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小西行長の最期

投稿者: yusura_sdhk 投稿日時: 2003/08/12 22:52 投稿番号: [245 / 7270]
金応瑞(きんおうずい)は大いに吼(たけ)りながら、青竜刀の一払いに行長の首を打ち落した。が、この恐しい倭将(わしょう)の首は口惜(くや)しそうに牙(きば)を噛(か)み噛み、もとの体へ舞い戻ろうとした。この不思議を見た桂月香(けいげつこう)は裳(もすそ)の中へ手をやるや否や、行長の首の斬(き)り口へ幾掴(いくつか)みも灰を投げつけた。首は何度飛び上っても、灰だらけになった斬り口へはとうとう一度も据(す)わらなかった。
  けれども首のない行長の体は手さぐりに宝剣を拾ったと思うと、金将軍へそれを投げ打ちにした。不意(ふい)を打たれた金将軍は桂月香を小腋(こわき)に抱えたまま、高い梁(はり)の上へ躍り上った。が、行長の投げつけた剣は宙に飛んだ金将軍の足の小指を斬り落した。
  その夜(よ)も明けないうちである。王命を果した金将軍は桂月香を背負いながら、人気(ひとけ)のない野原を走っていた。野原の涯(はて)には残月が一痕(いっこん)、ちょうど暗い丘のかげに沈もうとしているところだった。金将軍はふと桂月香の妊娠(にんしん)していることを思い出した。倭将の子は毒蛇(どくじゃ)も同じことである。今のうちに殺さなければ、どう云う大害を醸(かも)すかも知れない。こう考えた金将軍は三十年前の清正(きよまさ)のように、桂月香親子を殺すよりほかに仕かたはないと覚悟した。
  英雄は古来センティメンタリズムを脚下(きゃっか)に蹂躙(じゅうりん)する怪物である。金将軍はたちまち桂月香を殺し、腹の中の子供を引ずり出した。残月の光りに照らされた子供はまだ模糊(もこ)とした血塊(けっかい)だった。が、その血塊は身震(みぶる)いをすると、突然人間のように大声を挙げた。
「おのれ、もう三月(みつき)待てば、父の讐(かたき)をとってやるものを!」
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http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/78.html

朝鮮で語り継がれてきた,小西行長の最期だそうです.
最近,「青空文庫」で朝鮮関連の作品を探して読むのに嵌ってます.
紹介ついでに上げ.
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