三・一運動論 10
投稿者: tell_me_honto_gou_2004 投稿日時: 2004/08/27 16:01 投稿番号: [1570 / 7270]
して、この点を能く朝鮮人に訴えたならぱ、なんらか解決の途が付くだろうと、極めて暢気な楽観説を唱えて居る者もあります。むろんそれにも一の理窟は有りますけれども、吾々が数千年来乃歴史を説いて、朝鮮の人の反省を求めるならば、これと同時に、日本人も数千年来の日韓の歴史に依って、反省すべきところが有るだろうと思う。不幸にして吾々同胞の間には、日本の方で反省するという方面から立てた議論はてんで聞かない。そうして朝鮮の人の言い分には耳を傾けないで、ただいたずらに彼等を漫罵するというようなことでありまして、国民の間には、どういう訳で朝鮮の方で不平を言うかという事惰がサッバリ判らぬ。今度の騒動は非常な大事件であります。あんな大事件が起ったのだから大いに反省して、いろいろ研究するかと思うと、ただいたずらに罵るぱかりだ。むろん彼等が乱暴をしたのであるから、罵っても宜い。けれどもただ罵るほかりで、吾々の方で反省する声は聞かぬのであります。漸くこの頃二三の新聞が、西洋人の指摘に狼狽して動き出したような訳であります。
西洋人の指摘に依って新聞に表れて居る事で、最近最も問題となって居るのは、彼の水原事件*であります。水原に於て、朝鮮の数十名の良民を或る教会堂に集めて、それを皆焼き殺してしまった。又自分の亭主がどうたったろうと思って、安否を尋ねに往った婦人をも、鉄砲で以て撃ち殺したという事件である。これに就て、私は往って視た訳ではありませぬからして、確言することは出来ませぬけれども、これはその現場を後から往って視た外国人などがある。或は又私の友人で ── これは日本人ですが、私のごく親しい友人で朝鮮に居る立派な紳士が、その点を或る点まで是認しまして、もしいざという必要の有った時分には、いつでも往って証人になるという手紙を、私にくれた人があります。その他各方面の報道に依りますと、今度の騒動に於ては、日本の方でも残念ながら、いわゆる野蛮性を発揮して居る
事が随分ある。
*四月一五目、京畿道水原郡堤巖里で発生したこの事件については、吉野は『中央公論』七月号でも「時論」欄で「水原虐殺事件」の題下に、その暴虐を非難している。
むろん朝鮮人の間にも、残酷に憲兵を殺したとか、或は巡査を殺したとかいう事に付て、責むべき点は多々ありましょう〔のち当局発表では日本軍の死者はわずかに二名〕。けれども朝鮮人がやったからこちらでもやっても宜いという理窟は有りませぬ。残念ながらそういう暴行をしたという点が、吾々の方に多いようであります。その一例は、今度の騒擾の時に消防夫が出て往って、鳶口を以て、朝鮮人の四つか五つになる子供の頭を引掛けたという事もある。いったい今度の騒擾の鎮定に、消防夫を使ったいうような事は、善いのか悪いのか判らぬげれども、私共は甚だ貴憾と思う。初には万歳万歳と言うのを腕力を以て逐い退ける訳にいかぬから、消防夫を喚んで来て水を引っかけた。それから在郷軍人団が出て手伝うというようなことで、吾々から見ると、相当の程度を超えた取締を随分やったようであります。これも私の友人の話でありますが、警察官に捕えられて引張って往かれる朝鮮人を、どこかの雑貨屋の小僧が出て来て、その店で売って居るべースボールのバットで以て殴った。けれども巡査がいっこうそれを咎めなかったという例もあります。
そういう風に今度の事件には、日本人も随分野蛮性を発揮して居るのでありまして、その点が外国人などの指摘するところとなって、どうも問題とせない訳にいかないようになって居る。げれども初はこういう事実が、公表が無かったのでありますから、吾々は知らなかった。外国人の方からはそういう報道がありますが、日本の官憲の方の報告には、そういう事が無いのです。どちちが本統か分らなかった。
西洋人の指摘に依って新聞に表れて居る事で、最近最も問題となって居るのは、彼の水原事件*であります。水原に於て、朝鮮の数十名の良民を或る教会堂に集めて、それを皆焼き殺してしまった。又自分の亭主がどうたったろうと思って、安否を尋ねに往った婦人をも、鉄砲で以て撃ち殺したという事件である。これに就て、私は往って視た訳ではありませぬからして、確言することは出来ませぬけれども、これはその現場を後から往って視た外国人などがある。或は又私の友人で ── これは日本人ですが、私のごく親しい友人で朝鮮に居る立派な紳士が、その点を或る点まで是認しまして、もしいざという必要の有った時分には、いつでも往って証人になるという手紙を、私にくれた人があります。その他各方面の報道に依りますと、今度の騒動に於ては、日本の方でも残念ながら、いわゆる野蛮性を発揮して居る
事が随分ある。
*四月一五目、京畿道水原郡堤巖里で発生したこの事件については、吉野は『中央公論』七月号でも「時論」欄で「水原虐殺事件」の題下に、その暴虐を非難している。
むろん朝鮮人の間にも、残酷に憲兵を殺したとか、或は巡査を殺したとかいう事に付て、責むべき点は多々ありましょう〔のち当局発表では日本軍の死者はわずかに二名〕。けれども朝鮮人がやったからこちらでもやっても宜いという理窟は有りませぬ。残念ながらそういう暴行をしたという点が、吾々の方に多いようであります。その一例は、今度の騒擾の時に消防夫が出て往って、鳶口を以て、朝鮮人の四つか五つになる子供の頭を引掛けたという事もある。いったい今度の騒擾の鎮定に、消防夫を使ったいうような事は、善いのか悪いのか判らぬげれども、私共は甚だ貴憾と思う。初には万歳万歳と言うのを腕力を以て逐い退ける訳にいかぬから、消防夫を喚んで来て水を引っかけた。それから在郷軍人団が出て手伝うというようなことで、吾々から見ると、相当の程度を超えた取締を随分やったようであります。これも私の友人の話でありますが、警察官に捕えられて引張って往かれる朝鮮人を、どこかの雑貨屋の小僧が出て来て、その店で売って居るべースボールのバットで以て殴った。けれども巡査がいっこうそれを咎めなかったという例もあります。
そういう風に今度の事件には、日本人も随分野蛮性を発揮して居るのでありまして、その点が外国人などの指摘するところとなって、どうも問題とせない訳にいかないようになって居る。げれども初はこういう事実が、公表が無かったのでありますから、吾々は知らなかった。外国人の方からはそういう報道がありますが、日本の官憲の方の報告には、そういう事が無いのです。どちちが本統か分らなかった。
これは メッセージ 1569 (tell_me_honto_gou_2004 さん)への返信です.
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