朝鮮を笑う

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斜め上の雲 16

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2006/03/16 23:04 投稿番号: [1279 / 2847]
  この間、マッカーサーは動かない。
  国連軍は、釜山にあってひたすら守勢に徹している。
「いったい何をしているんでしょうか」
  錫元の問いには焦燥のひびきがある。第3師団が浦項で敵をふせぎつづけ、釜山を守っているのに、なぜ攻勢に転じないのか。
「あの男は待っている」
  金錫源は顔色もかえずそれだけをいい、答えようとしなかった。
  錫元が後から考えるに、どうやら北朝鮮軍の疲労と仁川上陸作戦の実行時期を待っているのをさしていたらしい。戦後になって事情をきいたとき、
「それをいえば、わが心がゆるむ」
  指揮官の心がゆるめば、その安堵感が兵に伝染し、わが軍だけで守りきるという決意がくずれる。それがいやだったのだ、といった。
  かれはそういう男であった。

  そのころマッカーサーは仁川上陸作戦を決心し、準備をすすめていた。
  だが、反対も多かった。技術的にも困難であるということも指摘された。仁川には海浜がなく、2時間しかない満潮時にせまい水道をとおって港に接岸して上陸するしかない。
  さらに、仁川への上陸は兵力の分散をまねく。釜山橋頭堡が弱体化すれば意味がない、という意見もあった。またワシントンでは、
「めだちたがり屋の大ばくち」
  とまで酷評するものもいた。

  たしかに、これほどひとびとの耳目をおどろかす派手な作戦はない。
しかも技術的なむずかしさもあって、うまくいかなければマッカーサーとその麾下は仁川港外のもくずと消える公算がきわめて高いのである。「大ばくち」という非難もあながち的はずれなものではない。
  しかしマッカーサーはあえてこの作戦を採用した。ひとつには、敵軍ののびきった補給線を分断し、前線の北朝鮮軍を孤立させて包囲殲滅する、という戦略的なねらいである。
  また、首都ソウルを劇的な作戦で奪回することによって、韓国民の士気をたかめ、戦況が好転したことを全世界にアピールする、という政治的、心理的なねらいもあった。

  どうやらマッカーサーは早くからこの作戦を考えていたらしい。
  かれの回顧録によると、ソウル陥落直後、前線視察のためおとずれたソウル南郊外の永登浦に立ったとき、天啓のようにひらめいたという。
  さらにその日の夜、水原の宿舎で読んだ書物の記述――200年前、カナダ・ケベックで英軍がローレンス河をさかのぼって仏軍の背後を急襲、大勝した――によって作戦の有効性をあらためて認識したという。

  ともかく、仁川上陸を成功させるためには入念な準備が必要である。
  敵情観測のため仁川に諜報員を送りこみ、接岸上陸に必要なアルミ製はしご60台を大阪の企業に発注し、仁川上陸作戦は偽報であるという情報をながすなど、国連軍総司令部は多忙をきわめた。
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