」
  文面は、朝鮮人が放火しているから戒厳令を布いたとなっている。水野の証言とピッタリ一致するのである。
  この第一報は千葉の海軍船橋送信所から発せられた。この電文に内務省治安担当者の乾坤一擲の執念がこめられているのに気付くのはそう難しいことではない。ここで、はっきりしているのは、この第一報に「朝鮮人は各地に放火し」とあるように、政府の組織的な流言伝達は、朝鮮人虐殺と直接結びついたということである。警保局長はきびすを接するように「不逞鮮人」の放火等に関する電文を幾つも送っている。第一報は、呉鎮守府副官あてに打電されたもので、日時は9月3日午前8時15分である。ところが、その15分後の8時30分に今度は在朝鮮の鎮海要塞司令部副官あてに打電しているが、これは朝鮮総督府警務局長にあてたものである。
  東京附近の震災を利用し、在留鮮人は放火、投擲等、其他の不逞手段に出んとするものあり。既に東京府下には、一部戒厳令を施行せるを以て、此際朝鮮内、鮮人の動静に付ては厳重なる取締を加へられ、且内地渡来を阻止する様、御配慮を頂度」
  見られるように、後藤警保局長は、朝鮮総督府に朝鮮人の放火、爆弾投擲を知らせ、朝鮮内の朝鮮人動静に注意を促すだけでなく、日本渡来を阻止するよう要請したのである。
  また数時間後には、山口県知事あての電報を発し、下関で朝鮮人の「内地」上陸を阻止するよう要請する。
  これを受け取っては、朝鮮人暴動を信じない方がおかしいはずである。

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