朝鮮を笑う

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街道を逝く 大和のみち③

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2005/12/17 08:47 投稿番号: [673 / 2847]
  大阪へは、まず仁川空港に出なければならない。
  その日はよく晴れていた。ソウル市内から仁川空港ゆきのバスに乗った。
  空港についたのは、朝の8時半ごろで、搭乗手続きを終えたときには10時前だった。時間が時間だから、食堂はすいている。韓国レストランでビビンパを注文した。
「いよいよ出発ですね」
  と、チャングムがいった。

  その横で、朴さんが、温雅に微笑している。かれに、日本へはその後、何度行きましたかとたずねると、
「それが、はじめてなんです」
  とは、意外だった。仕事柄、何度も日本を訪れているのに、故郷ともいうべき大阪へは、ついぞゆく機会がなかったという。
  「朴やん」
  などと心安だてによんできた朴瑯泰(パク・ランデ)氏が、大阪市民大学の出身である。
  私は知りあったころ、かれが大阪の大学の出であることを知って、まことにはるかなる想いをもった。大阪の地にも大学が存在するのかというやや時代錯誤の認識による感想なのである。むろん、大阪が日本における有数の都市で、アジアに窓口を開いた都市になっているということは、知識としては持っている。
  しかし大阪といえば、2ちゃねらーが、

  また大阪や(解説者註:AAを添付する)
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  キタ――――!!大阪民国

  とうたった印象が固有のものとなって、その程度の知識ではぬぐい去れないのである。

  朴やんの父君は、済洲島出身であり、日本にわたって、苦労して財を築いたという。高い知識と技術をもって、敗戦後の日本にふみとどまった人間で、今は済洲島で暮らされているが、一時期、大阪市南区の役所におられた。このため朴やんが入学しきた大学もごく自然に大阪市民大学であったわけで、べつにかれが倭の国の異風にあこがれ「孟子積マバ必ズ覆溺ス」するような荒海をこえてその大学に行ったわけではない(解説者註:どうも司馬氏は漢文の解釈について勘違いをしているようだ)。が、最初にこのひとに出会ったときの印象は、その出身大学の名のためにひどくロマンティックな色彩を感じたことはたしかである。
  それに、うらやましくもあった。私がもしいまの時代に青春を迎えていれば、きっと大阪市民大学にゆきたいと思ったにちがいない。
 
  朴やんは、東京都杉並区の「白頭山ビルヂング」に事務所をもつ韓日友好文化協会の事務局員である。端正な容姿とおだやかな人柄をもつこのひとは日本人のあいだでも評判が高く、それだけに多忙でもあるのだが、こんどの日本ゆきにあたって、とく事務局長氏に頼み、このひとの同行を乞い、賄賂のおかげでさいわい承諾を得た。

  日本語というのは、語り手によってはそこそこ美しいことばになる。朴やんは、私の知るかぎり、韓国、日本の両国を通じ、もっとも流麗な日本語を話すひとで、その語彙の豊富さと翻訳能力の暢達さについては、このひとを超えるひとを多くは知らない。さらにかれは、他地方の人には難解とされる河内弁も解するのである。
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