朝鮮を笑う

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斜め上の雲 109

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2007/10/23 23:41 投稿番号: [2237 / 2847]
  華秉は、世実の推挙によって大統領直属の国家安全保障会議の諮問スタッフの一員となった。かれの属する太宗研究所に対する政府援助も大幅に増額された。
  世実も諮問スタッフとしてくわわった。VANK顧問でもあるかれは、とくにインターネットに関する政策、広報を担当することになった。

  盧武鉉は民族主義と反米を柱として自主国防をあげていたが、就任直後にアメリカから増援米軍の支援体制の不備を批判され韓国に配置している戦争予備物資(WRSA)を廃止する方針を通告されたことはすでにのべた。二〇〇四年五月にはウルフォウィッツ米国防副長官が者永吉国防部長官に、
「二〇〇六年十二月までにWRSA計画を廃止する」
  という書簡をおくってきた。
  WRSA弾薬は、戦時弾薬所要量の六〇%をしめており、これがなければ韓国軍の戦時弾薬は備蓄目標量の六分の一である十日分しかない。その貨幣価値は五兆ウォンであるという。つまり、韓国は弾薬についてそれだけの負担をしいられるわけであり、アメリカは、自主国防に対する見積もりをつきつけたといっていい。衝撃をうけた韓国政府はこれを一年間公表しなかった。
  かんじんの弾薬をまかなう能力を欠いたまま自主国防をとなえるというのは、後金に対して軍備をととのえぬまま排斥をとなえた李朝の両班どもとかわらないものであったといっていい。

  世実は、自主国防を実現するための方策を研究することになった。在韓米軍抜きで韓国の安全保障をいかにすすめるかである。
「第一の敵はどこか」
  まずこれを問いなおし、国防政策を基礎から構築することが不可欠である。華秉は盧武鉉に問うた。
「わたしは、同胞を敵としてはならないとおもっている。ウリミンジョクの和合を妨げるものが敵だ」
  盧は間接的にこたえた。このあたりいかにも弁護士あがりらしい。
「ということは、身勝手な他民族の連中どもに振りまわされてはならないということですね」
  華秉もまた間接的に確認した。盧はだまってうなずいた。

  華秉の提出した自主国防政策の骨子は盧を満足させた。
「これなら北の同胞との緊張も緩和しつつ、ウリナラの自主国防も実現できる」
  太陽政策の成功にもとづき陸軍の兵数を大きく削減し、海洋経略をにらんで揚陸艦や対艦攻撃力の強化による海軍、空軍の増強をはかり、ゆくゆくはアジアの大国として空母をもつ、という遠大な計画は盧武鉉だけでなく、李鐘ソク(大の両脇に百)たち側近をも魅了した。
  気をよくした盧武鉉は、華秉と世実に対してさらに外交政策についての検討を命じた。
「これはむずかしいな。ウリナラはいつでもイルボンに邪魔されている」
  世実はうなった。華秉は首をかしげていった。
「どうしてわれわれは、いつもイルボンのせいにしてしまうのだろう」
  二人はそれっきり黙りこんだが、しばらくして世実がはじかれたように顔をあげた。
「そんなの、イルボンのせいじゃないか」
  華秉は世実の顔をみつめた。
「そうだ。ぜんぶイルボンが原因だ」

  こうして、かれらはついに、国内の不満をそらし支持率を上げるための伝統的手法に手を染めることになった。
  反日、である。
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